ハイジの退屈日記 パリ・東京 -7ページ目

誕生日とシャンパンと仕事の記憶

昨日は、55度目の誕生日であった。

ここ十年くらいだろうか、いやもっと前からか、

誕生日に特別な過ごし方をすることがなくなった。

夫(パリ在住30年日本人)は仕事でこの時期忙しく、

私も同様なので、この日に会うことはない。

 

誕生日会を開くことも、友人と会うこともなく、

普段と変わらぬ日を過ごす。

家族や何人かの友人が必ずメールをくれるのは嬉しい。

 

したがって、昨日は土曜日であったが、

いつもの土曜と同じように朝から家で仕事した。

が、一応、誕生日であるこの日、

滅多にない自分へのご褒美に

何年も前にいただいた高級シャンパン、

ヴーヴ・クリコのプレステージ・キュヴェ「ラ・グランダム1995」を

(シャンパーニュのグレート・ヴィンテージ!)

一人で開けてやろう、と心に決めていた。

 

自分の毎日の仕事っぷりに対して、

1年に1回のことだし、

ちょっと労ってやってもいいか、と思った次第。

 

 

 

 

平日は毎時間、心拍数あがるほど緊張の連続、

仕事を片付けるより増える方がずっと早く、

次から次へと新たな課題が生まれ、

小さな脳みそにプレッシャーが与えられ続け、

あっという間の1日の仕事が終わると、

本当にヘトヘトで急激に眠気が来る。

 

先週のある日、

時間に追われつつ急いで書類をPCで作りながら、

PCの傍らに置かれたスマホに、

仕事メールがどんどん入るのを目の隅でチェック、

数ワードのタイトルを見て「イントロクイズ」のごとく

「これは!」というメールに一瞬で反応、

すかさずPCの画面をメールに戻して

電光石火の勢いでメールに返信、

メール送信後、また書類づくりに戻り、

なんてことを繰り返して過ごしていた時、

なんだか急に可笑しくなってきてしまって、

「私、すごくない⁈」と自分に呆れて笑ってしまった。

 

もちろん、「私がすごい」のではなく、

この状況が強烈である、という意味。

就いている仕事が自分の能力をかなり上回っており、

要領よくできていない、というのは大きい。

たとえば救急医療現場や金融ディーラーなどの仕事は

もっと本来の意味で時間との闘いで

仕事自体が緊張の連続なんだろうから、

私の場合は、あくまで主観です。

 

とはいえ、同僚もゆったり落ち着いて仕事をしている人は少ない。

同じチームの若者は、

「システムの壊れたファストフードのキッチンで働いている気分」

と表現した。

別の年配の同僚は、

「マヨネーズのプールを覚えたてのバタフライで泳いでいる気分」

と言っていた。

私もあえて例えてみれば、

「火山灰に全身まみれつつガレ場を登らねばと焦ってる気分」

 

つまり、やっぱり、私も含め、主観とはいえ、

みな大変な思いをしている仕事だ、とは言えそうだ。

 

 

(写真はパリの家にいる夫で、この話しとは関係ないです)

 

素晴らしいシャンパンの話の前置きが

あまりにも長すぎた。

 

そんなわけで、私は、当時の値段で1万8千円という

高級シャンパンを自分へのプレゼントとして

誕生日に一人で飲もう、と決めたわけだ。

 

シャンパンはまさに至福だった。

1995年のキュヴェだから25年経ったという計算になるが、

うちの低級ワインセラーの中でも素敵に熟成したらしく、

色がほんの少しだけ琥珀がかり、泡の勢いも悪くなかった。

とにかく香りがふくよかで、素晴らしかった。

ヴーヴ・クリコ特有の、あのミネラリーで酵母のような香り。

そして味わいも、フルーティなのにうっとりするほど豊か。

素晴らしく絶妙な、味わい深い余韻・・・。

よくワインのテイスティングでいう「余韻」というのは

こういうのを言うのか、と思った。

 

香りというものは記憶と結びついているので、

シャンパングラスから立ち上る香りで

あっという間に、15年から20年ほど前、

仕事でしょっちゅうシャンパンを飲んでいた時のことが蘇った。

 

あの頃は、超一流のレストランやホテルに出入りし、

ラグジュアリーで華やかな環境の中で

このような高級シャンパンを飲むことも結構あった。

あの当時の仕事も実にストレスフルな激務ではあったものの、

そんな贅沢な体験もさせてもらってたな、と

当時のいくつかのシーンが頭に浮かんだ。

 

シャンパンの香りで、その当時にしばし引き戻された。

今現在とはなんと違うことだろう。

ファストフードの壊れたキッチン、マヨネーズのプール、

などと例えられる今の環境とは(苦笑)。

 

でも、当時も間違いなくストレスフルだったのに

何年も経てば、良い記憶だけが残るのかもしれない。

それもシャンパンの香りの力かもしれないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パリに弛む冬休み

年末年始をパリで過ごした。

滞在は1年ぶり。

 

 

 

パリは断然、夏が好きなので

この時期に行くつもりはなかったのだが、

去年7月の滞在予定が仕事でフイになってしまい

航空券を無駄にしないために

仕方なく?年末年始をパリで過ごすことにした。

まあ、冬のパリもいいものです。

 

 

 

 

エッフェル塔のあるパリの風景というのは

本当にいつ見ても、何度みても、

胸が締め付けられるような美しさだと思う。

(写真がイマイチだが)

 

 

 

 

50半ばにして転職、1年と1か月が過ぎた。

異業種への転職でこんな試練に合うとは

思っていなかった自分の認識が甘かった。

土日も仕事しないと実務も知識も追いつかず、

自分が低能・役不足と劣等感に苛まれる毎日は

健全な心身を損なうでしょう。

もうダメだ、無理だ、と300回ほど痛感しながら、

持ち前の鈍感力のみで乗り切ってきた。

 

クリスマス・年末年始というのは、

1年に1度、メール数が激減する時期でもあり、

さらに今回の休暇は、2週間強という、

外人Expatには及ばないが長い休暇(苦笑)で

転職以来、これまでにない程リラックスできた。

パリ到着の翌日から1週間のエジプト旅行をしたのも

良いリセットになったらしい。

(エジプトの話しはまた後日)

 

 

 

 

エジプトからパリに戻ってから1週間、

特に決まった予定もなく、義務もなく、

毎日、今日は何をしようかなーという感覚、

これの何と贅沢なことよ!

毎日、1日があっという間に過ぎた。

 

朝からキース・ジャレットを聴きまくり、

洗濯、掃除、朝食もゆっくりと食べて、

昼食にはパスタ作ってワイン一杯つけちゃって、

午後から美術館やら映画やらに出かける。

夜はシャンパンや赤ワインを飲んで

夫自慢のステレオで音楽を楽しむ。

 

毎日7,8時間は寝ているし、

尾籠な話しだが1日2,3回もお通じがあり、

ラジオ体操第一・第二を2回繰り返し、

(今年の目標:ラジオ体操を続ける)

体温も上がっている気がする。

不定愁訴の8割は仕事を辞めると治る、と

統合医療の治療師の友人が言っていたが

本当だろうと思う。

 

 

 

 

頭が完全に緩んだ。

日常では、寝ていても起きていても

常に仕事のことを考えている、

といっても過言ではない生活をしているのに、

ピーンと張っていたゴムが一気に弛み、

だらーーーっと垂れ下がった感じ。

 

 

 

 

明日からまた仕事に戻る。

今から3か月は、地獄のような忙しさで、

今期の正念場を迎えることがわかっている。

次から次へと劣等感を伴う課題が生じ、

緊張の連続の日々がまた始まる。

 

時差ボケのため、1週間ほどは

午後、強烈なダルさに襲われるため、

「即効エネルギーチャージ」ドリンクを購入。

 

仕事があることは間違いなく有難いことで

さらに、長い休暇もとれるのだから恵まれている。

仕事による緊張の毎日があってこそ

無為の休暇も楽しめるのだが

今年はもう少しこの落差を縮めたいものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

言葉のインパクト

先日、昔の仕事上の先輩に

仕事の悩みを相談した。

 

ある企画の戦略を考えねばならぬのだが

行き詰っている、私の能力が足らぬかもしれぬ、

という悩みだったのだが、

その頭脳明敏な、私の尊敬する先輩は

一見、おしとやかな女性なのではあるが、

その企画の内容を私からさんざん聞いた後、

「それはあなたが悪いんじゃない、コンテンツがクソだ!」

と、のたまった。

 

「コンテンツがクソ」。

なんと優れたフレーズであろうか。

そうか、コンテンツがクソだったんだ!

私が悪いんじゃないんだ!と

今まで孤立無援でもあり、呻吟していたが、

急に新たな視野が開けて目からウロコ。

これは、もちろん、

事実と相手のニーズを見事に融合した言葉である。

 

 

 

 

この話しを夫ペーター(在パリ30年、もはや枠を超えた日本人)にしたところ、

私の仕事の悩みや先輩の明察などは全て無視して、

「『コンテンツがクソだ!』っていいね!僕も使おう!」

と喜んでいた・・・。

ま、つまり、それだけ言葉にインパクトがあるってことだ。

 

また、その先輩は、

「シメジを松茸の値段で売ろうったって無理だ」

とも、言い切った。

さすが我が尊敬する先輩である。

(ちなみに私の企画はキノコとは関係ない)

 

届く言葉というのは、的確に真実を表し、

人の心を動かしたりする。

 

 

 

 

最近の別のお気に入りの言葉は

「毎日、一日決算」。

 

仕事の道のりは長くエンドレスではあるが、

小さな成就を一日単位で評価してやる。

一日の重荷は一日ごとにおろし、

一日ごとに精算し、ついでに自分をねぎらう。

 

そうでもしないと、とても精神的にやってられん。

 

いいねぎらいの言葉も考えなきゃ。