写真家ルッチーこと鶴岡です。



<プロフィール目次>
1.初めて撮った写真は…
2.植え付けられた苦手意識
3.台風一過の富士山が教えてくれたこと
4.見た目通りに撮れない!
5.クラシックカメラ収集癖
6.友人の結婚式の撮影
7.断った誘い
8.本音に気づかせてくれた人
9.「撮らせてください」



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7.断った誘い



長いこと小学校の校外学習のボランティアをしている。
何年も通ってる学校も多く、
そんな学校の担当カメラマンさんとは仲良くなることが多かった。
活動に必要な会話はもちろん、写真の話もよくした。






そんな中、一人のカメラマンさんが自分の家から
数分のところに住んでいることを知った。
数日後、実際に近所で会うことになる。






その日もたまたま近所で会った。
向こうは犬の散歩をしていた。







「うちの仕事、手伝わないか?」






そのカメラマンさんの口からこんな言葉が出た。
予想もしなかった言葉にびっくりした。
その頃は体調が思わしくなく、
身体に無理をかけたくないのと
新しいことをやるのが怖かったので断った。
ただその後しばらく、道で顔を合わせる度に
「手伝わないか?」と聞かれた。
ギャラの話が出たことも覚えてる。





きっと自分がカメラの話をしてたことを覚えていたのだろう。



覚えていてくれて嬉しい、
誘ってくれて嬉しい、



とか言う感情が出てきた覚えはない。
ただ「本当?」と前のめりになったことは覚えてる。
それはほんの一瞬で、その後に続いたのは
「でも体調がおかしくなったらどうしよう」という不安だった。
その仕事を始めてまた体調が崩れることも怖かったし、
体調を崩したことで仕事に穴を開けるのも怖かった。







「本当?」と前のめりになったということは
その時すでに「やりたい」という本音を持っていたと言うことだろう。
ただこの時は不安が本音を覆い隠し、心の奥底に追いやった。