気ままな日常を綴っています。 -5ページ目

気ままな日常を綴っています。

いつか静かに消える時まで。。
一人静かに思いのままに生きたい。。

(物語)

番小屋に戻ってくると、ペーチャは入口に立っているデニーソフ を見ました、デニーソフ は胸が騒いで心配でじっとしていられず、ペーチャを出した自分を攻めながら、彼が戻るのを待っていました。

「よかった❗️」と、彼は叫びました、「ああ、よかった❗️」と、ペーチャが有頂天になっている話を聞きながら、彼は繰り返しました。

「こいつめが。君のおかげで眠れなかったぞ❗️」と、デニーソフ はどやしました。

 

「まずは何よりだった。さあ休みたまえ。朝までまだ一眠りできるぞ。」

「ええ。。いいえ。僕は眠りたくありません。僕は自分を知っています、目を瞑ったらもうそれっきりです。それに戦闘の前には眠らない癖がついているんです。」

ペーチャはしばらく小屋の中に座って、今の偵察行を詳細に思い出して胸を踊らせたり、明日の剣を思い描いたりしていました。

やがてデニーソフ が寝入ったのを見ると、彼は立ち上がって外へ出て行きました。

 

外はまだ真っ暗でした、雨は上がっていましたが、まだ木の枝から滴が落ちていました。

コサックの仮小屋で、一緒に繋がれた馬どもの姿が黒々と見えました。

コサックや軽騎兵の中には起きている者も居て、そちこちで滴の落ちる音や、すぐその辺りで馬の草を食む音と混じって、低い、囁くような話し声が聞こえていました。

ペーチャは軒先へ出ると、闇の中を見回して、輜重車の方へ歩いて行きました。

輜重車の下に誰かのいびきが聞こえ、その周りに鞍をつけられたままの馬がたたずんで燕麦(からすむぎ)を噛んでいました。

 

ペーチャは闇の中に自分の愛馬ーー白ロシア産の馬だが、カラバック(※コーカサスの良馬の産地)という名をつけていましたーーを見分けると、その側へ行きました。

「なあ、カラバック、明日はしっかりやろうな。」と、彼は愛馬の鼻孔に接吻してやりながら言いました。

「なんだね、旦那、眠れんのかね❓」と、輜重車の下に座り込んでいたコサックが言いました。

「そうじゃ無いよ。確か。。リハチェフだったな❓僕は今戻って来たばかりなんだよ。フランス軍の陣地へ行って来たんだ。」

そしてペーチャは、偵察に行った事ばかりでなく、なぜ行ったか、なぜやみくもに攻撃するよりも、自分の生命を危険に晒す方が良いと思うのか❓という事について詳しく話しました。

 

「そりゃいいが、少し眠っておいた方が。。」と、コサックは言いました。

「いや、僕は慣れてるんだよ。そりゃそうと、君のピストルの火打ち石はすり減って無いかい❓僕は持ってるんだよ、要らないか❓やるよ。」

コサックは、ペーチャの顔がよく見えるように、輜重車の下から顔を出しました。

「僕は何でも正確にやる癖がついているんだよ。」と、ペーチャは言いました、「行き当たりばったりに準備もせずにぶつかって、後で臍を噬んでいる者も居るが、僕はそういうやり方は嫌いなのさ。」

「そりゃ本当だ」と、コサックは言いました。

 

「それから一つ頼みだが、ねえ君、僕の軍刀を研いでくれないか❓刃こぼれ。。(と、言いかけて、ペーチャは嘘がつけなくなりました)まだ1度も研いで無いんだよ。研いでくれるかね❓」

「ああ、いいですとも。」

リハチェフは立ち上がって、荷の中をかき回し始めました。

間も無く鋼鉄と砥石の男性的な音が、ペーチャの耳に聞こえました。

彼は輜重車の上に這い上がって、その端に腰を下ろしました。

コサックは輜重車の下で軍刀を研いでいました。

 

「どうだね、皆眠っているのかい❓」と、ペーチャは言いました。

「眠っている者もあれば、こんな事をしてる奴もありですよ。」

「ところで、あの少年はどうしてるかな❓」

「ヴェセンニイかね❓あそこの乾草の中に寝てるよ。ぐっすり眠りこけてるよ。よっぽど安心したんだな。」

ペーチャはその後、長い事辺りの気配に聞き入りながら、黙り込んでいました。

 

闇の中に足音が聞こえて、1つの黒い姿が現れました。

「何を研いでいるんだ❓」と、輜重車の側へ近づきながら、その男は言いました。

「なに。。そこの旦那の軍刀を研いであげてるのよ。」

「そりゃ感心だ。。カップはここじゃなかったかな❓」

ペーチャは、この男は軽騎兵だな。。と思いました。

「そこの車のとこだよ。」

軽騎兵はカップを取り上げました。

「もうじき夜が明けるな」と、あくび混じりに言うと、彼はどこかへ歩み去りました。

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(解説)

まあ。。なるべくこのペーチャという少年に弁護的に書きたい所ですが。。

この人はまだ16歳で子供ですが、それにしても幼すぎますね。

さすがは、人に良い顔しか出来ない見栄っ張りのロストフ家の次男ですね、としか言いようが無いですね。

こう言う人に身分がある、って言うのがまたネックな訳ですよ。

何れにしても。。このまま彼に『学び』がなければ、この人は軍隊では絶対にやっていけない人間だって気づいたのでしょうけれどね。

誰も、この少年にはキツくは言えないのですね、一応『士官』ですし。

 

ペーチャは、偵察に連れて行かれた自分を『立派な軍人』と思い込み、たまたまそこに居たコサック(おそらくペーチャ以上の戦闘能力を持っている)に、とうとうとドーロホフの受け売りを聞かせるという愚かぶりです。

そして、明日の戦闘で、自分が大活躍すると言う気がしてならないのですね。

命をかけた戦闘を、まるで小学生が明日の遠足を楽しみにするみたいに思っています。

軍刀も自分で研いだ事もないのにね。(彼はこのコサックに一度も研いだ事が無い軍刀を研がせますけれど。)

『命』が掛かった戦闘という場面で、おそらくフランス語も算術もパッとしないというかその習得ですら努力をしなかった人間が何か凄い事が出来るとでも言うのでしょうかね。

勉学と戦術とは話が違うと言っても、人間的な忍耐強さは共通でしょう。

 

この人が、犬死してしまうと言う流れは、気の毒で、決してペーチャだけが悪いとは言いませんけれど、あまりにも残念な人すぎますね。

ニコライも若い頃は酷かったですが、彼は『命への恐怖』と言うものは持っていたから、生き延びて成長できたのですけれどね。。

ニコライが人間の素直な感情(死傷への恐怖心)に従ったのを、自己嫌悪しているシーンが、アウステルリッツ前哨戦で描かれていたと思いますが、実は『その感覚』こそ、トルストイは大事だって言っているように思うのですよね、ここまで読み進めてくると。(個人が自分の命を大事にするのは当たり前だろ。※これは『死を恐れるな』とは別次元の話)

しかし直接的に国家存亡の危機が迫っていたと言う時代背景で、安易に『命をかけても敵を攻撃せよ❗️』と、周囲がそれが英雄と言うのなら、そう言う流れになる時代だったのかな。。

両親はその考えがおかしいと思いつつも、ペーチャを抑える事が出来なかった。。その理由が親自身の(金銭面など全般的な)無鉄砲さに有ったと言うのも皮肉な話です。

 

こんなペーチャの側面をデニーソフ はちゃんと見抜いており、彼を偵察にやらせたのは間違いだったかも。。とオロオロしながら彼の帰りを待っていた始末です。

お早うございます♪  今朝は、令和8年7月29日の日記です♪

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こんばんはー♪  現在17時34分です。

室温30.7度。湿度50%です。

13時30分から17時までエアコンのお世話になっていました。

 

昨夜はよく眠れましたが、今朝は遅くて5時50分でした。

まー、途中で薄ら目を半開きにはしていたと思いますが、起き上がってブログフォローチェックをするまでの元気は無かったですね。

ま、今の所、自分への差し迫った『課題』が無いからですね。

連載するような本の感想とか。。やはり『これ』と思える本に出会うのは難しいですね。。

 

今、トルストイの『復活』を読んでいます。

トルストイの描きたい事は分かるようには思いますが、さすがに本業の小説家となると、なんとか本を書き続けなければなりませんので、やっぱりよく練られているのと少し物足りないのがあるのように思います。

『復活』は、上巻の半分以上を読みましたが、貴族のネフュードルフが落ちぶれてしまったカチューシャへの愛を貫くことこそ、純粋な愛なのだと覚醒するという経緯がね、ちょっと無理があるように思います。

 

また、刑事事件の場合は、例えば殺人罪の構成要件該当性を判断する場合、客観的構成要件➡︎主観的構成要件(故意)を充足するかを、判断するのですが、物語では『主観的構成要件』の判断をうっかり忘れてしまった、というお粗末ぶりです。

陪審員は素人ですが、あらかじめその条件は言われているはずですし、ネフュードルフに至っては、教養がありますから、そんな『ポカ』をする、っていう成り行きがね、お粗末過ぎると思うんですよ。

その上で『あの無実の女に徒刑を課してしまった。。。』と反省して、それを取り消すべく走り回るネフュードルフは滑稽な感じもします。

この話は、ざっと読むという流れになりそうです。第2巻は圧巻になると思われるので、期待はしているのですけれどね。

 

今朝は暗かったので6時半くらいまで電灯をつけていました。

パソコンの画面はドイツのザクセン地方のモーリッツブルグ城です。

なんか上から見るとオモチャみたいな色合いですね。。

 

これはネットから写真を拝借しました。

こうして見ると、とても美しい風景です。

ここね、行ってみたいんですよ。

 

これは我が家にあるマイセンのモーリッツブルグ城。。✨

かなり忠実に再現していると思います。全て手書きですね。。金彩も。

 

はい。朝ごはんはシンプルに。

 

それから流しと水回り(洗面所・トイレなど)の掃除をしました。

明日の午前10時からマンションの電気系統の調査があ理、個人宅内にも立ち入りがあるのでね💦

 

ということで、明日の午前中は自宅に居なければならないので、曇っている今朝は、朝から遊びに行くことにしました。

本業も面白く無いしね(^。^)

曇っていて、晴天の日よりも歩きやすいですが、やっぱり蒸し暑いですね。。

 

帰りに100均一でボールペンとノートを購入して帰りました。

お昼は朝作っておいた冷麺です。

これはねー。大量でしたわ💦

時々冷蔵庫に入れて間を起きながら食べきりました💦 14時くらいまでで💦

お肉は入れない方が食べやすかったですね。

 

その間から15時くらいまでちょっとネットで遊んだりして英字新聞はあまり消化しなかったです💦

16時過ぎてから慌てて少しやりました。

 

晩御飯はね、要らないかな。。わかりませんけれど。

なんかモスライスバーがが食べたい気はしますけれど。。(これから食べに行くかどうかわかりませんわー)

 

それでは、今日も良い一日をお過ごし下さいね💞

 

(追記)

やっぱ食べたわ💦

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(余談)

FIFA has banned fans from bringing refillable water bottles into World Cup venues in a last-minute policy change that will force thirsty supporters to pay for bottled water, The Athletic reported on Wednesday.

FIFAは、ワールドカップの会場に観客が再利用可能な水筒を持ち込むことを禁止する措置を取りました。大会直前になって行われたこの方針転換により、喉が渇いたサポーターたちは会場でペットボトルの水を買わざるを得なくなると、水曜日にザ・アスレチックが報じました。

  ban:+目的語+from+doing〕〈人に〉〔…することを〕禁止する(他動詞)

  refillable(リーフィラブル):詰め替え可能な(形容詞)

  venue(ヴェニュー):〔競技大会・コンサート・会議などの〕開催地、会場

  last-minute:直前の、土壇場の、ぎりぎりの(形容詞)

  in a last-minute policy change:土壇場での(直前の)方針変更・政策変更で

  force:〔+目的語+to do〕〈人に〉〈…することを〉余儀なくさせる(他動詞)

  thirsty:のどが渇いた、飲み物がほしい(形容詞)

 

As recently as last month, FIFA's official stadium code of conduct included a clause which read: For the avoidance of doubt, empty, transparent, reusable plastic bottles, up to (1 liter in) capacity, may be brought into the Stadium.

つい先月まで、FIFAの公式スタジアム行動規範には、次のような一文が含まれていた。『誤解を避けるために明記すると、容量が最大1リットルまでの空の透明な再利用可能なプラスチックボトルは、スタジアム内に持ち込むことができる。』

  As recently as last month:つい先月まで

  code of conduct:行動規範

  code:(ある階級・学校・団体・同業者などの体系のある)規約,規則,規定; 慣例➡︎この場合の意味

  included a clause which read:次のような条項が含まれていました

  clause:契約書や条文の一つひとつの「条項」➡︎この場合の意味

  doubt(ダウト):疑い、疑惑(名詞)➡︎この場合の意味

  For the avoidance of doubt:疑義を避けるために、念のため明確にしておくと

  transparent(トランスペアレント):透明な、透き通る(形容詞)

  reusable(リユーザブル):再生利用可能な(形容詞)

 

However The Athletic reported on Wednesday that those guidelines had now been tweaked to explicitly ban refillable bottles.

しかし、スポーツ専門メディアの「The Athletic」は水曜日、これらのガイドラインが改定され、再利用可能なボトルを明確に禁止する内容に変更されたと報じた。 

  been tweaked:少し手を加えられた/微調整された(受動態の完了形)

  explicitly(イクスプリサトゥリィ):明確に、はっきりと(副詞)

 

For the avoidance of doubt, reusable water bottles may not be brought into the stadium, an updated stadium code of conduct read.

念のため明確にしておくと、再利用可能なウォーターボトルはスタジアム内に持ち込むことはできないと、更新されたスタジアム行動規範には記されていた。

  updated :更新された、改訂された(形容詞)

  read: (…と)解される; (…と)書いてある(自動詞)➡︎この場合の意味。他動詞用法もある。

 

In a statement to AFP, a FIFA spokesperson said the rule change was taken on safety grounds, noting that several World Cup venues already barred the use of refillable water bottles.

ワールドカップ会場では既に複数の会場で再利用可能な給水ボトルの使用が禁止されていることを踏まえ、安全上の理由から規則を変更したと、FIFAの広報担当者がAFPに対して述べた。

  be taken on safety grounds:安全上の理由に基づいて(決定・措置が)取られる

  safety grounds:安全上の理由・根拠

  noting:…と付け加えて述べながら、…と指摘しつつ

  barred(バード):棒などでふさがれた、立ち入りや行為を禁止された、縞模様の(形容詞)

 

FIFA is committed to protecting the health and safety of all players, referees, fans, volunteers, and staff, the statement read.

FIFAは、すべての選手、審判、ファン、ボランティア、そしてスタッフの健康と安全を守ることに尽力していると、その声明は伝えている。

  be committed to ~:~に深く関わっている/強く専念している/真剣に取り組んでいる

  

(物語)

フランス軍の外套と軍帽をつけると、ペーチャとドーロホフは、デニーソフ が敵陣を眺めたあの防火線に向けて出発しました。

そして森から谷へ降りると、ドーロホフは同行のコサック達にそこに待っているように命じて、街道を橋の方へ向かって早いダクで飛ばし始めました。

ペトロフカは興奮で息を弾ませながら、彼と並んで馬を飛ばして行きました。

 

「もし捕虜になりそうになっても、僕は生きて捕虜の恥は受けませんよ。ピストルが有りますから。」と、ペーチャは低音で言いました。

「ロシア語を話すな。」と、ドーロホフが早口で囁きました。

すると同時に闇の中から(フランス兵の)「誰か❓」と叫ぶ声と、銃を構える音が聞こえました。

血がかっとペーチャの顔にのぼりました、そして彼は思わずピストルを握りました。

 

「第6連隊の槍騎兵だ。」と、ドーロホフは言いました。

歩哨(監視の兵)の黒い姿が橋の上に立っていました。

「合言葉は❓」

ドーロホフは馬を抑えて、並歩に移りました。

「おい、ジェラール大佐はこちらか❓」と、ドーロホフは言いました。

「合言葉は❓」それに答えずに、道を塞ぎながら歩哨は言いました。

「士官が前哨戦を巡察している時、合言葉を聞く歩哨があるか」と、ドーロホフは腹を立てて、馬を歩哨につっかけながら怒鳴りつけました。「大佐は居るか❓と聞いているのだ。」

そして、脇へよけた歩哨の返事を待たずに、ドーロホフは馬を並歩で坂の方へ進めて行きました。

 

道を横切って行く黒い影を認めて、ドーロホフはその男を呼び止めて、隊長と士官達はどこか❓と尋ねました。

その男は袋を肩に担いだ兵士でしたが、立ち止まってドーロホフの馬の側に来ると、片手で馬を撫でながら疑う気色も無く、親しげに隊長と士官達は丘の上の右手の農場(彼は地主屋敷をこう呼んでいました)に居る、と教えました。

両側の焚火からフランス語の話し声が聞こえている道を進むと、ドーロホフは地主屋敷の方へ折れました。

門を入ると、彼は馬を降りて赤々と燃えている大きな焚火の方へ近づいて行きました。

その周りに数人の男達が腰を下ろして、大声で話し合っていました。

端の鍋で何やら煮ていて、青い外套の兵士が㮶杖(さくじょう:小銃の腔内の手入れに用いる細長い金属棒)で鍋の中をかき回していました。

2人の士官達が鍋の煮え具合について話していました。

 

2人共、馬を引いて焚火の方へ近づいて来るドーロホフとペーチャの足音を聞きつけ、闇の中に目をこらしながら黙り込みました。

「こんばんは、皆さん❗️」と、ドーロホフは大きな声で言いました。

1人の背の高い首の長い士官がドーロホフ の方へ近づいて来ました。

この士官は、見知らぬドーロホフ と挨拶を交わし、何かお役に立てる事が有れば。。と用件を尋ねました。

ドーロホフ は、同僚と連隊を追っているのだ、と語り、皆に第6連隊の事を聞いてはいないか❓と尋ねました。

誰も何も知りませんでした。

しかしペーチャには、士官達が胡散臭そうに警戒の目で彼とドーロホフ を見始めたような気がしました。

「夜食をアテにしてるのなら、遅かりし、ですな。」と、焚火の向こうから笑いを抑えた声が言いました。

ドーロホフ は腹ごしらえは出来ているし、夜のうちにもっと先へ進まねばならない、と答えました。

 

ドーロホフ は、鍋をかき回していた兵士に手綱を預けると、焚火の側へ首の長い士官と並んでかがみました。

この士官はドーロホフ に「どこの連隊か❓」と、もう一度尋ねましたが、ドーロホフ は聞こえなかったふりをして、その問いには答えずに、この先の道はコサックどもの襲撃からどの程度安全か❓と、士官達に尋ねました。

「あの野郎どもは、どこにでも出没するよ。」と、焚火の向こう側から1人の士官が言いました。

ドーロホフ は、コサックが恐ろしいのは、彼と同僚(=ペーチャ)のように隊から離れている者にとってだけで、大きな部隊を襲撃するような力はコサックには無いと思うが。。と言いました。

誰も何も答えませんでした。

 

『さあ。。この辺で引き上げるぞ。』と、ペーチャは絶えず思っていました。

ところがドーロホフ は、いきなり正面から、彼らの大隊には何名位居るのか❓この部隊は何個大隊から成っているのか❓捕虜は何名位居るのか❓と尋ね始めました。

そして、彼らの隊に居るロシア人捕虜の事を尋ねながら「あんな死人どもを引きずって歩くのはかなわんですな。射殺してしまった方がサバサバするでしょうに。。」と、高笑いを始めたので、ペーチャは今にもフランス兵に見破られはしまいか、と一歩退きました。

 

1人のフランス士官が起き上がって、何やら同僚に囁きました。

ドーロホフ は立ち上がると、馬を預けていた兵士を呼びました。

『馬を渡すかな。。❓』と、ペーチャは思い、思わずドーロホフ の方へ行きかけました。。馬は渡されました。

「お元気で、士官諸君」と、ドーロホフ は言いました。

士官達は何やらヒソヒソ言い合っていました。

ドーロホフ は焦れる馬に時間をかけて悠々と乗ると、並歩で門を出ました。

ペーチャは彼の側で馬を進めながら、フランス士官達が追って来るかどうか見る為に振り向こうと思いましたが、その勇気がありませんでした。

 

街道へ出ると、ドーロホフ は野原の方へ戻らずに、村に沿って馬を進め始めました、ある場所で彼は馬を止めると、耳を澄ませました。

「聞こえるか❓」と、彼は言いました。

ペーチャはロシア語の声を聞きました、そして焚火の周りにロシア人捕虜の黒い姿を見ました。

端の方へ下ると、ペーチャとドーロホフ は端の上を行き来している歩哨の側を通って、コサック達が待っている谷に着きました。

「じゃ、これで別れよう。払暁、最初の銃声を合図、とデニーソフに言ってくれ。」と、ドーロホフ は言うと、行きかけましたが、その腕をペーチャが掴みました。

「待って下さい。貴方は英雄です、全く感激です。」

「よしよし、わかったよ。」と、ドーロホフ は言いました。

しかしペーチャは離さずに、彼に顔を寄せました、ペーチャは接吻を交わしたかったのでした。

ドーロホフ は彼に接吻をしてやると、苦笑して闇の中へ消えて行きました。

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(解説)

ペーチャはドーロホフ と共にフランス兵の格好をして敵の護衛隊の偵察に行きます。

まだまだ子供子供したペーチャは、ついロシア語で「捕虜になるくらいなら自分でピストルで絶命します」と覚悟の程を見せます。

ドーロホフ は、『甘ちゃんな子供だな。』と言わんばかりに、今はロシア語で話してはいけない場面なのだ、と諭します。

この二人の小声での会話を聞きつけて、闇の中のフランス歩哨に「誰だ❗️」と聞かれます。

ペーチャはこんな危険な業務は初めてなので、頭に血が登ってしまいます。

しかし、ドーロホフ は冷静そのものです。

彼は、フランス人も驚くほどの見事なフランス語で歩哨と会話を始めます。

 

しかし、埒があかん、とドーロホフ は堂々と歩哨をかわして、途中で出会った兵士から隊長と士官達が地主屋敷に居るという情報をえます。

ドーロホフ はペーチャを従えて、フランス士官に成り切って、地主屋敷の門をくぐります。

士官達は焚火を囲んでいました。

ドーロホフ は、あたかもフランスの士官であるかのような態度で、彼らの大隊の兵士の数、何個大隊からなっている部隊か❓それとロシア人捕虜の居場所を聞き出します。

 

フランス士官達の間には、何か疑問があるようなそぶりが見られましたが、ドーロホフ とペーチャは無事馬を引き渡され、そこから離れる事が出来ました。

ドーロホフ とペーチャは、コサック達が待っている谷まで戻ると、別れを告げて、払暁、最初の銃声を合図、とデニーソフに伝えるようにペーチャに言い渡します。

ペーチャは、ドーロホフ の冷静沈着ぶり、見事なフランス人ぶり、そして何ものも恐れない勇気に感動して、ついドーロホフ に接吻をせがむのでした。。

 

(追記)

ペーチャの素人ぶり、ドーロホフ の玄人ぶりの対比が描かれている箇所だと思います。

おそらくペーチャの様子から判断すると、彼はまだ前線で戦った事が無いのではないかな。。と思いますね。

多分、ペーチャはフランス語もたどたどしかったと思います。

だから、ドーロホフ は「ロシア語を喋るな」(=フランス語も堪能でないのなら、もう一切喋ってくれるな❗️)と言ったところでしょう。

そして『本物の戦士』というものをペーチャに敢えて見せて、『軍人には向いていないから考え直してもいいんじゃないの❓』的な示唆すら見て取れるような場面ですね。。

 

ペーチャは行く所行く所、軍人としてよりも友達感覚で先輩格の兵士達に話したりしていますからね。

ドーロホフ にとっては『ちょっとウザい』存在だな〜と思わせる少年ぶりだったと思います。

最後にペーチャはドーロホフ と別れる時に、接吻を求めますが、ドーロホフ にしてみれば『なんじゃあ〜こりゃ〜』的だったでしょうね。

ペーチャはこんな所にいる人間では無い、ドーロホフ のつぶやきが聞こえるようです。