高校大学の先輩ピアニスト 根岸由起さんからお誘いを受け、
スイス在住これまた先輩のバイオリニスト 鈴木加寿美さんが所属されているBasel Chamber OrchestraのコンサートにWigmore Hallに行ってきました。
ヨーロッパツアーの最終地だったようです。
ウィグモアホールは言わずと知れた、ロンドンのクラシックの殿堂、由緒あるホールですが、本当にこじんまりしたホールなのです。
最初行った時、入り口もどこかひっそりとしているし「ええ? こんなにこじんまりとしている!」とびっくりしたものでした。中は非常に重厚ですが。イギリスあるある。
サントリーホールやカーネギーホールのように
大小とあるわけではなく、小さいホールがビルとビルの合間にひっそりと存在している。
でも、言わずと知れた由緒あるホールで、ロンドンでここで演奏できたと言うことは、ウィグモアデビューというくらい、誇りを持てること。
先日はピアニストの藤田真央くんがここでMozartのソナタを4夜(5夜?忘れました) 連続コンサートをしましたが、その昔、内田光子さんも同じようにここでコンサートをしてイギリスでの人気を確固たるものにしたようです。
(今でも当然内田光子さんのコンサートはなかなか取りにくいチケットです)
演奏家を育てて見守っていくコンサートホールなのだと思います。
何が言いたかったかというと、
このこじんまりとしたホールでオーケストラを聴くとはびっくり!ということでした。
そしてまさかのピアノコンチェルト‼️
舞台に全員乗り切るのかな?....というかそもそも音はどう響く?! とすごく興味津々で伺ったのでした。
プログラムもなかなか面白くて。
Britten と Lisztの 聞いたことのないピアノコンチェルト! その合間にリストのピアノソロ曲。
Brittenって数少ないイギリス人クラシック作曲家ですが、なかなかにいい曲揃いなのですーーー
私、ここへ来てハマっております。
なかなかにぎゅーぎゅーな舞台上でしたが
(オケの方の弓がぶつかりそうで心配になるくらい!笑)
何より、これがびっくり、サウンドが素晴らしく良くて。感動しました。
ああリストくらいの時代もこうして、フルオーケストラだけではなく、室内オケでコンサートをしていただろうな....と気づかされました。
音色は、バーゼル室内オーケストラの実力が本当に素晴らしかったのだと思います。
16人の奏者でしたが、指揮者なしで、最後のバルトークのディヴェルティメントなんてかっこいい。
お一人お一人が身体中で音楽を感じて、演奏しているのが感じられて感動しました。
カルテットの緊張感とも違うし、フルオーケストラの感じとも全然違う。研ぎ澄まされた集中力に惹き込まれました。
よく考えたら私このくらいの編成のオーケストラを聴くのは初めてだったかもしれません。
そして、ウィグモアホール。
このホール、とにかく好きな方が多くて、ロンドンに行ったらぜひ行ってねと言われたものですが、私正直今までそこまで良さがよくわかっていなくて。
でも先日ランチタイムコンサートで室内楽を聞いた時に、ちょっとこれはすごいなと思って、でもそれは奏者かなーと思っていたのですが
今回聴いて、ああ これはホール力もかなりあるという結論になりました。(勝手に結論づける笑)
ぜひウィグモアホールに行かれる時は、一度弦楽器のサウンドを楽しまれるといいかもしれません。
素晴らしいです。
そしてもう一つ今回目から鱗というか
そうだよねーと納得したのは、
ヨーロッパに住んでいると、クラシック作曲家の国が身近なのです。
今回もイギリスの作曲家からハンガリー、オーストリア、と旅をしているようでしたが
作曲家はもちろんのこと、奏者も同じようにみなさん旅をしている。
そうするとどういうことが起こるかというと
その国の空気を即座に纏って演奏できるのです。
本当にそれが素晴らしいなと感じました。
一定期間ヨーロッパに滞在したからこそ感じられたこの感覚を無くさないようにしていたいなと感じています。
今週は珍しく零下続きのロンドンですが、
日々のドタバタを忘れられる本当に貴重な時間、キーンと冷えた夜空の下ですが、なんとも満たされた気持ちで帰ってきました。
お誘いいただいて、感謝ばかりです