月の女神の土地から
フランス、パリから東へ約350km。
パリよりもドイツ国境に近い場所に「リュネヴィル/Lunéville」はあります。
古い地名はルナエ=ヴィラ(Lunae-villa)といい、女神ディアーナ/アルデュイナへの太古の信仰から、月を意味するlunaが含まれていたといわれています。街の紋章には、その伝説を裏付けるように三日月があしらわれております。

Lunévilleの紋章 1870年頃
"Heraldry of the world"より
リュネヴィルはドイツの諸侯が征服を繰り返しましたが、13世紀にはロレーヌ公国の一部となり、歴代のロレーヌ公が好んで暮らす美しい街へとなってゆきます。
リュネヴィルは芸術を育む街、ものづくりの街でもありました。
「夜の画家」の異名を持つ「ジョルジュ・ド・ラ・トゥール(1593-1652)は生涯のほとんどをリュネヴィルで暮らし、多くの傑作を遺しました。また、18世紀から作られだしたリュネヴィル焼や細密で美しいリュネビル刺繍でも有名です。
Saint Joseph
by Georges de La Tour 1642?1645
さて、19世紀末、そんなリュネヴィルで工房を構えたミューラー兄弟。
アールヌーヴォーの一大流派「ナンシー派」の拠点ナンシーからほど近く、物づくりを育む土壌があったリュネヴィルは、彼らにとって工房を構えるのに最適な土地だったのかもしれません。
彼らの作品は、まさに月の光を閉じ込めたような輝きを放ち、アールヌーヴォー・アールデコ期のフランスを彩りました。
パンカーダにも、その光のひとかけらが届いております。
ミューラー パットドヴェール グラスシェード A
http://pancada.net/item/cat55/_a_1.html
ミューラー パットドヴェール グラスシェード B
http://pancada.net/item/cat55/_b_2.html
昼は涼やかな色合いを愉しみ、夜は幻想的な光に酔う。
ミューラー兄弟の光の魔法をご堪能ください。
パンカーダのアンティーク照明はこちらからどうぞ。
by N
久が原のクリスマス
パンカーダ田園調布がある久が原(くがはら)。
環状八号線から少し奥に入れば、驚くほど立派なお屋敷が多く、都内でも屈指の高級住宅街と認知されております。
さて、そんな久が原の静かなお屋敷街に、クリスマスに現れるイルミネーションをご紹介いたします。
「ご自由にごらんください」の小さな看板につられて、純和風の立派な玄関を入れば、奥にはにぎやかなクリスマスの飾りが。
これは、地元の造園会社がご自宅玄関を開放して飾っているクリスマス・ディスプレイ。
格式溢れる和風建築とクリスマスの飾りが不思議に溶け合って楽しい雰囲気をつくりだしております。
私がお伺いした時は、お散歩中に立ち寄ったという若い奥様と男の子が楽しそうに写真撮影をしていました・・・。
お向かいにはテニススクールがあり、そちらも凝ったイルミネーションが展開されています。
3月にはお雛様のディスプレイが公開されるとか。
久が原という街のゆとりを感じるような光景に、忙しい日常を忘れて嬉しくなってしまったひと時でした。
パンカーダ田園調布にお越しの際は、脚を運んでみてはいかがでしょうか。
*ご住所などはご来店の際にパンカーダスタッフにお尋ねください。
by N
ヨーロッパの宝石箱 リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展
渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催されている「リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展」に行ってまいりました。
夕暮れ時、渋谷の喧騒とはかけ離れた静かな空間で至宝展は出迎えてくれました。
スイスとオーストリアにはさまれた小さな国リヒテンシュタインは、世界で唯一、君主の家名が国の名前となっているめずらしい国。小国ながら、世界屈指の個人コレクションを有し、華麗な宝石箱のごとく世界から注目を集めているといいます。
「美しい美術品を集めることにこそお金を使うべきだ」という家訓を遺したカール・オイゼビウス候。その家訓通りの貴重な絵画、美しい美術品の数々が展示されていました。
リヒテンシュタイン侯カール・オイゼビウス
Karl Eusebius, Prince of Liechtenstein (1611-1684) : Image from Wikipedia®
興味深かったのは貴族の生活が垣間見える陶器のコレクション。
ホットチョコレートを飲むためにつくられたカップと受け皿「トランブルーズ」は受け皿に環状の枠があらかじめ付いています。これは当時、高価だったホットチョコレートをこぼさないためで、そこにカップを入れて使用していたそうです。
展示会には撮影許可エリアがありました。
画像はそのエリアに展示されている、1815年制作、ウィーン窯・帝国磁器製作所の金地花文ティーセット。
当時の貴族は身分に相応しい磁器セットをそろえておかねばならず、ひとそろいのコーヒーセットは資産でもあったのでしょう。
貴族は領地の拡大とその運用、城の維持、ときには領地を守るために戦うこともあり、ただ贅沢な暮らしをしていたわけではありません。
美術品の蒐集は国や家の財産を守る、貴族としての誇りのように感じました。
フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラー作
「磁器の花瓶の花、燭台、銀器」 1839年
撮影許可エリアより
貴族のドローイングルームを思わせるパンカーダのアンティーク家具。
セーヴルの陶板に描かれた雅な情景は優雅そのもの。オルモルを纏い、華麗な空間を演出します。
ナポレオン三世様式パーケトリーピアキャビネット 1870年代 フランス
http://pancada.net/particular/cat71/19/cat126/post_1569.html
象嵌の花々は精緻を極めた匠の技。可憐で気品溢れる佇まいは、心まで豊かに満たしてくれることでしょう。
インレイドヴィトリーン 1890年代 英国
http://pancada.net/particular/cat77/post_956.html
貴重な美術品の数々をゆっくりと鑑賞できる「リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展」。
この機会に是非、訪れてみてはいかがでしょうか。
「リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展」
Bunkamuraザ・ミュージアム
2019年10月12日~12月23日まで
https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/19_liechtenstein/
by A
パンカーダ田園調布 店内の様子
すっかり日が暮れるのが早くなりました。
12月22日の冬至まで、ますます早い日暮れになってゆきます。
パンカーダ田園調布では、店内の模様替えを致しました。
ヴィクトリアンのレディスドレッシングテーブル。
ミラーの前にランプを置けば、より効果的な光の演出が楽しめます。
奥にはメンテナンスが終わったこぶりのソファもございます。
小さいのに、すっぽりと体を包んでくれる優れもの。
スヌーカーテーブルとブックシェルフテーブル。
どちらも英国アンティークならではの顔をもつ、こだわりの逸品です。
堂々たるショーウッドチェアの脚元には、フットスツールを置いて。
年内は12月28日土曜日まで営業しております。
皆様のご来店をこころよりお待ちしております。
パンカーダ田園調布
12-18時(水曜定休)
大田区西嶺町15-10 4階
TEL:03-5701-7380
by N
アンティークタイムズ2019年11月号発刊いたしました
東京は寒く長い雨が続き、秋から一気に冬となったような気がします。
今までの季節の移り変わりとは異なる、急な振り幅にとまどいつつも、それがそのうち当たり前になっていくのかもしれません・・・。
さて、この度パンカーダでは アンティークタイムズ2019年11月号 を発刊いたしました。
いつもの記事に加え、今回はクリスマス・スペシャルとして、裏面にスペシャルなカレンダーをおつけしております。
「December Calendar in History」。
12月1日から31日まで、歴史上どんなことが起きてきたのか。
西暦37年から1992年までという、永い時を行きつ戻りつ12月を眺める時、例えようもない多くの出来事の積層の上に今があることを改めて感じます。
表の記事を読んで頂きましたら、是非裏面のカレンダーをお愉しみください。
アンティークタイムズは、今までパンカーダよりお買い物をしていただいたり、ご案内希望などでお名前をいただいた方に発送しております。
そのような方々には、順次にお手元に届いているかと思いますが、もし届かず、アンティークタイムズをご希望でしたら、恐れ入りますがその旨ご連絡ください。
アンティークタイムズはどなたにも無料でお送りしております。
ご希望の方は、メールもしくはお電話にて、お名前とお届け先を添えてお申し込みください。
メール
meguro-pancada@vivid.ocn.ne.jp
電話
03-5701-7380 (12-18時 水曜定休)
なお、こちらのアーカイヴでは、前号までの分をご覧いただく事ができます。
どうぞ覗いてみてください。
by N
ホイスト、ベジーク、そしてピケット
ちょっと呪文のようになってしまいましたが、これらは全てカード(トランプ)ゲームの名称。
今日は古いトランプゲームをご紹介いたしましょう。
まず、ホイストとは英国を発祥とし、18-19世紀に流行したゲームの事。
ブリッジの元となったゲームで、4人が2人ずつ2チームに分かれて勝敗を争うものであり、英国では現在でも人気のあるゲームとなっています。
例えば1872年発刊 ジュール・ヴェルヌによる「80日間世界一周」では、主人公のフィリアス・フォッグ氏はリフォーム・クラブで新聞を読みホイストをプレイすることが日課でありました。
Reform Club, Pall Mall
Morning-room
from British History Online
そして、ベジーク、ピケット。
ピケット(もしくはピケ)はフランスを発祥とするゲームの事。
通常のトランプから2・3・4・5・6を抜いた32枚のカードを使用して、2人でプレイします。18-19世紀頃はフランス・ドイツ・英国などで代表的な2人向けのトランプゲームでしたが、1920-1930年代以降はあまりプレイされなくなったようです。
そしてベジークはピケットの後身であり、32枚のカードを使用することは同じで、少しルールが異なります。
1928年公開 デーヴィッド・ハーバート・ローレンスによる「チャタレイ夫人の恋人」より、一節を抜き出してみましょう。
「コニーが行ってしまうと、すぐにクリフォードはベルをならしてボウルトンさんをよび、ピケットやベジークや、ときにはチェスをいっしょにやってくれないかとたのむのだった。」
主人公コニー(コンスタンス・チャタレイ)の夫、クリフォード・チャタレイ准男爵が第一次大戦により下半身不随となり、帰宅したあとの生活を描いたシーン。妻であるコニーではなく、家政婦であるボウルトン夫人にカードゲーム等を教えつつ愉しむ男爵の精神状態が読み解ける1節です。
DH Lawrence 1906
さて、パンカーダではそんなカードゲームをお愉しみいただけるスペシャルなテーブルが入荷しております。
一見はクィーンアンスタイルの優雅な脚が見事なコンソールテーブル。
でも、1本の脚を引き出し、天板を広げれば、円形のゲームテーブルに変身します。
天板はカードさばきがしやすい布張り。
もちろんテーブルクロスを掛けてティーテーブルとしてお使い頂いても素敵です。
ある時は半円のコンソール
ある時は円形のテーブル。
ゲストをお招きした時など便利に使い回しができるのではないでしょうか。
広げたテーブルの上でプレイするのはポーカー?ブリッジ?
それともホイストかベジークでしょうか。
秋の夜長、いつまでも続くような深い夜をお楽しみ下さい。
ゲームテーブルの詳細はこちらからどうぞ。
by N
パンカーダ・クリスマスキャンペーンのご案内
いつの間にかもう年末が近くなって参りました。
朝起きるたびに、どんどん空気が澄んで冷たくなってくる日々。
四季のある国に暮らす悦びを感じます。
さて、パンカーダでは本日より12月24日まで、クリスマスキャンペーンを開催いたします。
キャンペーン期間中はご来店の皆様にもれなく「フラッグ・クリスマスオーナメント・ロッタリー」をお愉しみ頂けます!
特製のフラッグオーナメントに隠されたプライズを引き当てるちょっとした運試し。
空くじなしのロッタリーですので、どなたさまでももれなく、小さなクリスマスプレゼントをお持ち帰りいただけます。
この機会に是非ご来店ください。
皆様のお越しを心よりお待ちしております。
*「フラッグ・クリスマスオーナメント・ロッタリー」はパンカーダ田園調布での開催です。
*ロッタリーはおひとり様1回限りとさせていただきます。
*フラッグオーナメントはお持ち帰りいただけません。
by N
宮廷に煌めくロココとヴェルニ・マルタンの優雅な共演
フランスで生まれたヴェルニ・マルタン。
あまり聞きなれない言葉ではありますが、ヴェルニ・マルタンは優雅なロココ様式に欠かせない装飾技法のひとつです。
それはまさしく家具に描かれた絵画。
世界でも類を見ないほどの繊細な装飾技法のルーツは日本の漆器の蒔絵でした。
Vernis Martin boiserie, in the boudoir of the Dauphine, Versailles
18世紀のフランス宮廷は華麗で優雅なロココ様式に彩られていました。
最愛王と呼ばれたルイ15世には多くの寵姫がいましたが、なかでも有名なのはポンパドゥール侯爵夫人でしょう。
貴族の出身ではありませんでしたが、その美貌と高い教養、美術や哲学にも造詣があったポンパドゥール侯爵夫人は、ルイ15世に見初められ、ヴェルサイユ宮殿で暮らすようになりました。
女性らしい流麗な曲線美と快活で風雅なロココ様式は、ポンパドゥール侯爵夫人を中心とした宮廷の女性たちによって開花しました。
Madame de Pompadour, portrait by Francois Boucher
当時、流行していたのは中国や日本でつくられた漆器でした。
漆黒の艶に輝く蒔絵は王侯貴族に大変な人気で、家具や小物類など多くの漆器が輸入されました。
家具の多くは櫃など直線的なものでしたが、曲線を基調としたロココ様式に合わせるため、漆器のリメイクともいえる驚くべき手法がとられました。
漆とそこに接する少しの木材部分を剥がし、それをコモードなど曲線の家具の表面に貼りつけたのです。
Commode, Vanrisamburgh, Bernard II (designer and maker)
ca. 1760-65 ©Victoria and Albert Museum
その頃、活躍していたのが高級美術商マルシャン・メルシエ。
漆器の家具調度品などはマルシャン・メルシエが厳しく管理され、漆器の加工が許されたのは取り引きのある限られたメーカーのみでした。
L'Enseigne de Gersaint (1720) by Jan-Antoine Watteau
しかし、漆器は制作に時間がかかるため、次第に輸入が滞るようになりました。
ウルシの樹はヨーロッパには生息しないため、家具師たちのあいだでは漆器を再現する技法が熱心に研究されました。
そこで誕生したのが、マルタン兄弟による装飾技法「ヴェルニ・マルタン」でした。
ヴェルニ/vernisはニスを意味し、蒔絵のように金箔を使ったものから絵画のように繊細な絵付けを可能になりました。
家具だけでなく小物など様々なものもヴェルニ・マルタンの技法によってつくられ、優雅なロココ様式をさらに高める新しい装飾として大変な人気となりました。
Vernis Martin fan with mother-of-pearl guards, French, early 18th entury
©Victoria and Albert Museum
パンカーダには、ヴェルニ・マルタンの天板をもつ優雅なヴィトリーンビューローがございます。
貴族の日常のワンシーンが描かれた天板を掲げ、華麗なオルモルを纏ったロココの傑作はパンカーダ・ミュージアムにてご覧いただけます。
フランス宮廷に煌めくロココとヴィトリーンビューローに秘められた美の共演、心ゆくまでどうぞご堪能ください。
ルイ15世様式 ヴェルニ・マルタン ヴィトリーンビューロー
http://pancada.net/particular/cat77/15_6.html
by A








































