「東京タラレバ娘」第4話~初めての大ゲンカ!!固い女の友情に亀裂 | 日々のダダ漏れ

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「東京タラレバ娘」




第4話
初めての大ゲンカ!!
固い女の友情に亀裂



あげる人がいるとかいないで、
一喜一憂する年頃を過ぎると、
バレンタインデーも
単なる行事の一つに過ぎない。
でも、今年は正直、
もしかして…と一瞬、
ほんの一瞬だけ、
思ったこともあった。だけど…。

現実はこのありさまで…。

みんな1回、不幸になればいいのに…。


**********

倫子) 形はどうあれ、
   香も小雪も恋愛が始まったんだよな~。
   それに比べて私ときたら…。

レバ) 随分なっがい独り言レバね。
タラ) 惨めッタラありゃしない。
レバ) 恋の季節に独り身は染みるレバね。

倫子) また出た!
   っていうか、改めて聞くけど、
   あんた達一体何者?

タラ) 倫子さん、そんなに恋愛したいなら、
   金髪に言われたことから学ぶべきタラ。

倫子) えっ?
レバ) 女同士つるんでばっかいるからダメ。
   だからあんたとは恋愛できないって
   言われた。ってことは?

倫子) ってことは?
タラ) つまり、倫子さんは…。
レバ・タラ) 恋愛したくなるような、
      いい女じゃない!

倫子) う…そんなはっきり言わなくたって…。
   それに一緒につるんでる
   香と小雪は幸せに…。

タラ) 甘い!
レバ) 不倫女とセカンド女に未来はあるの?
タラ) ないタラ。
レバ) 倫子さん、いい女になればいいんレバ。
タラ) 今のままじゃ、倫子さんは
   未来永劫、一生独身決定タラ!

倫子) うぅ…またそんな恐ろしいことを…。
   いい女…?
   いい女って具体的にどういう…。
   いないのかよ! いい女…。


いい女って、どんな女?
誰か私に教えてくださ~い!


**********

昔はセクシーな女とか、
仕事のできるクールビューティーが
いい女だと思ってた。
でも、一周回って今は、
一人焼肉できる女が
いい女だったりするのかも!


**********

好きな肉を自分のペースで
食べられて楽。
最高か!

こんなに一人焼肉を楽しめる私って、
もしかいて、いい女ってことなんじゃ…。


**********

「恋愛できない」とまで言われた男に、
一瞬でも期待した私を殴り飛ばしたい。

一人焼肉なんか行かなかったら、
占いなんか信じなければ…。


倫子) はっ!

私はまだ、タラレバ言ってる
身の程知らずの愚かな女。


**********

香) あっ、でも、大丈夫なの?
  あの…奥さん。
小雪) 多分。
倫子) 大丈夫じゃないでしょ。
小雪) えっ?
倫子) だって不倫だよ。ダメでしょ、不倫は。
   バレたら社会的信用なくすし。もしかし
   たら、お金まで取られるんだよ。
香) う~ん、そうだよね。30歳過ぎてからの
  不倫はズルズルいくってよく聞くし。大体、
  丸井さんのことお父さんに言える?
  知ったら泣いちゃうでしょ?
小雪) 彼女のいる元カレと、
   ズルズル続けるよりマシだと思うけど。
香) えっ?
小雪) 今日だって、彼女から呼び出されたら、
   香のこと置いてっちゃったんでしょ?
   それってただの都合のいい女じゃん。
香) はぁ? 涼ちゃんは、結婚してない分
  丸井さんより何百倍もマシだから!
小雪) 丸井さんは別居中で、
   奥さんとうまくいってないの。
香) へぇ~。
小雪) 彼女と同棲してる部屋に
   連れ込む男のほうがタチ悪いわ。
香) そんなことない。
倫子) あ~もう二人の言い合い
   不毛すぎるんだけど。だって、
   不倫と、元カレのセカンドでしょ?
   フッ。どっちもどっちじゃん。
小雪) あのさ、そう言ってる倫子が
   一番悲惨なんじゃない?
倫子) はぁ?
小雪) 金髪に相手にされないからって
   八つ当たりしないでよ。
香) 確かに、イケメンと1回やったって、結
  果付き合えてないんだし。相当惨めだよね。
倫子) それはあんた達…。
小雪) はい?
香) 何? 私達が。
倫子) こないだ金髪に言われたの。女子会
   ばっかしていっつもつるんでギャーギ
   ャー騒いで、人のことに首突っ込んで。
   だからあんた達はダメなんだって。
   そんな女と恋愛できないって。
香) 何? それ。私達がけしかけたから、
  あいつがドン引きしてフラれたとでも
  言いたいわけ?
小雪) ちょっと…人のせいにしないでよ。
   そもそも倫子があいつの事好きなくせに、
   何も言えないでいるから、私達が…。
倫子) 男のためにコトコトビーフシチュー
   煮込んで持たせるような女に偉そうな
   事言われたくない。
香) 倫子、今のはちょっと言い過ぎ。
倫子) 彼女と同棲してる部屋に連れ込まれて
   平気な顔してる女にも。帰る。
香) いやいやいや。ちょっと待ちなさいよ!
小雪) ほっとけ。


**********

やってしまった。
女同士はこうなっちゃうとダメなんだ。
自分が幸せじゃないからって、
友達まで巻き込んで…。
私…最低だ。


**********

あれから3日。
二人とは音信不通。
高校時代からの付き合いだけど、
こんなこと初めてだ。


**********

でも、若いコには早坂さんみたいな
いい人は物足りないって気持ちも分かる。
私も昔はそうだったから。
あのぐらいの年の頃は、
お気楽でふわふわと軽かった。

いや、私だけじゃない。
12年前、田舎の高校を卒業して、
私は大学、香はネイルの専門学校へ行く
ために、そして小雪は、離れて暮らして
たお父さんの居酒屋を手伝う事になって、
東京へ出て来た。

あの頃の私達は、
夢と希望にあふれてた。
口ゲンカぐらいした事はあったけど、
もっと全然軽いやつ。
あんな重たい空気になった事はなかった。


倫子) 重いよ、すべてが。

この12年で、私達は夢と希望と引き換えに、
何か重たいものを背負ってしまった気がする。
それは、見栄? プライド? 妥協? 諦め?
いや、それは多分、不安だ。

未来への不安なんて、
1ミリもなかったあの頃の私達に、
戻りたくても戻れないのかな…。


**********

倫子) あんたこないだ言ったよね。女子会ば
   っかやって騒いでるからダメなんだって。
KEY) あ~…。
倫子) あれ、違うから。
KEY) えっ?
倫子) 私がタラレバばっか言ってんのも、恋愛
   対象以下のダメ女になったのも、女友達の
   せいじゃない。むしろ、ダメダメな人生だ
   けどあの二人がいてくれたから楽しかった
   んだよ。あいつらがいなかったら私、きっ
   と蝉の抜け殻みたいになってクソつまんな
   い人生過ごしてたと思う。女同士つるんで
   るからダメだ。つるんでる女はいい女じゃ
   ない。バカ言わないでよ。あれが楽しいん
   じゃない。だから私は、これからもつるん
   でやる。ハァ、スッキリした。あんたにタ
   ラレバ女って言われてから、ず~っとモヤ
   モヤしてたんだから。
KEY) いいんじゃない?
倫子) えっ?
KEY) 別に俺には関係ないから。
倫子) フッ…たく、ホントムカつく。
KEY) それはどうも。
倫子) あっ、待って。
KEY) まだ何か?
倫子) あんた意外と役者向いてるかも。
KEY) えっ。
倫子) じゃ。


**********

小雪) 丸井さんにドタキャンされた。
倫子)えっ?
香) 何で?
小雪) 家族が緊急入院したんだって。
   恐らく、いや、確実に嫁。
倫子) 待って。丸井さん子供いたの?
香) っていうか嫁、妊娠中?
小雪) はい。
倫子) えっ、聞いてない。
小雪) 私も。
香) マジで…。
小雪) 質問なんだけど、嫁が、出産のために、
   実家へ帰る事を、別居って言うんだっけ?
香) それは…。
倫子) 一般的には里帰りかな。
小雪) だよね。
香) 私も今日涼ちゃんの部屋に行ってたんだけ
  どさ。急に彼女から、帰って来るって電話が
  あって、ゴミ出すみたいに部屋追い出された。
小雪) マジで?
倫子) クソ野郎だね。
香) うん。
小雪) お互い、なかなかあれだね。
香) だよねぇ。
倫子) あのさ…。ごめん。
小雪) えっ?
倫子) こないだケンカふっかけるようなこと
   言って。私、自分だけ幸せじゃないから
   ってイラっとして二人の事巻き込んだ。
   ホント、ごめん。
香) 私も、言い過ぎた。ごめん。
小雪) 同じく、ごめん。
3人) フフフ…。


**********

早坂) でも、何か、KEY君と倫子さんって
   不思議だよね。
KEY) 何がですか?
早坂) う~ん…。二人で話してる時は、何か
   他の人には見せない顔になるっていうか。
   倫子さんのああいう感じあんまり見た事
   ないし。KEY君も、倫子さんといる時は、
   素直に感情が出てる気がしたなぁ。気の
   せいかな。
KEY) そうかもしれないです。
早坂) それは、どうして?
KEY) あの人、似てるんです。知ってる人に。
早坂) もしかして、昔付き合ってた彼女とか?
KEY) いえ。結婚してた人です。
早坂) え…結婚?
KEY) はい。


**********

倫子) でもさ、やっぱりいいね、こういうの。
香) いい!
小雪)うん。
倫子) 「誰か一人だけ幸せになったら面白く
   ない」って見栄張らないで言えるし。
香) 言える言える。
小雪) うん。楽でいい。


きっと私達はこれからも、
まだタラレバ言ってしまうんだろう。

もしあの時、彼と別れなければ、
幸せになってたかも。
彼が奥さんと別れてくれたら、
幸せになれるかも。
いつかこんな私と
恋愛してくれる人が、現れれば…。

過去のタラレバ。未来のタラレバ。
言ってりゃ切りないタラレバ女。

でも、分かっちゃいるけどやめられない。
夢見ることも、女同士つるむことも、
酒を飲んで愚痴ることも、やめられない。
やめたくない。



傷なめ合って
笑った先にも、
幸せはあるはず



**********

多分、女がイメージするいい女と、男がイメージ
するいい女は違う。女がよく口にする「女子力」
とか「自分磨き」とかって、実は男性にとっては
何の魅力もなかったりするのよね、残念ながら。
男に媚びて、自分に嘘をつくのも窮屈だし、あり
のままの自分で向き合える人がいいんだけど。

女同士は楽しい。自分がありのままでいられる
友達はかけがえのない宝物。カッコ悪い自分を
見せられる友達が一人でもいてくれたら、人生
はとてつもなく幸せだ。特に若い頃のお互いを
知ってる同士は、本当に貴重な存在で。できれ
ば同じようなスピードで幸せになれればいいの
だけれど。3人でいた時間が長ければ長いほど、
幸せから独り取り残されるのが、怖くるんだろ
うなあと。幸せになりたい(自分が先に)。幸せ
になってほしい(自分より後に)。友達の不幸を
望むわけじゃない。ただ、ちょっとだけ、先に安
心がほしいと思ってしまうだけ。でも、実は案外、
誰かが先に幸せになった方が、みんなが幸せ
に近づける確率は高くなれるのよね、体験的に。
幸せオーラは周りにも幸せを呼んでくれるから。

傷なめ合って
笑った先にも、
幸せはあるはず

決して諦めなければ、きっと…幸せはあるはず!


●「東京タラレバ娘」HP

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第4話~初めての大ゲンカ!!固い女の友情に亀裂
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