初めて桜屋↓
桜屋1.
番外おさらい
→桜屋番外1
王子は王子に食べられる?番外12
「 はいヘルメット 」
「 ウッス 」
準備をして、心なしか翔ちゃんからさっきのデオドラントシートの匂い
本人は気にしていないけど
オレ自身が使う時にはスッキリとするミントっぽいクール系
でも翔ちゃんには秘密というのは大げさだけどさ
実はグリーンアップルにしてある
オレの好きな翔ちゃんの匂いも良いんだけど
このシートだけは
オレが見つけた中で一番好きな香りがする
ちょっと高いんだけど
純粋なフルーツオイルが染み込んでいて
まるで自分の作る
フルーツタルトみたい
バイクが走り始めると
やっぱ少し怖いみたいで
腰のあたりを恥ずかしさに抵抗を持ちつつも抱きしめてくれる
だから翔ちゃんを後ろに乗せてツーリングするのが好きだ
普段、懐かない猫が雷に怖がって
飼い主から離れないみたいに
オレのだよって言ってるみたいに感じるもん
「 あと少しだからね! 」
「 別にあと少しでも、
無くても、気にしてねー! 」
ほんと素直じゃないんだから
腕の力がリラックスしてくると思うより抱きしめる力が強くて
このまま青果店じゃなくて
海までツーリングしたいなぁって
「 ねぇやっぱ遠くまで行かない? 」
「 えっ?果物見に行くんじゃねぇのか 」
少し思考回路を止めて
翔ちゃんの反応を考える
きっとこのまま海に行こう”なんて誘っても
頭の中は庭付きの犬になってるから
果物見てヒントが欲しいとかで頭がいっぱいでしょ
だから真正面から言っちゃダメだよね
それならと数秒して思考回路の再起動をかけ
なんて言ったらこのままツーリングして
海に行けるかなんて、、
その時にふと思い出した
「 あのさ、ここからそんなに遠くないんだけど。道の駅に新鮮な野菜や果物だけで和菓子を作ってる店があるの知ってる? 」
「 えっ、そうなのか?全然知らないぞ 」
「 うん、オレも最近SNSで知ったんだ。もし良かったら青果店に行く前に偵察に行ってみない? 」
「 マジか砂糖なしって
素材の味勝負だよなぁ・・ 」
これは行く方向でしょって
翔ちゃんの返事を待たずに真っ直ぐのままだった車道を
ウィンカーを点滅させ左折した
ここからはしばらくすれば海岸沿いの道へと出て行く
有料道路だと早いけど
せっかくの休みだ
出来れば時間はゆっくり取りたい
オレが道を変えても
背中からは声がしなくて
多分、行っても良いってことになったみたい
久しぶりの遠出だ
ほんの少し息抜きの予定だったけど
せっかくの連休なら
一緒に出かけたいって思う
海まで一時間弱
翔ちゃんを背中に感じながら
海へと二人で走り出していた
・・・つづく
他のお話も上がっています♡♡