同じ目標に向かうときでも、年齢層によってアプローチの仕方は様々です。それぞれに違う手段の、いわゆる「良いとこ取り」が出来れば最強かも知れませんが、それらを采配するのは、なかなか難しい事です。

 

 

そしてウチ(ピアノ技研工業)は、会社と言っても、僕一人の実質個人事業なので、古い知識に偏らない様にする事は結構大変で、若手技術者の仕事に接する機会は、とても貴重な時間で大切にしたいと思っています。

 

少し前のことですが、ピアノ購入のお申し込み頂いた方から、興味深い資料をいただきました。

 

若手技術者ではありませんが、国立中学に通う男子生徒の論文で、その内容は、グランドピアノに対し、アップライトピアノが、正確なピアニッシモができない理由を、音響学と物理学の両面で検証した記録です。

自分なりに想定した仮説をもとに、発音するものと打弦するもの、それぞれの構造物を作り、オシロスコープを用いて音の波形を測定する、と言うもので、読んでいてもなかなか面白いものでした。

響板の形状をグランドは三角形、アップライトは長方形としてしまったのは惜しい所でしたが、外見からではそう見えてしまうので、これは仕方がない所です。

 

製品は結果が全てですが、実験や試作は、その過程が重要です。実際、この論文を執筆した生徒さんも、構造が変わってしまったのでは?、と気づいています。

そして驚いた事は、この実験によって得られた結果によって、かなり正確に、グランドとアップライトの違いが理解できている事です。

頭で理解するだけでなく、実際に体感する事は、とても大切だと思います。

 

 

製品ができあがった時、そこに至る過程が困難であったり、逆にとてもスムーズに事が運んだりすると、実際のクオリティ以上に良いものができたと、錯覚してしまう事があります。

次に試作を作る際は、この《オシロスコープ》を使って、客観的に音の違いを検証したいと思います。

また同時に、この論文と同ような実験をしてみたいのですが、さすがにそんな時間は無いか😅😅