写真家ルッチーこと鶴岡です。



<プロフィール目次>
1.初めて撮った写真は…
2.植え付けられた苦手意識
3.台風一過の富士山が教えてくれたこと
4.見た目通りに撮れない!
5.クラシックカメラ収集癖
6.友人の結婚式の撮影
7.断った誘い
8.本音に気づかせてくれた人
9.「撮らせてください」



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プロフィール9.「撮らせてください」




腹は決まっていた。
数年前、犬の散歩をしていた知り合いのカメラマンに
「撮らせてください」と言おう、と。
数年前のお誘いを今受けよう、と。






ただ、言われたのは数年前であり
今の状況はまた違うだろう。
そうしたら断られるかもしれない。
都合のいいこと言ってるんじゃない、
機材はどうすればいいんだ、
車は持ってないし、
そんな不安がどんどん出てきては本音を隠した。
まるで夜空の月を流れる雲が覆うような日々がしばらく続いた。






ただ前にメールアドレスを交換した覚えがあって
電話帳を調べてみると確かにアドレスだけあった。
アポを取るとすんなりOKがもらえた。
会って話を聞くと
「今日地方から帰ってきたばかりでまた明日からもだよ」
と言われた。
たまたま今日だけこっちにいたのだ。
運が来てると思った。






数年前の話をほじくり返してみた。
向こうは覚えてた。






「写真、撮らせてください」






「断られてもいい」と思って発した言葉の答えは






「いいよ」






意外とすんなりだった。
肩や首にまとわりついていた物が
フッとどこかへ消えた。