仕事上の取引が無い調律師の方と、お会いする機会があったのですが、印象的なお話がありました。
電子ピアノには多くの種類があり、音色やタッチなど、ピアノに近づける為に様々な工夫がされています。
中でも重要なのが音源ですが、それはピアノからのサンプリングです。
当然ですが、音を抽出されるピアノの調律も、製作過程の重要な項目になります。(製品のグレードによって、起用する調律師も変わるそうです)
その様な調律依頼が過去にあったそうですが、その対価は、果たして適正なのだろうか?と、疑問に思ったと言う話でした。
僕は調律師では無いので、その辺りについて気した事も無かったのですが、よくよく考えてみれば確かに疑問を感じます。
その方が、実際この仕事を受けたのかどうかは、ここでは書きませんが、一般的な調律代よりは遥かに高い金額だったはずです。
ですが著作物と考えれば、話はかなり違ってきます。
調律の世界の事はよく分かりませんが、多分長年の慣習でおおよその目安があって、メーカーの担当者も、安く発注しているつもりは無いのかも知れません。
時々、この日の会話を思い出すのですが、この無意識の金銭感覚というものは、割と日常的にあると思います。
そしてこの先は、僕の個人的な感想です。
規模や影響力が大きな仕事は、それに比例して責任も大きくなります。更に先述の電子ピアノの件で考えると、調律をした音源の再生時間は、莫大になりますが、調律師に著作権はありません。
価格というよりも、どの程度評価しているのか? だと思います。
浜松に工場があった頃、正社員とパートさん、合わせて3人の女性スタッフに、塗装をして貰っていました。
こういった工場では、ピアノが好きだからやっている、と言う人は少数なのですが、ウチも例外ではありませんでした。
その為、例えば中古で100万円と、1000万円のピアノを同時に修理していても、知らずに淡々と作業をしていたりします。そして、作業内容が同じなら、どちらも同じ価格で修理していました。
ですが、日常会話の中で、修理中のピアノの価格を聞かれたので答えたところ、パートさんからその修理費について、かなり強い抗議がありました。
また、加工を依頼した業者さんの製品に不具合があって、こちらでの塗装をやり直す事になった時、僕は「まぁそんな事もあるよね」で済ませてしまったのですが、彼女と業者さんの間で一悶着がありました。
その当人も含め、当時のスタッフはとても優秀で、彼女たちの仕事には、不良品などのクレームが一度もありませんでした。
特に稼ぎたいと言う事はなく、時給を上げた時など、「そんなにお金が欲しいわけじゃ無いし、ムリしなくて良いですよー」と言う感じでした。
ですが、会社が仕事を安請け合いすると、とても怒る。
当時は気付きませんでしたが、真面目に取り組んで良い製品を作り上げても、会社がその技術を安売りしていたら、あまり良い気はしないはずで、あの時のような抗議をしたくなるのは、今思えば当然の事です。
真面目に取り組む人達は、それぞれ誇りを持って仕事をしていますが、会社の間違った判断によって、やる気を失うのは一瞬です。




























