まず良いところ。
妻夫木聡さん、深津絵里さん、樹木希林さんの演技は素晴らしいです。
機微な感情の変化や仕草をうまく表現なされていると思います。
深津絵里さんの年相応の雰囲気や心理描写の自然さは見事。
また、ラブホで、妻夫木聡さんが深津絵里さんを抱きしめるときの人肌欲しさや孤独感が、うまく伝わりました。
樹木希林さんはいわずもがな。おばあちゃん役の年期が違います。
最後、主人公がヒロインにしたこと。
自分の精一杯で想いを断ち切らせる的な、切ないシーンなんだろうなぁ、と思いました。
以下の文章は、人によっては不快になります。読みたくなければ即リターンでお願いします。
物語はほぼ、馬鹿な男と馬鹿な女しか出てきません。
善悪の定義についての問い掛けもありきたり、予想通りの薄さ。
孤独感や閉塞感をあらわす描写も、役者頼みな感じ。
主人公の行動は、煮え切らず衝動的に右往左往。
ヒロインもなにやらふわふわ流されて自分がない感じ。
背徳の逃避行も、共依存のいびつなカップルにしか映らなかった。
被害者の父親も、その行動や思考の短絡さについイラッ☆いいところまできたのに、思いっ切り殴らないモヤモヤ感。
被害者を蹴飛ばした大学生は、まぁ、役回り的にオッケー。
殺された相手、殺されて仕方ないよね。罪を背負うには軽い相手だった。(どうせなら、純粋無垢設定で、妻夫木聡さんが悪意をもって殺したほうが楽しい映画になる)
後々、愛するヒロインと出会って罪の重さを噛み締めるんだけど、それって逮捕されちゃうと、心開いた相手と離れなきゃいけないから後悔したんだろ?そんだけなんだろ?と思いました。
斜めに構えてみてましたよ、ダメですかね。だって見事に感情移入出来なかったんですもん。
あ、そーだ。
カメラワークや演出について。
演技や雰囲気を盛り上げる、というより、ただ場面を流して映しているかのように感じました。
演出についても、バスのおっちゃんのセリフやマスコミの動き、警察の突入時などが目立つ不満点。
えーないだろー、と冷めます。
カメラワークも目を引くものはなく、雰囲気作りは、役者の演技に掛かっていました。
役者さんの演技で成立した映画だとおもいました。
ところで、イカの目に意味あるの?
そこが疑問点。