気ままな日常を綴っています。 -6ページ目

気ままな日常を綴っています。

いつか静かに消える時まで。。
一人静かに思いのままに生きたい。。

(物語)

長靴の中に血で固まっている、切り捨てられた片脚が、負傷者に見せられました。

「おお❗️おおおお❗️」と、彼は女の様に泣き叫びました。

その負傷者の前に立っていた軍医が、脇の方へ離れて行きました。

「おや❗️どうしたと言うのだ❓なぜあの男がここに❓」と、アンドレイ公爵は思わず呟きました。

今、片脚を切断されたばかりの、泣き喚いている憐れな男に、彼はアナトーリ ・クラーギンを見たのでした。

アナトーリ は両手を抑えられ、コップで水を飲まされようとしていましたが、腫れ上がった唇がひくひく震えて、コップの縁を加える事が出来ませんでした。

 

『そうだ、これはあの男だ。そうか、この男は何かによって緊密に、不快に、俺と結びつけられているんだな』と、目の前の中がまだはっきりとわからずに、アンドレイ公爵はこんな事を考えていました。

『この男と、俺の子供の頃の、俺の生涯との結びつきは、何だったのだろう❓』と、彼は自分に問いかけてみましたが、答えは見つかりませんでした。

 

するとふいに、少年の頃の清らかな愛の世界から、新しい、思いがけなぬ思い出が、アンドレイ公爵の前に蘇って来ました。

彼は1810年の舞踏会で初めて見た、あの首も腕も細い、今にも有頂天になりそうな、びくびくした、幸福そうな顔をしたナターシャの姿を思い出しまいした、すると彼女に対する愛と優しい思いやりが、これまでのいつもより生き生きと、強く、彼の心の中に目覚めました。

彼はようやく、泣き腫らした目にいっぱい涙を溜めて、ぼんやりこちらを見ているこの男と、自分との間にあったあの関係を思い出しました、すると、この男に対する胸底から突き上げて来る様な憐れみと愛が、彼の幸福な心を満たしました。

 

アンドレイ公爵は、もうこらえきれなくなって、人々に、自分に、そして人々と自分の迷いに、優しい愛の涙を注ぎながら、静かに泣き出しました。(※体裁を気にするアンドレイが人前で泣いているのですね。)

『憐れみ、兄弟達の愛や愛する者達に対する愛、我々を憎む者に対する愛、敵に対する愛ーーそうだ、これは地上に神が説いた愛だ。妹のマリヤに教えられたが、理解出来なかったあの愛だ。これが分からなかったから、俺は生命が惜しかったのだ。これこそ、俺が生きて居られたら、まだ俺の中に残されていたはずなのだが、今はもう遅い。俺にはそれがわかっている❗️』

ーーーーー

(解説)長いです。

はい。非常に重要なシーンです、そして、難解なシーンだと思います。

 

で、アナトーリ は自慢の長い片脚を失って、気も狂わんばかりに嘆くのですね、それを見て、アンドレイ公爵は憐れに思い、自然発生的に『アナトーリ を許した』事になっています。

この時、アンドレイとアナトーリ の間には意思の疎通はありません。

そしてね、『憐れみ、兄弟達の愛や愛する者達に対する愛、我々を憎む者に対する愛、敵に対する愛ーーそうだ、これは地上に神が説いた愛だ。妹のマリヤに教えられたが、理解出来なかったあの愛だ。これ(=神が説いた愛=真実の愛)が分からなかったから俺は生命が惜しかったのだ。(※下線部:この世で社交界とか皇帝に認められるような功績を上げ人から見上げられるような人生を送る事を指している、それを達成できなかった人生だから生命が惜しかった、とアンドレイは言っている、と私は理解する。)これ(=神が説いた愛=真実の愛)こそ、俺が生きて居られたら、まだ俺の中に残されていたはずなのだが、今はもう遅い。俺にはそれがわかっている❗️』と急に悟る事になっています。

 

でも、ちょっと唐突過ぎませんか❓ほんの1ページにも渡らんモノローグですけれど。。

これを素直に読むと、アンドレイがまたまた『上から目線で勝手に開眼し、アナトーリ を許してやった』とも取れるんですよ。

もっと乱暴な読み方をした場合、自慢の美しい脚を片方失くしたアナトーリ を見て、『そら見たことか。無責任な愛を貪っていたツケがきたんだよ。』と、冷ややかな感じで『彼はこうなったのだからもう気が済んだ、許してやろう。。』とも取れるんですよね。

 

しかし、果たしてそうか❓と思ったのです。トルストイ先生は、恐らくね、アンドレイの中に生命への愛がそもそも存在している事を示唆しています。(ピエールもアンドレイの中にそういう優しさがあった事を認識していたと思います。)

彼は、スモーレンスクに近い実家の禿山がフランス軍に荒らされた時、召使いか農民の子の少女2人が温室の木からこっそり杏の実を取って帰ろうとしているのに出くわしたけれど、見て見ぬ振りをして見逃すのですね。

彼は、その杏の実を食べたい、と思う少女達の思いに『尊さ』を見た。。という記載があったからです。非常に細かい部分ですが、トルストイは、アンドレイが生きる者が生きようとする、食べたいという欲望を、『生命を繋ぐ尊い行為』だ、と思ったという様なニュアンスで記載しています。

それと対比するのが、この包帯所で負傷して裸にされている、ただの『大砲の餌』となっている人間の肉体です。『生を繋ぐ事が出来ない牢獄の中にいるような人々』です。(※第3巻・第2部(5−2)アンドレイ公爵、禿山の自然の中で『生きる』少女達を慈愛の目で見る。)

 

そしてね、アンドレイは、泣き叫ぶ男がアナトーリ だ、と知った時、彼が何故泣いているのか、それを『男性としての勘』から察知したのだと思います、すなわち『もう、自分は女性を愛せない=命を感じることがもう出来ない』という無念さですね。

そうです、アナトーリ は、ナターシャがアンドレイの婚約者である事を知っていたけれど、アンドレイがナターシャを放って置くのならフリーも同然と、彼女の魅力に素直に屈したのですよね。

自分も妻帯者でしたが、彼にとって、『結婚』というものはただの紙切れであって、魅力的な女性を愛して何が悪い、という理屈だったのだと思います。

だから、アナトーリ は、『その時その時は真剣だった』のですよね。

ねえ、アナトーリ のそんな愛って、理性的とはいい難くても、やっぱり『生命を繋ぐ愛』に繋がりません❓

アンドレイは、『まさに、その事』に気付いたんじゃないかな。。と思うのです。

 

アンドレイは、ナターシャの不貞が発覚した時「何故、俺がアナトーリ のお手つきを貰わないかん❗️」と怒鳴った人です。

アンドレイは、世間体を気にし、父の顔色を疑い、ナターシャが頭が良くないので、ちょっと疎ましい。。。と馬鹿にもしていたと思うのですよ。

だから、アンドレイは、ナターシャの全てを愛せていなかった、彼には『愛に対する真剣さ』を欠いていた、だから、ナターシャはアナトーリ の誘惑に負けたのだ、結局、自分の愛が足りなかったのだ。。と気付いたと思うのです。

 

そしてね『敵に対する愛』ってあるでしょう❓

これはね、戦争の敵などを指すのではなく、『相手の欠点』を愛する。。という意味ではないか、と思ったのです。

(だって、どうしても噛み合わない人とは、愛を考える前に、自分から遠ざけるのがベストでしょう。それは神も認める所です。だから、そういう存在でない人を愛した場合の『相手の欠点を愛する』。。という問題です。)

すなわち、自分の中にも欠点があると同様、相手方にもある、だから、それをも許容して、それをも愛する事によって、お互いの自律的な成長を促そう。。という意味では無いかな、と思いました。

恐らく、この最後の3行の短い文章の中に、トルストイはその様な『愛のテーマ』を記載していると思うんですけれどね。。

そして。。『運命の相手』となり得るのはその様な努力を常に成し得た者だけなのですね。。アンドレイは、ナターシャの運命の人にはなれなかった、という事です。

運命の人は、元々決まってるんじゃなくて、(自分が)後天的になれるのかなれないのかだと思うんですよ。

 

(追記)アップ直前に記載しとります。

しつこいようですが。。

相手の欠点に対する愛があれば、相手は「それを直さなければならないのだ」と素直に思えるもんだと思うのですよ。

「お前のこういう所はダメだね」っていうのは愛がないんです。だから指摘された方も反発するし、そうかな❓という気持ちも起きないし、治そう、成長しようという素直な心が生じないものなんですよね。

「君がもし、こういう風に言えるとしたら、君はもっと愛される存在になるし、それがふさわしいし、私も嬉しいのです。」といった場合、相手は「そうだな。。がんばろ。』とか思えるもんだと思うんです。

 

恐らく、ナターシャがアンドレイの知的な手紙を、むしろ嫌悪感を持って眺め、自分もアンドレイの水準まで背伸びしようという気持ちも起きなかったのは、こうした行き違いがあったからじゃないかな。。と思います。

アンドレイがもし「こういう所に行き、こう感じた。今度は君と一緒に旅したいな。。」とでも書いていれば、ナターシャの知的好奇心はもっと掻き立てられたと思うのですよね。

「ナターシャなんかにはわからんだろうけど、俺はこういう知的な人物に会った。。」みたいな手紙だったんだろうな、って思うんですよねー。どーだろ❓

 

お早うございます♪   今朝は、令和8年3月18日の日記です♪

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こんばんはー♪  現在17時27分です♪

室温16.3度。湿度52%です。

今日は朝から雨降りでした。

お花達は、生き生きしてるんですけれどね✨

人間は家の中でじと〜としていましたわ。

 

昨夜は、まあまあ寝れていたと思います。

動画を回したまま寝てしまっています。これは良くあることですね。。

インターネットは電気もあまり消耗しないので、油断してしまいます💦

気をつけよう。。

で、朝は遅めです💦

 

いつもの作業をやっていました。

ピックアップした英字新聞の記事は、文法的には優しいと思いましたが、英単語がめっちゃやたら難しくてめちゃくちゃ時間がかかっていました💦

ノート15冊で一旦中止して、通読と読書のサイクルにしたいのですけれどね。。(現在ノート10冊目が終了するところ。恐らく。。今年一杯は続けそうです、英字新聞💦)

頑張ろうと思います❣️

 

朝ごはんは、昨朝に作った茶碗蒸しの残り。

湯煎にしていますが、「すが入って」しまいました💦

まー、あったかいのがごちそうですからね。それに三つ葉もかまぼこも変色してしまってますね。

でも、美味しかったです(^。^)

 

本業はまあまあですが、動くという発想は持たない方が良いと思いました。

英単語をひたすら調べていました。

お天気じゃないと、ちょっと気分が上がりませんね。。

お天気だったら気分転換に窓拭きとかするんですけれどね。

 

今頃さちぴんさんはお弁当作りに大奮闘かな❓とか思っていました。

自分はもはや自分の為だけしか生きていないような人なので、そんなに暇なく働いていいた時代が懐かしいです。

 

お昼ご飯は、今キャベツがお安いので小さく切って粉30g位を振って、お水を入れて豚細切れと一緒に焼きました。

今日は卵は遠慮しました。

お好み焼きソースとマヨを掛けていただきました✨

とても美味しかったです(^。^)

 

食後にアイスまで頂いて「あゝあ。。。」と思っていました💦

 

14時頃まで英字新聞を頑張って、それから英語の通読に行きました。

今日は、南薬院のマクドです。

居心地良いからね。

途中の景色はイマイチですけれど。

 

菅原神社の横の竹藪です。

うちの息子の自宅の裏も竹藪です。

毎年筍が採れるみたいですが、竹藪を整備していないと不作になるみたいです。

この竹藪もきちんと整備されていますね。。

竹藪の整備は結構な重労働になるみたいです。

豊作で、少し収入になればいいけれどね。。と思っています(^。^)

 

今日は16時くらいまでかな。。

英語の通読だけで読書まではできませんでした。。

 

晩御飯は昼間仕込んでおいたカンパチのアラの1切れを入れたお鍋。

キャベツがお安いので、大根とお豆腐と一緒に煮込んでいます。

美味しかったですが、まだまだお野菜とお豆腐が残っているので、明日の朝頂こうかな。。と思っています。

お昼にはおじやにすると思います。

 

さて、今日はこんな感じです。

今から英語のノート整理を少しします。

後5冊ちょっとですから、猛スピードでやっちまうと思います、せっかちです💦

 

それでは、今日も良い一日をお過ごし下さいね💞

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(余談)

The team presented nearly 1,300 UK-based participants with 10 different scenarios, such as a headache after a night out drinking, a new mother feeling exhausted or what having gallstones feels like.

研究チームは、英国在住の約1300人の参加者に対し、夜の飲み会後の頭痛、新米の母親が感じる強い疲労、胆石の症状など、10通りの異なるシナリオを提示した。

  present:(問題などを)提供する(他動詞)➡︎この場合の意味

  scenario:(起こりそうな)筋書き(加算)➡︎この場合の意味

  a night out drinking:夜の飲み会

  gallstone(ガーストーン):胆石(加算)

   what having gallstones feels like:胆石があるとどんな感じか(=胆石の症状)

 

Then the researchers randomly assigned the participants one of three chatbots: OpenAI's GPT-4o, Meta's Llama 3 or Command R+. There was also a control group that used internet search engines.

参加者は無作為にOpenAIの「GPT-4o」、メタの「Llama 3」、Cohereの「Command R+」のいずれかを割り当てられた。これとは別に、インターネット検索エンジンを使用する対照群も設けられた。

  participant(パーティシパント):参加者、関係者

  randomly:無作為に、手当たり次第に、ランダムに(副詞)

  assign:割り当てる、任命する、指定する、与える(他動詞)

  a control group:対照群、コントロール群

  internet search engines:インターネット検索エンジン

 

People using the AI chatbots were only able to identify their health problem around a third of the time, while only around 45 percent figured out the right course of action.

AIチャットボットで自分の健康問題を正しく特定できた人は約3分の1にとどまり、適切な対応策を見極められたのも約45%にすぎなかった。

  around a third of the time:およそ3分の1の時間(または数量)

  figure out:把握する

  the right course of action:適切な対策

※「find out」が「情報を見つける」こと、「figure out」が「問題を解決する」ことを指す。

 

This was no better than the control group, according to the study, published in the Nature Medicine journal.

この研究は、『ネイチャー・メディシン』誌に発表されたものですが、これは対照群と比べて全く改善が見られなかった、となります。

 

The researchers pointed out the disparity between these disappointing results and how AI chatbots score extremely highly on medical benchmarks and exams, blaming the gap on a communication breakdown.

研究者らは、こうした期待外れの結果とAIチャットボットが医療水準と試験で極めて高得点を取ることとの間に大きな乖離(かいり)があるとし、その原因はコミュニケーションがうまくいっていないことにあると指摘した。

  disparity:相違、格差、不均衡(不加算または加算)

  benchmark:水準基標、基準(加算)

  medical benchmarks and exams:医療水準と試験

  blame:責める、非難する、〜のせいにする、責任を負わせる(他動詞)

  gap:割れ目、裂け目、すき間(加算)

  breakdown:破損、故障、崩壊、没落、瓦解(がかい)、(交渉などの)決裂(加算)

(物語)

血で汚れた手術衣を着て、1人の軍医が天幕から出て来ました。

軍医の目は、負傷兵達の上の方へ向けられていました。

「よし、すぐやる」と、彼はアンドレイ公爵を指さして何やら言った衛生兵の言葉に答えると、アンドレイ公爵を天幕内へ運び込むように命じました。

待っていた負傷兵達の中から、不平の声が上がりました。

「どうやら、あの世でも旦那方だけが生きられるらしいな。」と、1人が言いました。

 

アンドレイ公爵は運び込まれて、衛生兵から何やら洗い流して綺麗にしたばかりの台の上に横たえられました。

アンドレイ公爵は、天幕内に有るものを見分ける事が出来ませんでした。

そこらじゅうから聞こえて来る悲痛なうめき声と、大腿部と腹と背の激痛が、彼の注意を散らしました。

周りに見えるもの全て、裸にされた血まみれの人体という総合的な印象に溶け合い、それが、数週間前のあの暑い8月の日に、この同じ肉体がスモーレンスク街道沿いの汚い池を埋めていたように、天幕内の床を一面に満たしているように思われました。

そうだ、これはまさにあの同じ肉体だった、あの『大砲の餌』だった。。そして、あの光景が現在のこれを予言していたかのように、アンドレイ公爵に恐怖を覚えさせたのでした。

 

天幕内には3つの台があり、2つは塞がっており、アンドレイ公爵が横たえられたのは3つ目の台でした、しばらくそのままにしておかれたので、アンドレイ公爵は心ならずも他の2つの台の上で行われている事を見ました。

近い方の台には、タタール人が座っていました、側に脱ぎ捨てられた軍服からすると、彼はコサックのようでした。

眼鏡を掛けた軍医が、タタール人の筋肉の盛り上がった褐色の背中を切開しました。

タタール人は暴れ、胸をえぐるような獣じみた叫び声を長々と引っ張っていました。

 

もう1台の周りには、大勢の衛生兵達が群がり、大きな太った男が仰向けになって寝ていました。(その男の縮れた髪や頭の形が、アンドレイ公爵に妙に見覚えがあるような気がしました)

数名の衛生兵が、その男の胸の上にのしかかって、押さえつけていました、白い大きな肉つきの良い片脚が、絶えずひくひくと震えながら、激しくもがいていました。

その男は、狂的に泣き喚きながら、喉を詰まらせていました。

2人の軍医が黙々と、この男の、もう一方の赤い脚の上にかがみこんで何かをしていました。

 

タタール人の手術を済ませると、軍医は手を拭きながらアンドレイ公爵の台の側に来ました。

衛生兵が、袖をまくりあげた両手をせわしなく動かして、ボタンを外し、服を脱がせた時、アンドレイ公爵の頭には、遠い幼子の頃の思い出が蘇って来ました。

軍医は傷口を覗き込むようにして調べ、手で触ってみて、重い溜息をつきました、それから彼は目で誰かに合図をしました。

その時、腹の内部の激しい疼痛がアンドレイ公爵を失神させました。

彼が意識を取り戻した時、大腿部の砕けた骨は摘出され、肉の小片がえぐり取られて、傷口には包帯が巻かれていました。

 

苦痛に絶え抜いた後で、アンドレイ公爵は久しく忘れていた幸福を覚えました。

彼の人生における最良の幸福な時々が、特に遠い、物心ついたばかりの幼子の頃、服を脱がされて小さなベッドに寝かされ、乳母があやしながら子守唄を歌ってくれた事や、枕に頭を埋めて、人生の幸福な意識だけに包まれていた時の事などが、過去の思い出としてではなく、現実に目の前にあるものとして浮かんで来ました。

 

頭の形がアンドレイ公爵には見覚えがあると思われたあの負傷者の周りでは、軍医達が慌ただしく動いていました。

彼は助け起こされてなだめられていました。

「見せてくれ❗️。。おおお。。お❗️」と、もだえ泣きに断ち切られた、怯えきった、苦痛に負けたうめき声が聞こえて来ました。

このうめき声を聞いていると、アンドレイ公爵は泣きたくなりました。

栄光に飾られずに死んで行かなければならぬからなのか、生活と別れるのが惜しまれたからか、これらの帰り来ぬ幼年の日々の思い出の為か、自分も苦しみ、他人も苦しみ、この男が目の前でこんなに惨めに泣いている為か、しかし、アンドレイは子供のような、善良な、ほとんど喜びの涙で、泣きたかったのでした。

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(解説)

はい。ここは、信仰心も強くないし、死に直面した事も無い私が何か言える部分ではありません。

しかし、無理して、アンドレイ公爵の気持ちを分析してみました。

 

アンドレイ公爵は瀕死の重傷をおって、天幕内で処置を受けるのですが、辛い治療に耐えた後、すなわち、彼の気持ちが少し落ち着いた後に、彼の人生における最も幸福な時代の事を不思議と思い浮かべます。

激しい戦闘で生死を彷徨った人間が、ふと意識を取り戻した時は、こんな印象なのでしょうかね。。

 

彼は、もうこの時には(今度こそ)自分の死を予感していたと思います。

この世であくせくと上を向いて来た自分は、あれはなんだったのだろう。。結局、人間はみんな最後は何もなくなる。。

そう思った時、彼は何も考えないで幸福で愛にも恵まれていた幼少時代を思い出したのかな。。と思います。

 

その時、隣のベッドで苦しみに悶えなく兵士を見ます。

どこかで見覚えがあるような。。。しかし、この時アンドレイ公爵は、彼が何者かは認識できません。

ただ、彼のあまりの絶望と苦しみに立ち会って、『この人は一体、なぜこんなに絶望しているのか❓』と思ったと思います。

しかし、アンドレイ公爵の心には、既に仏(=神)が芽生えていたのでしょう。。

アンドレイは、この男の惨めに泣く姿になんとなく愛おしさすら感じるのでした。。(なぜなら、アンドレイ公爵にはこの男の苦しみが少しは理解出来る気がしたから。)

 

さて。。実はこの部分は、次の『アナトーリ への許し』というアンドレイのモノローグの前提となります。

アンドレイ公爵は、アナトーリ が泣きわめく姿を見て、彼から『愛というものについて』一体何を学び、彼を許す事になるのでしょうか。。

次は、トルストイが愛について語る非常に重要な部分になると思います。