気ままな日常を綴っています。 -6ページ目

気ままな日常を綴っています。

いつか静かに消える時まで。。
一人静かに思いのままに生きたい。。

(物語)

「やあ、どうでした、美人でしたか❓体調、僕の薔薇色ちゃんは素敵です。ドゥニャーシャっていうんです。。」

だが、ロストフの顔を見ると、インリンは口をつぐみました。

彼の崇拝する中隊長が、まるで次元の違う考えの中に居る事を見て取ったからでした。

 

ロストフはムッとした顔でじろりとインリンを睨むと、返事もせずに急ぎ足で村の方へ向かいました。

「思い知らせてやる、ぶちのめしてやるぞ、強盗ともめ❗️」と、彼は口の中でぶつぶつ呟きました。

アルバートゥイチ があたふたとロストフを追いかけて来ました。

「どういう結論におなりで❓」と、ロストフに追い付くと、彼は言いました。

ロストフは立ち止まりました、そしていきなり凄い剣幕でアルバートゥイチ に詰め寄りました。

「結論❓何が結論だ❓貴様は何を見ていたのだ❓あ❓百姓どもが騒いでいるのに、貴様は鎮める事も出来んのか❓貴様こそ裏切り者だ。俺の目をごまかせると思うのか❓」

そして、憤怒のストックを無益に浪費するのを恐れるように、彼はアルバートゥイチ をその位にして勢い込んで歩き出しました。

 

アルバートゥイチ は、屈辱の思いを抑えてロストフの後を追いながら、自分の考えを述べ続けました。

彼の意見では、百姓達はのぼせ上っているから、軍隊を持たずに今立ち向かうのは賢明では無い、それよりかまず軍隊を呼びにやった方が良いのでは無いか、と言う事でした。

「俺が奴らに軍隊をぶつけてやる。。俺が立ち向かうのだ」と、彼は無謀な獣じみた憤激と、その憤激をぶちまけなければ口から火が吹きそうな血のたぎりに、肩で息をしながら、前後の見境も無く口走りました。

何をどうするか考えもせずに、火の玉のようになって、彼は決然とした足取りで群衆の方へ突き進んで行きました。

そして、彼が群衆の方へ迫って行くにつれて、アルバートゥイチ は次第にこの無謀な行為が却って良い結果を生むかも知れぬと言う気がして来ました。

百姓達も、眉根を寄せた、決意をみなぎらせた顔を見ながら、同じ事を感じていました。

 

軽騎兵達が村へ乗り込んで来て、ロストフが公爵令嬢の所へ行った時から、百姓達の群れの中に狼狽と分裂が生じました。

ロストフが、インリンとラヴルーシカとアルバートゥイチ を従えて、群衆の前に近づくと、カルプが腰の革帯の間に指を突っ込んで、薄笑いを浮かべながら前に進み出ました。

群衆は、ひしひしと固まり合いました。

 

「おい❗️貴様らの村長はどいつだ❓」と、群衆の前に足早に近づきながらロストフは叫びました。

「村長だと❓何の用だね❓。。」と、カルプは言いました。

しかし、言い終わらぬうちに、その頭から帽子が吹っ飛び、強烈な一撃で頭が横へ揺らぎました。

「帽子を取らんか、逆賊ども❗️」と、ロストフの声が一喝しました。

「村長はどいつだ❓」と、彼は狂暴な声で叫び立てました。

「村長だとよ、村長出ろよとよ。。ドローン・ザハールイチ、おめえだよ」と、そちこちであたふたした神妙な声が聞こえました、そして帽子が脱がれ始めました。

 

おら達が騒ぎを起こすなんて滅相もねえ、規律を守ろうとしているのだ。」と、カルプがぼそりと言いました

すると、それを合図のように、後ろでいくつかの声が急に言い出しました。

「年寄り連中が決めた事だ、何しろあんた方の命令がまちまちなもんで。。」

「減らず口を叩くな❗️暴動だ❗️強盗ども❗️逆賊め❗️」と、カルプの胸ぐらを掴みながら、ロストフは意味もなく、上ずった自分のものとも思われぬ声で叫び立てました。

「こいつを縛れ、ふん縛れ❗️」ラヴルーシカとアルバートゥイチ の他は、彼を縛る者は誰も居ませんでしたが、構わず彼は叫びました。

ラヴルーシカは、それでもカルプの側に駆け寄り、その両手を後ろへねじり上げました。

「丘の下に居る部隊を呼びましょうか❓」と、彼は叫びました。

 

アルバートゥイチは百姓どもに向かって、2人の百姓の名を呼び、カルプを縛る事を命じました。

2人は素直に群衆の中から出て、腰の革紐を解き始めました。

「村長はどこだ❓」と、ロストフが叫びました。

ドローンが青ざめた顔をしかめて、群衆の中から進み出ました。

「貴様が村長か❓こいつをふん縛れ、ラヴルーシカ❗️」

この命令が妨害に遭うはずが無い、と頭から信じ切っているように、ロストフは叫びました。

そして実際に、もう2人の百姓がドローンを縛りにかかりました、ドローンも彼らの手を貸すように、自分で腰の革紐を解いて、彼らに渡しました。

 

「さあ、お前達、よく聞け」と、ロストフは百姓達を睨み回しながら言いました。

「直ちに家へ戻れ、ぶつくさ抜かすと承知せんぞ❗️」

「なんてこった、おら達は何も無礼を働いた訳じゃねえ。つまんねえ事をしたものよ。。だから言ったべや、理が通らねえってよ。」と、互いに非難し合う声が聞こえました。

「見ろ、わしがお前らに言った通りだ、飛んだ事をしてくれたな、お前ら❗️と、自分の立場に戻りながらアルバートゥイチは言いました。

「おら達がばかなもんで、ヤーコブ・アルバートゥイチ」と、幾つもの声が答えました、そして群衆は直ぐに解散して村へ散って行きました。。

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(解説)

ロストフは、一体農民達は何をしたのだ、と言う話を公爵令嬢マリヤから聞いて、余りの百姓達の狼藉ぶりに憤怒します。

ニコライ(ロストフ)の真っ直ぐで直情的な性格からしたら、ここは早めに一喝しておく必要があると無意識に思ったのだと思います。

 

ここで、ですが、トルストイは確かに農奴達の悲惨な状況に疑問は持っていたとは思います。

もっと、帝政ロシアという国を民主化する必要性も強く感じていたでしょう。。

しかし、従来の制度というか秩序を、暴力で破壊する、というフランス革命的なやり方は正しい民主化への移行ではない、とも思っていたのだと思います。

内部的に国家の体制を変化させるのは、法律や慣習に基づいて穏健的に徐々に移行するのが理想的だと思っていたのではないか。。その考えをおそらくニコライの言動を借りて表現しているように思います。

トルストイは、貴族階級の中で、ピエールやマリヤやアンドレイと言った、比較的知的な物事の道理を深く洞察出来る登場人物を散りばめている所を見ても、やはり『上流階級』が民主化の必要性に覚醒する事をまず望んでいたのではないか、と思います。

 

ニコライも、結局、農奴は押さえつけられた身分ではあるものの、今の社会秩序を暴力で壊して自分達の自由や権利を主張する、というその農民達のやり方を怒っているのだと思います。

特に、マリヤは、彼らに地主の麦を放出し、彼らの生活と身の安全を守ろうとしている、この時代においてはむしろ『見習うべき地主』ですから。。

今、戦争という時代において、村で分裂を起こしている場合ではない、今こそ、従来の規律を守って国を守るべきではないか、というニコライの愛国心も隠れていると思います。

そうでないとフランス軍に負けてしまう恐れがあるからですね。

 

とにかくニコライは激情に任せて農民達に一喝しているように見えますが、心底には上記のような心理が隠れており、結局は農民もなんとなくそれを理解できた、という事ではないかと思っております。

本文の下線部のカルプも「規律を守る」という言葉がそれを象徴しているように思うのですけれどね。。どうかな❓

 

(追記)

『戦争と平和』を読み終えて2ヶ月くらい経過して記憶もおぼろげになっているのですが、第4巻『エピローグ』第1部は、ピエールが政府の執政について貴族を中心とした市民が監視する必要性がある、と言って、ロシアの民主化を目指すという所で終了します。

そして、そんなピエールを『英雄視』して自分もピエールのように国を良くする人間になるのだ❣️と自分が民主化の英雄になるのだというアンドレイ公爵の息子ニコーレンカが描かれています。

 

そしてこの2人の向こう側には、従来の枠組みで自分の出来る改革を試みて農民達に尽くすニコライの、彼らの行く末を心配する眼差しが描かれています。

ニコライは、従来の体制を変えることの難しさを実感している人です。

なぜなら、彼は、動機は正しかったデニーソフ の失脚事件を見ていますし、闇雲に敵陣に突っ込んでいって犬死した弟のペーチャも知っています。

この両者の考え方は、どちらが正しいというのでは無く、恐らくトルストイの葛藤を、この両側の考え方に置いたものだろう。。と思います。

先の事を記載して悪いけれど。。ちょっと読み返していて思ったので記載しておきました。

お早うございます♪  今朝は、令和8年1月31日の日記です♪

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こんばんはー♪ 現在18時47分です。

室温12.8度、湿度35%ですね。

今日は、夕方からハタと思い立って、ちょっと法律的な事を復習していました。

大した事では無いのですけれどね。

それで日記の時間がいつもより後にズレてます。

 

はい。今朝はこの時間です。(5時3分)

土曜日ですからね、積極的に何かしなくては。。という事もありません。

 

いつものようにかぼちゃのお粥とコーヒーを入れよう。。と思ったら、旅行前に買っていたバナナが1本冷蔵庫に転がっていたのでまず、それをいただきました。

しっかりしたバナナ(ちょっと青いもの)だったので、美味しくいただきました(^。^)

朝ごはん多く無い❓とは思いますけれどね。

お米から炊いたかぼちゃのお粥もナイス✨でした。

 

7時10分くらいまではブログのお仕事や情報❓チェックなどしていました。

7時15分には天神に向けて脱出です♪

今日はね、土曜日ですから公園を通って行きます。

たまには自然を感じたいからですね。

これは7時20分くらいだろうから、まだお日様が昇っていないのですよ〜〜。

 

ぴーヒュルルル。。。。と規則正しく鳴いている小鳥(❓結構でっかい)が居るではありませんかあ〜⭐️

大きな鳥で堂々と縄張り宣言をしています。

カラスの声も何も聞こえません。

トンビです❣️

(お写真のちょうど真ん中にトンビが止まってぴーヒュルルル。。。と鳴いています。)

 

トンビは、油山の麓で畑がまだ多かった実家の近所の大空をスイスイ飛んでいましたね、子供の頃の話ですが。

キヨミちゃんというお友達が「トンビだよ」って教えてくれました。

実家は当時の新興住宅地で、山間を切り開いて宅地造成された土地だったので、まだ山の自然が残っていたのですね。。

野生の柿の木とかも有って、鳥たちが群がったりしていましたよ。

溜池も結構作られていましたね。。通学路に2箇所有ったかな。。

いつの間にか人口が多くなってすっかり街になったので、もう何十年も見ていなかったのですけれどね。

 

はい。鴻臚館跡の復元地は、工事の壁が取り払われています。

おかげで、朝焼けが見れました✨

 

大回りをして桜の小道の日本スイセンの大群を通ります。

本当に良い香りが辺りじゅう漂っています。。。

 

7時51分、新天町のマクド様です。

コーヒーの蓋を開けているのは、コーヒーを並々と注いでくれたから。。

有り難い事です✨

 

今日も『ベン・ハー』と英語の通読を済ませました。

『ベン・ハー』は、ローマ貴族達が戦車競技ではメッサラが勝つと信じているのですね。

そこを突いたベン・ハーに馬と資金を提供したアラビア人の族長イルデリムは、メッサラを挑発して『メッサラの勝ち』に莫大な掛け金を提供させるのですね。

イルデリムのバックにハー家の忠実な奴隷で今は豪商のシモニデス が付いています。

ベン・ハー、族長イルデリム、シモニデス は、メッサラをはじめとするローマ人に虐げられた人々なので、ローマ人が憎くて仕方がないのですね。。

それに元々メッサラは、ハー家の財産を没収して金持ちになった悪い人❓ですからね、賭けに負けて破産するザマを見たいのですわ〜〜。

 

と、こういう所でした。

へー、メッサラは破産するのかな〜❓と思いましたが、先はまだ読んでいません。

映画では戦車競技でメッサラは両脚を負傷して切断して多分亡くなった❓と思うんですけれどね。。ちょっと原作では話が違うかもですね。。

 

はい。10時半頃、お買い物も済ませて帰宅しました。

100均一でLサイズの薄手のゴム手袋をまとめ買いしました。この手のものはお高くなると思うのでね。

灰色の美しくない色のしか無かったのですが、それをゲットしました、3双ですね。

中に軍手をしてからはめるので Lサイズが良いのです♪

また、サニーで秋刀魚のみりんが半額だったので焼いていただきました。

後1つありますが、それは明日のお昼ご飯にします。

 

午後からは適当に英語の通読をしていましたが、あまり身に入りませんでしたね。

ただ、少しでも読むようにしていると、慣れて来るっていうのはありますけれどね。

 

17時頃の風景ですが、だいぶん日が長くなりました。

今日の日差しは暖かかそうです。

 

晩御飯は、最近食パンを食べていなかったので不知火のマーマレードで食べました。

ずっと以前に買って冷蔵庫に忘れていたキウイが熟れすぎていたので良い所取りで食べました。

やっぱりお花を飾っていると、彩的に癒されますね✨

 

はい。今日はこんな感じです。

明日(=今日の事)は、やっぱり朝1番に実家の庭掃除と母親のお見舞いに行くことにしました。

帰宅したら、ゆっくりお風呂に浸かろうと思っています。

 

それでは、今日も良い一日をお過ごし下さいね💞

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(余談)第1文難問

Chubu Electric Power Co. may have presented data / underestimating earthquake risks for a regulatory process to check whether its Hamaoka nuclear power plant in central Japan /meets new safety standards, President Kingo Hayashi said Monday.(/は原文に無し。解りにくいので入れて考えた)

中部電力の林欣吾社長は月曜日、中部電力が浜岡原子力発電所の安全性適合性確認審査において、地震リスクを過小評価して、新しい安全基準を満たしているというデータを提出した可能性があると述べました。

   data underestimating earthquake risks:地震のリスクを過小評価しているデータ

   regulatory:規定する、取り締まる、調節する(形容詞)

  process:過程、経過、成り行き、進行、(ものを造る)方法、手順、工程(不可算又は加算)

  a regulatory process to check whether its Hamaoka nuclear power plant:浜岡原子力発電所の安全性を確認するための規制プロセス

  meets new safety standards:新しい安全基準を満たしている

 

Chubu Electric suspects / that the estimated maximum seismic ground motion the power plant could experience may have been underestimated. The company will set up a third-party committee to investigate the matter.(下線部はmotionを修飾、mayの前までがthat以下第2文の主語)

中部電力は、発電所が経験する可能性のある地震の最大予測値が過小評価されていた可能性があるとみています。同社は、この問題について調査するために第三者委員会を設置する予定です。

  suspect:〔+(that)〕〈…ということに〉うすうす気づく(他動詞)➡︎この場合の意味

  the estimated maximum seismic ground motion:地震が起きたときに地面がどれくらい揺れるかを、予測される最大の数値で表したもの=最大推定地震動

  set up:設置する、設立する、準備する(他動詞的)

  

Hayashi told a news conference in the central Japan city of Nagoya, where the company is headquartered, that the possible negligence "could have a serious impact on the Nuclear Regulation Authority's examination," as well as "undermine trust in our nuclear power business and shake the foundations of our operations."

林氏が名古屋市(会社の本拠地)での記者会見で語ったところによると、考えられる過失は「原子力規制委員会の審査に深刻な影響を与え」、さらに「当社の原子力事業への信頼を損ない、事業基盤を揺るがす可能性があります。」とのことでした。

  news conference:記者会見

  headquartered:動詞「headquarter」の過去分詞形であり、形容詞的に使われることが多いです。主に「be headquartered in 場所」の形で、「〜に本社を置いている」という意味

  negligence:怠慢、不注意、過失(不可算)

  examination:試験、検査、調査(加算又は不可算)

  undermine:ひそかに傷つける、いつのまにか害する、(浸食作用で)(…の)根もとを削り去る(他動詞)

   shake the foundations of our operations:私たちの事業の基盤を揺るがす

(物語)

「やあ❗️アルバートゥイチ 、おっかねえ顔してよ❗️勘弁してけれや、な、威張るなって❗️おい❓」百姓達はにやにや笑いながら言いました。

ロストフは酔った百姓達を見て、くすくす笑いました。

「それで、どうしたと言うのだ❓」と、ロストフはアルバートゥイチ に聞きました。

「お恥ずかしい話ですが、ここの粗暴な百姓どもが公爵令嬢を屋敷から立ち退かせまいとして、馬を外すと脅しを掛けて来て、その為に朝からすっかり支度しながら、令嬢はお発ちになれない始末なのです。」

「そんなばかな❗️」と、ロストフは叫びました。

「なんで嘘など申し上げましょう。。」と、アルバートゥイチ は言いました。

 

ロストフは馬を降りると、それを伝令に預けてアルバートゥイチに事情を詳しく尋ねながら、本館の方へ歩き出しました。

事実、令嬢が昨日百姓達に麦を分けてやろうとした事と、ドローンが寄合で話し合った事とが、すっかり事態をこじらせてしまったので、ドローンはヘソを曲げて鍵を返し、百姓達の側についてしまったのでした。

そして今朝、令嬢が出発の為に馬を付けるように命じると、百姓達は大挙して倉庫の前に押し掛け、公爵令嬢を村から出す訳には行かない、荷物を搬出してはならぬと言う布告があるから、馬を解く、と言って来たのでした。

アルバートゥイチは、彼らの所へ行って説き伏せようとしましたが、彼らの返答は、公爵令嬢を出す訳には行かない、布告にそう書いてあるからだ、公爵令嬢は留まればいいでは無いか、そうすれば彼らは今まで通り仕えるし、どんな命令にでも服従する、の一点張りでした。

 

ロストフとインリンが街道を馬を飛ばして来た時、マリヤはアルバートゥイチやドゥニャーシャや小間使いの止めるのも聞かずに馬を付けさせて、出発しようとしていました。

ところが、御者達は走って来る騎兵の姿を見て、フランス軍と思い込み、逃げ散ってしまい、家の中には女達の鳴き声が上がりました。

「隊長殿❗️ああ、有り難い❗️神様がお遣わしになったのよ。」

ロストフが控え室にを通る時、感激した声が言い合いました。

 

ロストフが広間へ案内された時、公爵令嬢マリヤは、悄然と椅子に座っていました。

彼が何者なのか、何をしに来たのか、自分がどうなるのか、彼女にはわかりませんでした。

しかし、彼のロシア人らしい顔を見て、またその入って来た態度と最初の言葉から、自分と同じ階級の人間とわかると、彼女はそのきらきら輝く深い眼差しでじっと彼を見つめて、胸の動揺に震える途切れがちな声で語り始めました。

ロストフは、瞬間的にこの巡り会いに何かロマンチックなものを感じました。

『粗暴な暴徒達の群れの中に、ただ1人取り残された身を守る術も無い、悲しみに閉ざされた令嬢❗️しかしなんと言う奇妙な運命が俺をここへ導いたのだろう❗️』と、彼女の言葉を聞きながら、彼女を見守りながら、ロストフは考えました。

『しかし、彼女の顔と表情には何と言う柔和な気品がみなぎっている事か❗️』と、彼女のおどおどした話を聞きながらロストフは考えました。

 

こうした事件が、父の葬儀の翌日に起こった事に話が及んだ時、彼女の声が震え出しました。

しかし、彼女は直ぐに、その言葉がロストフの同情を誘おうとする意味に取られはしまいか、と危ぶむような、ハラハラしたような眼差しを彼に戻しました。

ロストフの目に涙がにじんでいました。

公爵令嬢マリヤは、それを見てとりましたた、そして彼女の顔を醜さを忘れさせるあのきらきら光る目で、感謝を込めてロストフを見守りました。

 

「お嬢様、偶然にこの地に立ち寄りまして、お役に立つ事が出来ます事を、どれほど幸福に思っているか、僕は言葉に表す術を知りません」と、ロストフは言いました。

「どうぞご出発下さい、そして僕に護衛をお許し下さいますよう、何者にもお経様に指一本触れさせぬ事を、名誉にかけて保証致します。」

そして、恭しく一礼すると、彼は扉口の方へ歩き出しました。

ロストフは、その態度の丁重さによって、彼女を知った事を幸福と思う事に変わりは無いが、しかし彼女と親しくなる為にその不幸を利用する事を潔しとしない事を示そうとしたのでした。

マリヤはそれを悟って、その美しい心を嬉しく思うのでした。

 

「本当に、心から感謝致します。」と、公爵令嬢はフランス語で礼を言いました。

「でも、こんな事は皆単なる誤解で、誰の罪でも無いようにあって欲しいと思いますわ。。」

その言葉を聞くと、ロストフは泣きそうな顔になって、改めて深く一礼すると、部屋を出て行きました。

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(解説)

う〜む。。

ま。農民達から村から脱出する為の馬車と馬を拒否されて、屋敷で立ち往生しているマリヤですが、おそらく、この部分の記載によると小間使いや召使い達はこのどうしようもない状況にただただ呆然として、泣いていただけのようですね。

マリヤは、自分が領主(代理)として、こんな時こそ冷静にならなければならないという覚悟は有ったと思います。

だから、当初フランス軍と間違われたロストフ一行が「何者か聞いてきなさい」と命じたのでしょう。

 

たまたまロストフが偶然この村にやって来たのも運命だったのかもしれませんが、もちろんその『運』を拾ったのはマリヤの勇気と積極性だったと思います。

まず、この点に、ロストフは、今まで自分が知っていた女性と違うマリヤの一面を見たのだと思います。

 

そして、初めて広間で出会った公爵令嬢マリヤは、不幸の只中に居たにも関わらず、取り乱す事なく、気品に満ちた言葉遣いと心遣いで彼を迎えたのでしょう。。

身なりは決して派手では無かったと思いますが、知性と慈愛と責任感に満ちた表情を「美しい」と感動したみたいですね。

マリヤは、不美人という設定で、あのアナトーリに「おばけ」とまで言われた女性ですが、ニコライの審美眼は良いですね〜。

ニコライは、この心の美しい利口な女性に運命まで感じてしまいます。

 

一方、マリヤの方も、ロストフの礼儀正しい態度と配慮にとても感謝していますね。

それに自分と同じ階級の人間ということにもほっとしている様子です。

彼女は先日、農民達に無礼な言葉を投げつけられたばかりですし。。やっぱり自分と同じ階級の人間には、同じセンスっていうのがあるのですよね。

 

彼女も彼も、お互い、計算してお互いの好意を引き寄せていると思われたくないのですね。

これは本物の証ですね、お互いの好意が。

こういう出会いって、人生においてなかなか無いと思いますし、全く無いという人も多いと思います。

 

ロストフ(ニコライ)には、ソーニャという幼い頃から結婚を誓い合った恋人が居ますが、どうなるのでしょうかね。

また、ロストフ家の財政危機はいよいよ深刻化している様です。

ニコライにしてみれば、お金目当てでマリヤに近づくなんて発想はもちろんあり得ないのですよね。

彼は、天によってどのような運命に導かれるのでしょうかね。。