「重版出来!」第9話~好きです突然、愛の告白・・・成るか!?初連載! | 日々のダダ漏れ

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「重版出来!」



第9話
好きです突然、愛の告白・・・
成るか!?初連載!



今まで生きてきた時間をはかりにかける。
成功と失敗、どちらが多いのか。

よい行いをすると運をためられる。
そんなおとぎ話を守る理由は。
はかりを傾けたいからだ。
正しい道を選べるように。
少しでも、運を味方につけられるように。


**********

何も見えない。
聞こえない。
だが、聞かなくても話は分かる。
「エンペラー」からの引き抜き。
この場合どうする?
いっそ割って入る?
さすがに非常識だ。

あとをつけられたと分かれば、
高畑さんは機嫌を損ね逆効果。
いっそ、偶然を装って声をかける。
さすがにわざとらしい。


**********

高畑さんの今の担当は黒沢だ。
知らせた方が…。
いや、状況がはっきりしてからの方がいい。
困った。何もできない。
これじゃあただの、酒を飲みに来た男だ。
ここは退散して、改めて高畑さんに…。


梨音) あ~五百旗頭。何してんの? 1人?
    あっ、もしかして、いっちゃんと?
    ねえ、いっちゃん!
五百旗頭) いやいや…。
梨音) あっ。

どの道が正しかったのか。
少なくとも今は、
大失敗としか思えない。

**********

(回想)
高畑) あとつけるなんて信用ねえな。
    「バイブス」一筋で10年やってきた
    この俺を。傷つくわ、まったく。
五百旗頭) じゃあ、「エンペラー」で
      描く気はないんですね。
高畑) それは分からん。
    どこで描くのも俺の自由だ。
五百旗頭) うちだけでも、進行がギリギリな
      状況で、これ以上…。
梨音) 「バイブス」やめちゃえばいいじゃん。
五百旗頭) 梨音さん、今仕事の話です。
梨音) 「エンペラー」って、ギャラ高いんだって。
高畑) まあな。
五百旗頭) つまり、うちもギャラを上げろと。
高畑) いや、金の話じゃねえんだ。
    俺よ、「ツノひめ」みたいなラブコメ忍法帳
    描いてるだけでいいのかな? 漫画家と
    して。ずっと「ツノひめ」一本で、ホントは
    もっと描きたいもんあったんだよな。
五百旗頭) もし、違うものが描きたいなら、
      それはそれで話し合いましょう。
      黒沢にも共有しておきますから。
高畑) 小熊には言うな。絶対に言うな。
    「ツノひめ」をやめるなんて言ったら、
    あいつはきっと…泣く。
    あいつ「ツノひめ」のファンだからよ。
    これは俺の問題だ。俺が一人で考える。


五百旗頭) ピーヴって何なんだ?
心) 読みきりのときと同じです。
  人の、可能性をコントロールする兵器。
  恐怖を映し出す怪物。
五百旗頭) それって何なんだ? 中田君は、
      こういうストーリーが描きたいってい
      う欲求のまんま描いてる。たぶん本
      人も、自分が何を描こうとしてるのか、
      その根底は理解してない。担当者が
      しっかり分かってないと、一緒に走れ
      ないぞ。伴走者になれないうちは、お
      前はただの読者だ。お先。
心) お疲れさまです。

**********

三蔵山) 僕を支配しようとしている。そう言って
     突然、火がついたように。中田君は、子
     供のころ、部屋で、鎖につながれていた
     事があるようです。幸いといっていいの
     か、すぐに、祖父母に預けられて、ご両
     親がどこにいるのか知らないし、知りた
     くもないと。家内は、彼は、臆病なんだ
     と言ってました。自分を守るために、必
     死で何かと戦っている。
心) 強い、恐怖心…。
五百旗頭) 
中田君には、
      やめてもらった方がいいですか?

三蔵山) いえ。家内も私も、それは望んでませ
     ん。ただ、担当の黒沢さんに、知ってお
     いてほしかったんです。彼のことを。


どうしようもなく、
人の人生に関わってしまうことがある。
彼らの上に、幸運を。
努力と苦しみに見合うだけの、成功を。
彼らが紡ぐ物語を、大切に、壊さぬように。


**********

五百旗頭) 高畑さんは、それほど器用じゃ
      ない。いずれは一本に絞るしかな
      くなる。本人も分かってることです。
和田) 覚悟のネームか。
五百旗頭) デビューから「ツノひめ」一本で、
      自分が描きたいものをまだ描けて
      ないって言ってました。
和田) 本人がそうしたいってもの
    止めるわけにいかんしな。
安井) 本人の意思なんてどうでもいいですよ。
    脅してでも何しても、引っ張るだけ引っ
    張って、描かせりゃいいんです。
五百旗頭) 脅して描かせて何になるんですか。
安井) 金になる。「ツノひめ」の売り上げ考えろ。
五百旗頭) 作家は雑誌の奴隷じゃありません。
      作家の才能は作家自身のものです。
安井) 五百旗頭さん前に、「HITTI POTTI」も
    「エンペラー」に差し出したんでしたっけ。
    次は高畑一寸。人のいいことで。そうや
    って作家を尊重して売り上げ落として、
    雑誌潰れたら、責任取ってくれるんです
    かね。ねえ、五百旗頭さん。
和田) やめろ。ここでモメてもしょうが…。
心) あの! 高畑さんの担当は、私です。
  私にはまだ、何の責任も取れませんが、
  責められるべきは、私です。
  申し訳ありません。


**********

高畑) 頼むから邪魔すんなよ。
梨音) 邪魔なんだ、梨音のこと。
高畑) そういう意味じゃないだろう。
梨音) いいも~ん。出てくから。本当だよ。


**********

高畑) お前さ、そうやって、いっつもいっつも
    俺を試すけど。それしかできなくなった
    ら終わりじゃねえのか?
    俺も試していいか? 出て行け。
    出てくんなら、今度は本気で。


**********

五百旗頭) 今までたくさんの作家を見てきた。
      これだって思える才能に出会えること
      は、ごくわずか。奇跡みたいなもんだ。
      奇跡みたいに出会えた相手を、ダメ
      にしてしまう方が、よっぽどつらい。
心) 五百旗頭さんに担当された方は、
  幸せですね。
五百旗頭) どうかな。
      そうであってほしいけどな。


いつだって、考えている。
正しい道を選べているか。
自分の選択は、エゴではないのか。
正しい編集者とは何か。
いまだに迷っている。


**********

見坊) 私ずっと、井上先生の担当で。
五百旗頭) ええ。
見坊) 井上先生、酔っ払うとよく、五百旗頭
    さんの話するんです。かなりの信頼関
    係を築かれていたようで。
五百旗頭) いえ…。
見坊) いつも言ってます。
    あいつは俺を裏切った。
    土壇場で俺の連載キャンセルして。
    なら「エンペラー」行くって言ったら、
    好きにしろ、と冷たくあしらわれた。
    俺は一生五百旗頭を許さない。
    もったいないこと、されましたね。
    では。失礼します。

**********

あのとき、
井上さんが「エンペラー」へ行くと
言ったとき、本当は、嫌だった。
嫌だったが、考えに考えて、
引き止めるのは井上さんのためにも、
作品のためにもならないと判断して、
送り出した。
その、苦渋の決断が。


五百旗頭) 全然伝わってねえ!

落ち着こう。
少々、悲しくはあるが、
あの選択は間違っていなかった。
「HITTI POTTI」は大ヒット。
井上さんは、世に認められた。
そういえば、
別れた妻に言われたことがある。

あなたはいつも理性的で、
それが悲しい。

思いのままに走れたのは、
いくつのころまでだろう。


**********

心) もとは、高畑さんのミスです。
高畑) 火サスか!
心) 驚きました。
高畑) 俺もビックリだわ。
    「エンペラー」のネームは、描き上がった。


**********

アユ) 漫画家さんですか?
中田) はい。
アユ) もし売れても、調子に乗らないで下さい。
    印税は、貯金するといいと思います。
中田) はい。
アユ) さよなら。

(女性キャラクターの絵を描きあげる中田)

**********

心) 「エンペラー」と「バイブス」、
  掛け持ちするんですか?
高畑) それは無理だろうな。
心) では、「ツノひめ」を、やめるんですか?
高畑) そうなるな。……案外泣かねえのな。
心) 泣きたいです。でも泣きません。
  私は、高畑さんの担当なので。
  終わらせるのなら、ファンの人が、これまで
  「ツノひめ」を読んできてよかったと思える
  ような、そんな最終回をつくりましょう。
  いい加減なたたみ方は、許しません。
  「ツノひめ」の最終回まで、
  先生と一緒に走らせてもらいます。
  「エンペラー」で好きなものを描くのは
  それからです。いいですね?
高畑) 「エンペラー」のネーム、見るか?


**********

高畑) 違う話考えようとしても、どうしても
    こいつが浮かんじまって。

**********

五百旗頭) 高畑さんを困らせるのはやめて
      下さい。おとなしく家に帰って…。
梨音) 別れた。もうやめた。疲れちゃった。
五百旗頭) それは、高畑さんのセリフだと。
梨音) 私のが疲れた。だって、勝てないんだも
    ん。「ツノひめ」。いっちゃん、「ツノひめ」
    大好きなんだもん。いっちゃんずっと、
    「ツノひめ」に夢中なんだもん。
    これ以上どう戦えっつうの!
    あの女、チョー邪魔!


**********

電・五百旗頭) 高畑さん今どこだ?
電・心) 今から中目黒の「フレイムス」で、
     見坊さんに会うって。
電・五百旗頭) 止めろ。
電・心) えっ?
電・五百旗頭) 俺が先に会う。
電・心) でも、もう…。
電・五百旗頭) 今すぐ行くから。


**********

(店に入り、高畑のもとに突撃する五百旗頭)
五百旗頭) 俺も好きです。
      大好きです。
      「ツノひめ」が、好きです。
      以上です。失礼しました。

(コップの水を飲みほす五百旗頭)
五百旗頭) これで、思い残すことはない。

**********

見坊) 先ほどの話ですが、一体どういうこと…。
高畑) ああ。俺はさ、「ツノひめ」が描きたいも
    のだったのかというと、正直違う。違うん
    だけど俺は、自分でも描けると思ってな
    かったもんが描けてる。俺は見坊さんが
    言うような天才じゃなくてさ。きったねえ
    チャリンコだったんだよ。それが今、ジェ
    ット機になって、みんなを乗せて飛べて
    んだ。俺はまだまだ「ツノひめ」が描きた
    い。こいつらみんな乗っけて、飛びてえ
    んだ。ヘヘッ。すまねえな。
見坊) いえ。面白いものも、見れましたし。
    人の恋路は邪魔しません。失礼します。
高畑) 何泡食ってんだよ。らしくねえ。
五百旗頭) らしくなく、走りました。女房に逃
      げられたときも走んなかったのに。
高畑) バカだな。俺のために。
五百旗頭) 「ツノひめ」のためです。
高畑) お前、ファンだったのか?
五百旗頭) はい。
心) 私もファンです!
高畑) 俺もだ。


**********

梨音) (ため息) バカばっかり。
    どっかにいい男いないかな~。

**********

心) 宝石を抱いてる気持ちです。
五百旗頭) 宝石にするか、石にするか、
      お前次第だぞ。
心) はい。

**********

和田) 問題は中身だ、黒沢。連載ともなると
    何だか分からないが面白いじゃ引っ張
    れない。俺達に分からないものを読者
    に伝える事はできない。「ピーヴ遷移」
    の世界観、説明してみろ。
心) はい。この作品で、中田さんが描こうと
  しているのは、恐怖と支配です。ピーヴは、
  人の恐怖にとりついて、心を操る生命兵器
  です。怖いと思った瞬間、ピーヴは襲って
  くる。恐怖心させ持たなければ大丈夫なの
  に、人は恐怖を抑えられない。ヌリスは、み
  んなに愛される大佐ですが、実はピーヴを
  使って人々を支配しようとしている。その中
  でただ一人、流れに逆らって声を上げるの
  が、主人公のコータです。
和田) それにしちゃ細くて弱っちいな。
心) 弱くて小さい人間だからこそ、必死であら
  うんです。彼は、自分の中の恐怖心と、命
  がけで闘います。弱いからこそ必死で。恐
  怖という支配から、自由になろうとするんで
  す。誰もが日々、何かと戦っています。必死
  で戦う主人公の姿は、読んだ人達に、明日
  への勇気と希望を与えます。この「ピーヴ
  遷移」は、そういう物語です。


**********

電・心) 中田さん。連載、決まりました。
    連載、決まりました。中田さん。
電・中田) うわーーー!!!
棚橋) どうした?
中田) 先生。先生。連載、とりました。
    連載、とれたんです。
    生きてて、よかった。
    生まれてきてよかった。(泣)


**********

オダジョー・五百旗頭が好きすぎる。これはオダ
ジョーだけでも五百旗頭だけでもちょ~っと違う。
オダジョー演じる五百旗頭が、好き。これまたリ
アルに嫁になりたいとは思わないけど(大変そう
だからw)、そっと心の中で愛でたい…理想の男
子かも~。半分(もしかしたらそれ以上?)漫画
に心を持っていかれている、クールな外見とは
かけ離れた熱い魂、さりげなく運を貯めるストイ
ック男子ぶりに萌え。テレビの向こう側から見守
るぐらいがちょうどいい。高畑のツノひめ愛に勝
てなかった梨音のように、五百旗頭の漫画愛に
勝てる気がしないから。あんなタイプを好きにな
ってしまったら、自らヤカンをひっくり返してヤケ
ドしてしまう自信あり。すっごくタイプだけど、好
きだけど、別れた奥さんの気持ちが分かる気が
するもの。でもそんな残念なところも、見てるだ
けなら好き~。街なかで突然叫んだりする五百
旗頭に激しく萌え。クールが崩れる瞬間が好き。

どうしようもなく、
人の人生に関わってしまうことがある。
彼らの上に、幸運を。
努力と苦しみに見合うだけの、成功を。
彼らが紡ぐ物語を、大切に、壊さぬように。


この五百旗頭のセリフだけで泣けてしまった…。
努力することも、頑張ることも当たり前かもしれ
ないけれど…。苦しんだからって報われるとは
限らないけれど…。それでも…そう祈りたくなる
気持ちは分かる。その人をまだ知らなくても…
いつか、私が手にするだろう、心を揺さぶる作
品を今まさに生み出そうとしている作家さんの、
幸いを祈りたい。いつか、会えるその時まで…。

ものすご~く大切で、好きで好きで、たまらない。
それはもう、恋だ。クールガイ五百旗頭を走らせ
たのは、紛れもなく、恋の力。まさかのボーイズ
ラブ展開かと思わせる(いや、爆笑したけどね)、
愛の告白にシビレタ~。あんな風に言われたい。

俺も好きです。
大好きです。

こりゃ勝てないわ。ツノひめに。あの五百旗頭を
走らせちゃうんだもの。告白させちゃうんだもの。
オダジョー五百旗頭の男の可愛さに萌えた後は、
心の熱いプレゼンによって連載が決定した中田
くんの雄たけびと、続くセリフに、涙腺大決壊…。

生きてて、よかった。
生まれてきてよかった。

うんうん。よかったよかった。生きてくれてありが
とう。生き抜いてくれてありがとう。漫画を描いて
くれてありがとう。一番聞きたかった言葉をあり
がとう。中田君が、少しずつ、人になってゆく~。

こんなにも熱い、こんなにも人の心を揺さぶるド
ラマに出会えるなんて! 漫画を取り巻く世界を
描いた漫画原作だからこそ、映像になることで、
とんでもなくリアルに伝わってくるのだと思う。こ
れはまさに漫画と映像の理想的なマリアージュ。
あと1話で最終回だなんて…。もっともっと見て
いたいのに…。重版出来!パート2…激希望!


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●「重版出来!」HP


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