半世紀近く生きてくると自分の廻りに病気自慢、薬自慢がウイルスが如く増殖している。そんな折、山下洋輔氏がまたも新刊を出され、その文中にはご多分に漏れず病気自慢の話が当然の如く誇らしげに鎮座しているのである。あたかも読者である私たちを諌めてのことなのだろうか、はたまたそれを読んで安慮を得る者がいるからなのであろうか。そうそう寺島靖国氏も読売新聞に掲載しているコラムで、病気自慢な一面を覗かせている。否、一面ではなく全面にだ。とは言っても両者ともに明るさを失っていないのがなんとも救われるね。
クロスビー・スティル・ナッシュ&ヤング(以下略 CSN&Y)唯一のスタジオ盤『デジャ・ヴ』は病的とも思える化学反応を引き起こした。元はというとクロスビー・スティル&ナッシュにニール・ヤングが加わったことでそら恐ろしい作品が生まれたのだ。しかしその実験的ユニットは、二度三度と繰り返されることはなかった。それでいい。それだからこそいいのだ。
<Carry On>、このアコースティックなイントロを聴いて一辺のロック・ファンはツェッペリンのあの曲が思い浮んだことと察する。あの曲だ、あの・・・。畜生、なかなか出てこないツェッペリンのあの曲のあの、それ、ほれ・・・何やっけ。やっぱり出てこない。困ったことに私は営業マンであるからに人の名前や店の名前、挙句の果てに約束すら忘れてはダブルブッキングの昨今。今のいま手に持っていたペン、書類の類が何処へやら超越したマジックのように消え去ってゆく。もちろん私の記憶とやらの小さな世界にあってのこと。悲しいかな幾つもの経験と齢を重ねた結果であろう。心優しき人は私にこう言う、「貴方は忙しいからねぇ」って。ホントありがたいねぇ、報われます。
さてこのCNS&Y、四人の雄姿方々で誰がお好きかと問われれば普通即座にニール・ヤングと答えるであろうが、次の一曲<Teach Your Children>で気にかかり、メルヘンチックな<Our House>で確信、やがて彼のソロ・アルバムでお披露目となった【Chicago】という曲でいとも簡単にしてやられた。言うまでもなくグラハム・ナッシュである。でもどうだろう、このアルバムでスティーブン・スティルスの<Carry On>、デヴィッド・クロスビーの<Almost Cut My Hair>も黙ってはいない。いつもの数十倍の魂とやらが籠っており、鬼気迫るとは大袈裟だが何かが乗り移ったかのようにとんでもなく素晴らしい。
ニール・ヤング一人増えたことでこうも変わるのか。相乗効果、すなわち運命の出会いであったのだろう。<Helpless>、ニールが切々と歌う、感動的だ。どうしようもない、たた身を委ねるほかない。無力と化した自分が“helpless helpless helpless”それでいいのだ。<Woodstock>はジョニ・ミッチェルの手に依るもので、つづく表題曲<Deja Vu>と共にCSN&Yとしてバンドの統率感が良く出ている。すぐさま運命の別れが来ることを知っていたのかも。やっぱり“helpless”。
-NO.614-
★お食事処 漁師の店 “こだわり”★
自身のブログであまり食事そのものをアップすることは少ないのだが、どうしても、どうしても紹介したくなったのだからしょうがない。輪島にあるお食事処“こだわり”という漁師の店。おススメは日替わり御膳があるが、その日は名物とされている“ブリのたたき丼”だ。この写真のほかに若芽のお味噌汁とお新香がつく。海苔がちりばめられた熱々のご飯にかけるのだがそのまま酒の肴に食したい、もちろん能登の銘酒“宗玄”を傍らにおいて。



