こんにちは、白藤(haku)です。
読み終えました。
『死の淵を見た男~吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日~』
未曾有の事故の真実を
後世に伝えなければならない
そんな使命感を持って
福島原発で事故が起きた時に
現場で苦闘していた方々に取材して書かれた
ノンフィクションの人間ドラマ。
読みながら何度泣いたか分かりません。
原発の是非を問うのではなく
あの時、現場で何が起きていたのか
あの場にいた人たちは
どんな思いを抱いていたのか
それが知りたくて、この本を手に取りました。
テレビを通してしか知らなかった
事故現場の出来事。
この本を読むだけでも
想像を絶する状況だったことが伝わってきます。
電源が入らず、真っ暗闇の中を
放射線物質が大量に存在する場所へ
自分の命を顧みずに突入する人たち。
みんなそれぞれに家族がいて
守るべき人たちがいるし、
自分が死ねば残された家族は
路頭に迷うかもしれない……。
それでも
命の危険を知りながらでも
大量の放射能に汚染された場所へ突き進む。
言葉で書くのは簡単だけど、それを
「自分たちの責任」として
「当たり前のこと」として
やり抜いていた方々がいるという事実。
その気力と精神力に本当に頭が下がります。
自分のためだけに生きる人が多い世の中で
家族のため
地域のため
福島のため
日本のために
命をかけて奮闘した人たちがいたことを
知ることができて良かったです。
テレビや新聞しか見てなかったら
決してこの真実を知ることはできない。
メディアに対して改めて不信感を抱いたし、
政府の言うことを
鵜呑みにしちゃいけない
知らなきゃ殺される
と本気で思いました。
福島原発の事故で
甚大な被害が出たことは事実だけど、
この方々がいなければ
日本は滅び、日本人は全滅していたかもしれない。
本当にギリギリの状況で
最悪の事態を避けられたのは
いま、わたしたちが生きていられるのは
現場で必死に働いていた方々のおかげなのだと
心から思います。
本で紹介された亡き吉田昌郎さんの言葉を
そのまま転記しますね。
これを読むだけでも
現場が死と隣り合わせだったことが伺えます。
「格納容器が爆発すると、放射能が飛散し、放射線レベルが近づけないものになってしまうんです。ほかの原子炉の冷却も、当然、継続できなくなります。つまり、人間がもうアプローチできなくなる。福島第二原発にも近づけなくなりますから、全部でどれだけの炉心が溶けるかという最大を考えれば、第一と第二で計十基の原子炉がやられますから、単純に考えても、【チェルノブイリ×10】という数字が出ます。私は、その事態を考えながら、あの中で対応していました。だからこそ、現場の部下たちの凄さを思うんですよ。それを防ぐために、最後まで部下たちが突入を繰り返してくれたこと、そして、命を顧みずに駆けつけてくれた自衛隊をはじめ、沢山の人たちの勇気を称えたいんです。本当に福島の人に大変な被害をもたらしてしまったあの事故で、それでもさらに最悪の事態を回避するために奮闘してくれた人たちに、私は単なる感謝という言葉では表せないものを感じています」
命をかけて日本を守ってくださった方々に
心からの敬意を表します。