「悪魔の右手」 (ポール・ホフマン)
「神の右手」3部作の2冊目。 原題は The Last Four Things という意味不明なので、この邦題のほうが一冊目と対になっていてよく収まります。
この第2巻では一巻目とすべてが逆になります。「地獄」のような「サンクチュアリ」は主人公にとっては「天国」になり、憎悪の対象であった「あの人」はよきパートナーのようなことになり、敵味方は逆転し、と。
依然としてダークなところは同じで、多くの人命がいとも簡単に衝撃的に奪われていきます。ちょっとした思い違いで大量に処刑されたり、作戦のテストのために一部隊づつ死んでいったり。
このシリーズの世界は現実のヨーロッパの中世と微妙にずれています。中心になる「くびられしメシア」教団はカトリックの修道団のようでそうではなく十字架に架けられたキリストではなく首つりにされたメシアという聖人を信仰しています。リーダーは「教皇」で、システィーナ礼拝堂はでてきますが、場所がローマではなくシャルトルです。
スイス、イタリア、デンマークなどの国名がでてきますが、位置関係がよくわかりません。なぜか戦争は「ゴラン高原」でおこり、それはイスラエルではなく「シャルトル」の近くなのです。登場人物の名前も英語風(アナベラ、ケイル)とイタリア風(ボスコ)が混ざっています。
この巻の物語は第一巻で仲間になった3人の少年達がばらばらになり、それぞれのかたちで戦いに加わることになります。このあたり指輪物語のパターンでもあります。
どうもこのシリーズの副主人公であるらしい修道院長ボスコはこの巻の後半で大変なことをしてしまいます。なんとなく映画「ゴッドファーザー Part 2」の最後のあたりを思い出しました。
さて第三巻 ”Beating of his wings”で完結らしいのですが、いつ邦訳は出るのでしょうか?邦題は「天使の両翼」なんでしょうか?この世界の意味は解き明かされるのか?
ナカコナイト2 中子真治 トークショー

中子真治という名前を久しぶりに見ました。1980年前後に私はこの人が雑誌「奇想天外」とかに書くアメリカ特撮SF映画の記事を熱心に読み、この写真の「超SF映画」という馬鹿でかいSF映画の編年式カタログを愛読してました。この本は1980年に出版され、メリエスの「月世界旅行」に始まり「スターウォーズ 帝国の逆襲」に終わる、という特撮映画の本でした。
私がB級映画ファンなのはこの人の影響がかなりあると思います。
中子真治さんはいつからか、全く映画評とか書かなくなり、多分、20年以上彼の名前を目にすることはなかったです。その人本人が、出てきてトークショーをする、というのを知り、チケットを買って 12/6夜 新宿歌舞伎町の「ロフトプラスワン」に行ってきました。
場所は歌舞伎町ど真ん中でしかもビルの地下2階という怪しげな場所です。どうも、サブカル系のイベント専門の場所らしい。
スタート15分ぐらい前にいったら、すでに熱心な中子ファンでほぼ満員(100人ぐらい?)、なぜかステージ目の前の最前列が一個だけ空席だったのでそこのすわれてラッキー!
ステージのテーブルの私の目の前にはこんなものが....
これは映画「ブレードランナー」のブラスター銃のレプリカで、最近、中子さんは、こういうものを製造して売る、ということをしているそうです。この最上位モデルは85000円。もう売り切れてます。
他の商品などは
http://www.tomenosuke.com/blaster/
で。
今回のトークショーは、中子さんの過去の映画評論、インタビューなどを集めたこの本の出版記念を兼ねているようです。
不覚にも私はこの本(「中子真治SF映画評集成」)がすでに出版されていることを知らなかったです。どうもこの本の企画段階で「ナカコナイト」という一回目のトークショーが去年あったらしいです。

これが現在の中子真治さんです。多分60ちょっと過ぎ。私がこの人の映画評とかを読んでいた20代のころはイベントとかでも見た記憶がないです。おもにカリフォルニアにいたので、日本のイベントとかには来てなかったかも。
トークショーは、中子さんと当時「スターログ」の副編集長だった高橋さん(右の方)に、現役の映画関係者(「映画秘宝」方面)の人たちがいろいろ聞く、という濃ゆい形式で3時間たっぷり。
ダン・オヴァノンとか、ロブ・ボティーン、スピルバーグとかとの付き合いのエピソードとか、なんでも見えるようにしてしまう最近のジェームズ・キャメロンの映画への辛口トークとか、中子トークをたっぷり楽しめました。
最後に観客全員に中子さん提供のポスター、カタログ、グッズとかがあたる抽選会までありました。私はグッズの展示会のカタログもらいました。
というわけで「スターウォーズ」が現れる前後のアメリカSF映画についてひたすら語る、という楽しい一夜でした。こんな、ナローな話題でちゃんとイベントができる東京は深いです。
次は「ブレードランナー」だけ語る会か、「スターログ」だけ語る会をしよう、ということになってました。
「神の左手」 (ポール・ホフマン)
なんの予備知識もなく、書店で手に取った分厚いこの本を買ってしまった。題名からなんとなくSF系かと思ったらファンタジー系、しかも暗いやつでした。
そっち方面に詳しいかたでしたら「ゴーメンガースト」と「薔薇の名前」と「指輪物語」が一緒になったような、といえばわかっていただけるでしょうか。 かなり悲惨、残酷なシーンが続きます。
主人公は謎の「サンクチュアリ」という巨大な「ゴーメンガースト」的な修道院城塞に閉じ込められて育ち、ひたすら血なまぐさい戦闘訓練だけをされてきます。「薔薇の名前」的に恐ろしい秘密の儀式みたいなのがあって、それに巻き込まれた主人公と仲間3名は、なんとか逃げ出し「指輪物語」的な騎士団の国に逃げ込み.....
みたいな具合です。お姫様、愚かな領主、わがままな王子、とか定番のキャラもでてきます。中ごろからお話しはドンドン展開し、すぐ読めます。そして、最後に当然「意外な結末」で次巻に続きます。
二巻目は「悪魔の右手」でこれはもう邦訳があるので、急いで読もうとおもいますが、完結編の三巻目は原書は出ているのですが、邦訳がまだです。想像では次の2冊で、主人公が成長するとともにこの謎の世界の仕組みが徐々にあきらかになっていくのではないかと思いますが、期待はずれの場合もよくあるので...
最近「本の雑誌」とか読まなくなったので、この手の本の情報に疎いのですが、ちょっとは話題になってるんでしょうかね。




