新年、明けましておめでとうございます。

今年最初の投稿になりますが、変わらず不定期に、その時々に思いついたままを淡々と綴っていきます。


昨年末は、早めの27日に本業の仕事納めをして、その足で埼玉のMusic Barへ行き、大晦日までお店の仕事をしました。





途中の29日には、「かちどき森の音楽教室」を運営する、ピアノ指導者の友人のお誘いで、日本橋三越での第九コンサートやお買い物、アルコール抜きの忘年会を楽しみました。





埼玉のお店は「Music Bar Clavier」、越谷市の弥十郎と言う場所にあります。建築関連業の友人が副業で始めたカラオケBarを、昨年の春から夏にかけて改装した店です。

元々はJazz Barとして、生バンドのライブもやりたかったそうですが、それが叶う物件が見つからず、やむ無くカラオケバーになったという事でした。


店内は、確かに広くはありませんが、都内などではもっと狭くても、普通にライブをやっている店はあるので、僕がMusic Barとしての営業を提案し、イベント用に使っていたピアノを持ち込んで、僕自身も週末のみですが、料理担当としてお店を手伝っています。





春にプレオープンをして、 8月のオープニングライブを告知しながら営業していたのですが、現実には全くと言って良いほどお客さんが来てくれず、お互い副業の2人での運営に限界を感じていました。







オープニングライブは、お陰様で満員御礼でしたが、その後の通常営業は元通り。

いよいよ潮時かも、と思っていた時、ふらりとお一人で来られた女性が、何故かお店を大いに気に入って下さり、それからは一気に、お客様が途切れないお店になりました。

女性の横の繋がりというのは凄いものだと、改めて感じました。

当初掲げたコンセプトも、「女性がお一人で、安心して楽しめる店」だったのですが、実際8割ほどが女性客、お一人様も多く、本当にその通りになりました。

パーティーの予約も度々入る様になり、これほどありがたいことは無いと思います。









大晦日は、日頃の感謝を込めて、格安セット価格で、お好きなものの飲み食いしをして頂き、夜は「年越しそば」、日付が変わってからは「お雑煮」を食べて頂きました。



僕自身は、本業との両立を続ける事は難しいので、いつかは専属の料理人と交代する時が来ると思いますが、この仕事がこんなにも楽しいとは思いませんでした。

ずっと続けたいのですが、自分の会社と自身の体力、どちらも続きそうにありません💦

製作や修理、加工の工程など日頃の作業について、業者の方でなくても興味を持っていただければと思い、出来るだけわかりやすく公開しているつもりです。

そして修理においては、過去の作業内容や、時には元々の製作工程について、良いも悪いも見たまま感じたまま、感想を書いてます。


世の中様々なピアノが出回っていますが、素晴らしい楽器ばかりでは無いので、時には感想が批判的になる事もあります。

そう言った内容は、あまりギスギスしない様に、若干のユーモアを交えて載せたりするのですが、「それはどこのメーカーですか?」「誰の仕事ですか?」と言った事を執拗に質問してくる人がいます。

もちろん丁重にお断りしますが、この手の質問をする人は、総じて諦めません。中には勝手な憶測で、的外れな人物や企業と決めつけ、自分が特定したと言う前提で、色々なコメントを投稿し続ける人もいます。他にも「おもしろいから、誰だか教えて下さい」とか、僕への質問に対して、全く知らない人物が返信してしまったり、というものもありました。


幸い、フォロワー数の少ない方ばかりだったので、トラブルにはなっていませんが、あまり好ましい事とは思えません。

批判的な投稿をするのは、誰かを晒し者にして“ウケ” を狙っているのではありません。事例を示しているのであって、誰かを吊し上げることが目的ではありません。



修理で手がけるピアノは、すでに存在していないメーカーも多数あります。こうした反論する手段がない相手を批判するのは、倫理的にも良く無いと思います。


現役で調律師を名乗る人物に対し、名前は伏せましたが、明らかにそれとわかる批判投稿をした事はあります。それはピアノ所有者の被害状況が、とても見過ごせないレベルだったので、ピアノ技術者を生業とするものとして、その“仕事”に、はっきりと批判をしました。

必ず反論が来ると予想していましたが、不思議と何もありませんでした。ですが、批判的なことを言えば、同レベル以上の批判を受ける可能性も、承知しておくべきかと思います。

とても小さな規模ですが、最近ピアノ部品の輸入と、卸販売を始めました。

最初は、間違いなく売れる〈チューニングピン〉と言う部品を仕入れました。

弦を巻き付けて支えるもので、調律もこのピンを操作して行います。

ピアノの修理をする技術者なら、誰もが知るブランド品で、実際にクオリティが高い製品として定評もあるので、間違い無く売れると見込んでいました。


↓   ↓   チューニングピン   ↓   ↓



しかし実際売れたのですが、予想していた程でもなかったのです。


実は10年ほど前に、この製品を輸入したかったのですが、こういった事業は商社がやっている事で、知名度がない僕が始めたところで、ほとんど相手にされないだろうと考えて、当時は思っただけで、実行には移しませんでした。

ですが、最近は取引してくれる業者さんも広い範囲まで増えて、割と知名度も上がったように感じたので、仕入れてみた訳です。

まずは、今まで取引がなかった方々との実績を作るために、一回のみの割引価格を設定してみたのですが、ご注文いただいた方は、全て知り合いの方々でした。



↓   ↓   輸入したチューニングピン   ↓   ↓





皆さん結構な数を買って下さり、大変嬉しい事だったのですが、新規のお客様がゼロになるとは予想していませんでした。

ですが、よくよく考えてみると、ウチなど業界内の誰もが知る商社とは違い、所詮は「何処の馬の骨かも知れぬ」と言った感じなのかも知れません。ちゃんとした“本物” が届くのか?と不安に思うのも当然だと思いました。


まあ簡単に売りたい商品が売れてしまうほど、甘い商売は無いので、ゆっくり地道に続けて行きます。


これと並行して、アクションパーツの輸入や、鍵盤の受注製作も始めたのですが、これを機に、中断していた自社製部品の製作も、再開するつもりです。


という事で、ウチで取り扱うパーツは、どれもしっかりした製品だぞ!安心して注文して頂戴!


と言った事をアピールする投稿でした😊


↓   ↓   アクションパーツとそのパーツでの取り付け作業   ↓   ↓







これは、1ヶ月以上前に書いたものの、投稿して良いものか?と迷っていたものです。

 

最近、ピアノ講師の方や調律師とお会いした際、たまたま僕の過去の勤務先関係者達による、あまりにも酷い仕事ぶりを聞いて感じた事です。

30年、40年と変わらずペテン商法に邁進する輩について、自分なりに思った事を書いてみたいと思います。

 

自分の適性や能力を客観的に見る力は、とても重要だと思います。

そして、やりたい職業と適性に合った職業が、一致するとは限りません。

 

常々思う事は、一部のどちらかに振り切っている人を除けば、大半の人の能力に、それほどの差は感じない事です。

人並みという言葉がある様に、ほとんどの人がその程度の能力で、精々中の上か下くらいの、微々たる差に過ぎないと思います。(もちろん一定程度の訓練は必要です)

人によって、仕事の結果に大きな差が出てくるのは、能力よりもその職業に向いているのか否かの影響の方が強いだろう、というのが個人的な感想です。

どれほどやってみたい仕事であっても、適性を欠いていれば、続けていくのはとても困難である事は明らかです。

 

高校生の時、ほとんど惰性でこの業界に入り、社長を含め7人の会社に入りました。そして、いきなり道具だけを渡され、何の説明も無いまま調律をやらせて貰ったのですが、驚くほど大絶賛されました。

この会社では7年間働き、最後まで最年少でしたが、明らかに僕が一番上手かったし、ピアノの売り上げ額も一番でした。しかも圧倒的に。

まるで自慢話みたいで、人によっては少々不快に感じたかも知れませんが、決してそう言う事ではありません。

高校生にとって、周りの大人から褒められるのは、もちろん嬉しい事ですが、一方で「コイツら相当にヤバい奴らかも😑」とも感じていました。

僕は、特に誇れる才能は持ち合わせておりませんが、自分の能力レベルは割と冷静に理解している、と自己評価してます。

 

幼少時から、何をやっても中の下レベルで、常に人よりやや遅れを取っていた自分が、何をやっても一番になれる集団!

恥ずかしながら、嬉しい気持ちはあるものの、一方で、これほど容易に一番になれてしまう、その会社の技術は、かなりの低レベルだと確信してました。

 

馬鹿げた日常の連続でしたが、最初にガッカリしたのが、仕事を始めてひと月にも満たない頃の出来事。

 

修理を終えたヤマハとカワイのアクションと鍵盤が、並んで置いてありました。

技術者なら誰でも知っている事ですが、カワイのアクションと鍵盤には、遠くからでもはっきりと見分けが付く特徴があります。

当時、僕は初めて見たのですが、もちろんそれには気付いていました。

夕方の事で、翌日は朝からこの鍵盤とアクションを持って行く事になっていました。そこで社長が、

「おう西尾、アクションと鍵盤、車に積んどけ❗️ ヤマハだぞ」

すると、社長お気に入りのゴマスリ男が、

「大丈夫かぁ、間違えんなよ〜」

などと言う。

(逆に、間違う奴いるのか?)と思いつつ、まずはアクションを積んで、さて鍵盤!と言うタイミングで、またゴマ男が「大丈夫か〜」などと言っている。

すると社長が「オウッ、そっちだ!」と、カワイを指差している😳

(いやいや違うだろ)と、びっくりしていると、

「見ればわかるんですよねッ😍」とゴマ男。社長も

「オゥッ❗️」などと、嬉しそうに顔を真っ赤に火照らせ、ニッコニコだ😚

 

びっくりしつつ、「違いますよ」と言える雰囲気でも無かったので、言われた通り、カワイの鍵盤をしっかりと積み込んでやりました。

 

そして数日後、別の人間から「西尾君、この前とんでも無い事やらかしたって?、社長怒ってたよ!」と言われ、ホント救いようの無いクソヤローだと思いました。

今になって考えると、適性を欠いた職業にしがみつくと、あんなやり方で誤魔化し続けるしか、生き残る道が考えられないのかも知れない。

ピアノが出来上がるまでには、様々な工程を経て形になっていくのですが、一人一人の受け持つ範囲が広い小規模メーカーでは、覚える事も多くなります。

ですが当然、工程の全てを暗記する事はできません。


会社では、正確な作業をしてもらう為に、工程表などを作りますが、作業者も独自にメモを取ったり改善点を提案する事で、技術力や製品の、質の向上にも繋がります。

また、構造と各部品の役割を理解する事で、「自分で考え、論理的に手順が導き出せる」ようにもなります。

修理に於いては、こう言った思考ができないと、そもそも適切な対応や、手順を考える事ができません。



工場を始めた当初は、数人の従業員がいましたが、〈説明が理解できない〉、〈常に勘違いをしている〉、という人が時々いて、その原因がわからない為に、随分と困った経験があります。

今は従業員はおりませんが、それでも業者さんからの求めで、作業手順などを説明する場面はあります。

そのような時も、全く理解してくれない人はいます。またSNSの投稿に対しても、意味不明な反論や攻撃を受ける事があります。

但しそれらは、所詮稀な出来事なので、「まあ仕方ないか」で済ませていました。


しかし最近、〈文章を読む事ができる、単語も正しく理解している、でも話の内容が理解できない〉、こう言った人が結構高い割合で存在する、という事を知りました。

それは「機能的非識字」といって、世界的に認知されているそうです。

(実はよく知られている話で、僕が知らなかっただけ?、なのかも知れませんが💦)

そして更に、これを判定できるテキストが存在する事を知り、この投稿をした次第です。


因みに、超三流高校に辛うじて滑り込んだ実績、を持つ僕も目を通しましたが、印象として、小学校卒業程度の読解力があれば、容易に解けるだろうと思える内容でした。

ですが、過去に行われたテストの正答率は、公立中学生38%、高校生は県立校上位三校レベルでも、65%というデータがあるそうです。

恐らく、この手のテストと学力テストの成績は、必ずしも比例しない、という事でしょう。


過去の従業員にも、思い当たる人はいました。

当時この事を知っていれば、もっと適性に合った仕事が提供できたのかも知れません。

知らないという事は、お互いに不幸な訳です。


因みに、そのテキストは「アレクサンドラ構文」と、「アミラーゼ構文」と言うもので、ネットで検索すれば、すぐに見つかります。

友人が副業で営んでいるBarが、埼玉の越谷というところにあるのですが、春頃からお店を手伝っています。


元々はカラオケバーだったのですが、本人曰く、本来はJazz Barをやりたかったそうで、何かお手伝いができないだろうかと考え、過去にイベント等で使っていた自分のピアノを持参して、週末のみですがカウンターで料理を作っています。

その店で先週、本格営業再開のお披露目として、LIVEを開催しました。


店が入居するビルは、一階部分にカラオケ店や居酒屋、小料理屋など、それぞれコンセプトが違う店舗が入居していて、互いに良い関係が保たれていると感じています。

因みにウチでは「女性同士、お子様連れでも安心して楽しめるお店」を目指してます。


とは言っても、駅から離れた場所という事もあり、集客の点でなかなか厳しい環境でもあります。ましてや運営する二人が共に副業という事で、見通しが甘いのでは?と思われそうだし、コンセプトも万人受けするものでは無く、継続するのは難しいのかも知れません。

実際これまでも、「なんだ、この店は女がいねえのか💢」とか、「オッサン二人の店なんか、誰が来るかよ!」などと言われた事はあります。

〈だったらキャバクラでも行けよ!〉

という話なのですが、そんなことを言いつつ、その後も来店してくれるのは、どうやら本気で否定している訳ではないらしく、それはそれでありがたいと思ってます。


とは言っても、「女性同士でも安心して楽しめるお店」には程遠いのも確かです。


店の名前は「Music Bar Clavier」

僕自身、このようなピアノの仕事をしていると、演奏家の方との繋がりはクラシックの方が多く、店のコンセプトに合ったLIVEを頼める方がいないのですが、十数年前に、何度かお仕事でご一緒した方に連絡をしたところ、快く引き受けて頂き、慣れない運営側の分も、演奏でカバーして頂いて、何とかイベントを乗り切る事ができました。


この先がどうなるかはわかりませんが、ご近所のファミリー層が、週末の晩ご飯を楽しめる場所として認知して、年に何度かでも来て貰えたら嬉しいな、と思ってます。














日曜日のとても暑い日でしたが、初めてミュージカルを観賞しました。

場所は、両国のシアターX。呼華歌劇団の公演で演目は「CATS LA(キャッツら)」


僕が最近手伝っている、越谷のMusic Barが、来週オープニングLiveを開催するのですが、そこで演奏してくれるピアニストのAkiraさんが、この公演の為に30曲以上作曲し、舞台でも演奏するというので、これは絶対に観ておきたいと思い、出かけて来ました。


10日間連続の全15回の舞台で、この日は千秋楽でした。ミュージカルの事はよく知らないのですが、短い期間にこれ程の回数をやり遂げる事に、大変驚きました。

今までミュージカルを観ていなかったのは、単純に興味が無かったから。

ですが、今日は出かけて良かった!と思いました。


今回は一人でしたが、例えば誰かと一緒に出かけて、とても素晴らしいと感じた時、「このまままっすぐ帰るのはもったいないね!」と、どこかで美味しい料理を頂きながら、余韻に浸っていたい気持ちになるものですが、それ位には良かったと感じました。

帰りの最寄り駅までの道中、直前までの舞台の話題に花を咲かせている方々の、会話が聞こえてくるのも、とても心地良いものです。


劇団の看板役者は元宝塚の方で、ステージで歌う姿は純粋に格好良いと感じました。昔も今も、宝塚の役者さんに夢中になる女性は多いですが、これは憧れるのも無理はないかも?と感じました。


Akiraさんが手がけた音楽は素晴らしく、ウチの越谷の、小さな店のライブで弾いて貰えるのは、本当にありがたい事だと、改めて実感した舞台でした。













7月14日から19日まで、中国の上海・寧波・杭州へ出かけて、部品メーカー3社とピアノ完成品メーカー1社を訪問して来ました。






出張の一番の目的は、今後製作するピアノについて、部品の多くを変更する為、こちらの要望を伝える事です。

これまでにも述べて来ましたが、ピアノを作るための部品は、国内ではほとんど揃える事はできませんので、海外で探す事になります。

今回は運良く、全てにおいて想定していた以上の良い結果!、となったのですが、いつもこうなるとは限りません。


全てが既製品で済むのなら話は早いし、今の時代、わざわざ出かけて行く必要もありません。既製品には無いものを求める為、時間とカネをかけて出掛ける訳です。

特別な仕様を求めれば、逆にそれ相当の最低ロットを求められます。

そして、要求が多くなれば、それに伴い相手側の人数も増えます。

こちらは会社を名乗っていても、実際には個人事業主。対する相手側は、何れも世界シェアトップ、またはそれに近いレベルの大企業ばかりです。

通常は、取引の窓口担当か営業担当、それに技術部門が加わる程度。

ですが、今回のような場合、開発部門や時にはそれに伴うアシスタントも加わり、四人五人と対峙する事もあります。唯一援護してくれるのは、こちら側が呼んでいる通訳が一人。







今までストレスで体調を崩す、という経験がほぼ無かったのですが、今回は初日の出発前から体調が悪く、移動中の車内がこれほど辛いものになるとは思いませんでした。


今回は、修理で取引がある調律師の方も同行しました。

お付き合いが始まってからの年月は浅いものの、とても良い仕事をしてくださる方で、ごく少数の信頼を寄せている方々のお一人です。

それでも、今回の出張に同行したいと頼まれた時は、正直なところ困りました。

既にこの事は、ご本人にも伝えているのですが、ピアノ製作に関わる商談の場では、それが自分には、何の助けにはならないからです。

それでも、このような場に居合わせる事で、製造現場の事に多少なりとも理解を深めて頂けるなら、マイナスでは無いだろうと考え、一緒に来てもらった訳です。


終わってみれば、出来過ぎなくらいに全てが良い方向に行ったので、結果的に大成功だったのですが、それはその方のお人柄によるもので、運が良かっただけかも知れません。





弟子を取る師匠の性格も多種多様で、純粋に技術の伝承と助手を兼ねて、若い人材を受け入れている人。一方、出来ない人間で周りを固める事で、相対的に自分を高く見せる事を目的にした、ふざけた動機で弟子を取る輩まで様々です。

前者の場合、当然仕事ができるので、多くの同業者が訪れる一方、後者に至っては、同業者との接触は極力避け、それどころか、弟子に対しても外部との交流を禁じていたりします。


最近久し振りの出張修理で、千葉の松戸市に出かけて来ました。

買い取ったピアノの支柱が、犬の咬み傷で悲惨な状態なので、直しに来てくれないか?、といった内容で、すでにインスタ等でも投稿した話です。


お仕事をくださったのは、もう20年くらいのお付き合いがある、サキヤピアノの崎谷社長です。

最初は、そのような修理なら自分で出来るだろうに、何故高い金を払ってまで僕に依頼するのかな?と感じたのですが、下見に行った際、助手がいるのを見て納得出来ました。同じ修理でも、自分とは違う手段を取る人の仕事を見せるのが、一番の目的なのだろうと。

同じ目的でも、現場での限られた時間内でやり遂げなければならないものと、工場に持ち込んで仕上げるのでは、そこに至る過程に大きな違いがあります。ありがたい事にその助手は、師匠の意図する所をよく理解出来ている様でした。


調律師のように、外へ出かけて仕事をする人達は、現場で行う修理方法が得意なのは自然な事です。逆に僕の様な、工場での製作を本業とするものは、出先での仕事はあまり得意ではありません。

今回は、工場で行う様な仕事が求められている事、その様な作業ができる環境だった為、予め工場で、切削用の治具(定規の様なもの)と、埋め込み用の木材を作り、現場では治具に沿って簡単な切削をして、持参した木材を嵌め込むだけという、現場では誰でも出来る程度の作業をして来ました。







出張現場での仕事は、それ自体が職人技ですが、工場で行うものは、加工の手段を考えて、使用する道具や治具を作るまでが主で、実際の加工は容易にできる様にします。

つまり、同じピアノに携わっていても、実際には殆ど別の職業だという事です。


一言に調律師といっても、そういった事実を知っているかどうかは、あらゆる場面での判断に影響を与えるはずです。

一人では捌ききれない修理など、大きな仕事の案件で判断を間違わない為にも、必要な知識では無いかと、個人的には思っています。

ちょっと古い話ですが、愛知県の西尾市というところで〈JF Hessen〉をご購入いただき、調律の為に出掛けてきた話です。

二ヶ月近く経って、この日撮った写真が届いて、色々と思い出したので、その出来事を綴ってみようと思います。


愛知県に、自分と同じ名前の地名がある事は知っていましたが、訪れたのは初めてです。かつて師事していたお茶の先生が、西尾産の抹茶を好んでいて、ここで作られた抹茶はたくさん頂戴しましたので、多少のご縁はあったのかも知れません。


納品場所は、学習サポートYAMAYO様の〈レンタルスペースKiitos〉。

江戸時代に繊維問屋として始まり、時代に合わせて業態を変えながら続いてきた、株式会社ヤマヨの新事業です。

「共働き親世代などの支援になれば」、と始めたものの、想定の十倍もの利用があり、新たに多目的スペースを設けた、という事です。







この日は、〈レンタルスペースKiitos〉のお披露目コンサートです。演奏は地元で活動するユニット〈Palette〉。

ヴァイオリン本多愛弓さん、ピアノ山下佳奈子さんのお二人。

地元では、かなり知られた存在らしく、昨年は「子どもたちと音楽教室を繋げる音楽コミュニティプロジェクト」事業へ、クラウドファンディングでの支援を呼びかけたところ、わずか五日間で目標額を達成!

その人気ぶりが窺えます。


僕はといえば、このコンサートにあわせて、オーナー様へのご挨拶を兼ねて、自分の作ったピアノを調律しに来た、という訳です。

本業が「調律師」という職業では無いので、こういった場面は神経を剃り取られるのですが、今回は納品が、石原楽器工房の石原さんという“調律師”。

とても良い具合にしてくれたお陰で、楽に乗り切ることができました😅


コンサートは、お子様向け昼の部と、大人向け夜の部の二部形式です。

日頃から、子ども向けコンサート中心に活動されているそうで、一曲目から子供達が大喜びの大盛況でした。



しかしながら、ガラリと雰囲気が異なる第二部でも、しっかりと聴衆を惹きつけて、盛り上がりを最高潮にして終えるあたりは、さすが人気のユニット、という感じです。



音楽プロデューサーの甚目裕夫さんが、様々なところでJF Hessenを紹介してくださるのですが、今回もそのお陰で、この〈レンタルスペースKiitos〉への設置が実現しました。

ラストは、その甚目さんが飛び入りで演奏に加わるなど、楽しくも見応えのあるコンサートになりました。



アップライトながら、小規模な会場での演奏機会を度々設けて頂ける事は、大変ありがたい事で、今後はもっとこのような機会が作れるよう、自分から動いてみるのも良いかも、と思った次第です。