東京の高級アンティーク家具店パンカーダのブログ

インテリアコーディネートの専門知識をもつアンティークコンシェルジュと、経験豊富な熟練した修復士の常駐する安心・信頼できるお店です。


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ボンドストリートで逢いましょう

東京の銀座通り。
ニューヨークの五番街。
パリのサントノーレ通り。

世界の大都市にはそれぞれ有名な高級ブランドストリートがありますが、英国においては「ボンドストリート」がそれにあたります。


正直に申し上げて、銀座通りや五番街にくらべれば、かなり地味な印象は否めません。道幅はそれほどなく一方通行で、しかも中間に一部車が通れない場所があり、車を拒否しているくらいアクセスしづらくなっています。それを考えれば、同規模のパリのサントノーレ通りよりも、より「気難しい」ブランドストリートなのではないでしょうか。


Old Bond Street looking south
CC BY-SA 3.0,

https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=91759


それでも、バーバリーやマッキントッシュ、アスプレイ等の英国ブランドをはじめ、エルメスやブルガリ、シャネルなど世界のブランド、そしてオークションハウスのサザビーズ等々が軒を連ねる一流の通りであることは、世界が認めるところです。


歴史は古く、1720年代に「Sir Thomas Bond, 1st Baronet/トーマスボンド准男爵」によって南のピカデリー、北のオックスフォード通りを結ぶウエストエンド地区につくられました。

南部は「オールドボンドストリート」北部の「ニューボンドストリート」に分かれており、
「ニュー」とはいっても、最近できたわけではなく、オールドボンドストリートが作られ始めて約14年後につくられた、とのことですので、ほぼ同時期といっても良いくらいです。このふたつの名前は常に使われており、1920年代にひとつの「ボンドストリート」とする案もあったようですが、地域の人々により却下された、といういわくつき。

18世紀後半には既にロンドンのなかでも特別お洒落な通りとして有名になり、「The Bond Street Loungers/ボンド・ストリート・ラウンジャー」とよばれる人々が集まる場所となっていました。彼らは、服装に非常にこだわりを持った主として若者達で、おしゃれな、時に突飛な服装でボンド・ストリートに集っていたとか。



In High-Change in Bond Street (1796), James Gillray caricatured the lack of courtesy on Bond Street (young men taking up the whole footpath), which was a grand fashionable milieu at the time.(Pubric Domain)



ボンドストリートが出来てからすでに3世紀。


馬車は車に代わり、店やブランドは入れ替わりながら、いまだ「ロンドンで一番お洒落な通り」の名をほしいままとしております。世界の一流ブランドと肩を並べ、ボンドストリートに店を構えることは、リテイラーにとっては究極の到達点のひとつであることは間違いないでしょう。ちなみに、日本からは「ミキモト」がニューボンドストリート179番地に出店しています。




さて、パンカーダには、そんなニューボンドストリート144番地に1810年から20世紀初頭まで店を構えていた「W.THORNHILL & CO」による特別なエスクリトワールが入荷しております。


 


1734年に由来をもつ「W.THORNHILL & CO」は刃物商として創業し、19世紀後半には刃物、金銀ジュエリー、ドレッシングケースに旅行鞄等々、幅広く高級品を取り扱う商会となります。取り扱いは小物がほとんどでしたが、時折大型のステーショナリーケースやワーキングテーブルにレザーで仕切りなどを緻密に施したものも取り扱っていたようです。



W. Thornhill & Co. travelling bags 1880 Advertising



恐らくは量産品ではなく、限定品もしくは受注品として一部の顧客だけに生産していたのではないでしょうか。

 


世界の一流店が集う、ヴィクトリアンのニューボンドストリートからやってきた優美なエスクリトワール。


 


佇まいからして特別に美しい英国アンティーク家具の傑作を、是非お手元でご鑑賞ください。


by N




 

アルプスの妖精の小椅子

パンカーダのウェブショップにアップした、エーデルワイス カーヴド ミニチュアチェア。

 

アルプスの妖精といわれるエーデルワイスをモチーフとした可憐なミニチュアチェアです。



 

 

 

普通のチェアとは異なりますので、大きさ感と収納部の様子についてもう少し詳しくご説明いたします。

 



修復士Sがチェアの前に座って、座面を上げている様子。






ここで背もたれが床についてとまります。



収納部の様子です。

 



寸法図です。古い物ですので、わずかな誤差はご容赦ください。




ポストカードをいれるとこんな感じ。

 


 

お店にいるテディベアを座らせてみました。



修復士Sにチェアとベアを抱えてもらいました。スケール感、お分かりいただけましたでしょうか?(ベアは非売品です)






エーデルワイス カーヴド ミニチュアチェアの価格や詳細につきましてはこちらからどうぞ。

 


by N
 

6月の飲み物にアップル・エルダーフラワー・クーラーはいかが

いつの間にかもう6月。

既に沖縄から東海地方までは梅雨入りしておりますが、関東もまた最近は湿度が高く天候が不安定で、もう梅雨といってもいいのではないかという日々が続いています。

パンカーダ田園調布のまわりの紫陽花も今が盛り。





今日はそんなじめじめした季節にぴったりな飲み物をご紹介いたしましょう。


BBC FOOD in Season  June/6月のレシピより
「Apple elderflower cooler/アップル・エルダーフラワー・クーラー」です。




****作り方(一杯分)****

*レモン半分の果汁
*エルダーフラワーコーディアルを1匙
*アップルジュース 125ml
*炭酸水(オプション)
*ミントの若葉(付け合わせ)


1 氷でいっぱいにしたカクテルシェイカーに、レモンジュース、エルダーフラワーコーディアル、アップルジュースを注ぐ。10秒シェイクし、ハーフパイントグラスに氷も含めてすべて注ぐ。(あるいは大きなグラスにすべて入れてかき混ぜても良い)

2 お好みで炭酸水を足す。ミントの若葉をトッピングする。



オリジナルサイト(英語版)
https://www.bbc.co.uk/food/recipes/apple_elderflower_cooler_90545

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「レシピ」といっていいのかというくらい簡単です・・・。


オリジナルのレシピでは「レモン半分の果汁とエルダーフラワーコーディアルを1匙」となっておりますが、今回手に入れたのは既にレモン果汁がブレンドされたタイプでしたので、シンプルにアップルジュースで割ってみました。
(さらに簡単です!)




エルダーフラワーコーディアルとミントの葉、という2点さえクリアできれば、あっという間に作れてしまいます。


エルダーフラワーコーディアルについては、実は当ブログにて何度かご紹介しており、2017年には炭酸水のみで割ったものを作っています。
そちらで効能などをご説明しておりますので、よろしかったらご覧ください。

https://ameblo.jp/pancada/entry-12288075489.html


炭酸水で割ればさっぱりと、アップルジュースで割れば身体に沁み込む濃厚な味わいとなります。お好みでブレンドしてみてください。




**ミントの葉は自家製です**



あまり働きたくない蒸し暑い日に。


お客様におだししても喜ばれますし、もちろんご自身のリラックスタイムにも最適な一杯。


ぜひ初夏の午後のお供にいかがでしょうか。



by N
 

その家を体現する:ホールチェア

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椅子の名前:The Chair for something special
特別な響きをもつ椅子の名前をその由来と共にご紹介する特別企画
第四回:ホールチェア
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今までご紹介してきたサボナローラチェア、スガベルロチェア等と比べ、ホールチェアは英国においてはかなり一般的な椅子。


from The Gentleman & Cabinet Maker's Director

by Thomas Chippendale

 


当店が属するLAPADA(英国美術骨董協会)のサイトにも、ホールチェアに関するガイドが掲載されていました。


LAPADA GUIDE TO ANTIQUE HALL CHAIRS(英語版)
https://lapada.org/guides/lapada-guide-to-hall-chairs/

以下、概訳と私見を合わせてご紹介いたします。



英国のホールチェアの歴史はグランドツアー*から始まります。
(*17世紀初頭から19世紀初頭くらいまで英国の裕福な貴族の子弟が私的に行った大規模な旅行の事。主としてイタリアとフランスが多かった。)

16世紀イタリアの素晴らしい宮殿のエントランスを飾っていたスガベルロチェアがその源だったと思われます。


18世紀はこのチェアに似た物が用いられ、人気を博していましたが、やがて英国の著名なデザイナー、トーマス・チッペンデール、ロバート・アダム、G・ヘップルホワイト、T・シェラトン、らもオリジナルを作成しだします。


もともとスガベルロチェアは実用的というよりは装飾的だったため、より自由に彼らの創造性を刺激したのかもしれません。

1762年にはトーマス・チッペンデールが、1803年にはT・シェラトンが著書において「Hall Chair」という言葉を使い、玄関ホールに置く椅子であることを言及します。
またシェラトンは「placed in halls, for the use of servants or strangers waiting on business'/従僕やビジネスのための来訪者の為に置く」と供述。

 

 

from The Gentleman & Cabinet Maker's Director

by Thomas Chippendale

 


そしてホールチェアはタウンハウスやカントリーハウスなどの大きなお屋敷で、入った瞬間に見える家具として、その家の富やセンス、血統などを示すために非常に有効な手段となっていきました。



Entrance hall in the Martin, or Jewel Tower by George Cruikshank 1840. 

 


そんな歴史をもつホールチェア。

基本的なお約束としては、座面が木製でフラット、彫刻など装飾が凝っている、ということが挙げられます。

 

1880年代 英国 Pancada

 

 

エントランスに置かれることから、汚れてもお手入れしやすい木製座面、物を置きやすいようにフラット、そしてお屋敷の顔としての装飾性、ということでしょう。

 

 

 

 

大きさは様々ですが、比較的こぶりのものも多く、現代日本でもそのまま玄関用椅子としてお使いいただく事ができます。

板状の背もたれは、そのまま座面後ろに打ち付けられている構造の物が多いため、正直に申し上げれば背もたれに体重をかけて寛ぐ場面にはおすすめできません。

 

 

玄関や広めの廊下のコーナーなどに置いて、存在自体を愉しむ。


歴史あるホールチェアを是非インテリアに活用してみてはいかがでしょうか。

by N






 

ブルターニュの美味しいもの

今日は少しアンティーク家具のお話しから離れて、美味しくて可愛い物のご紹介です。


なかなか遠出が難しい昨今ですが、少しでも遠い国の雰囲気を味わいたくて、ラ・トリニテーヌ社のガレットをお取り寄せしてみました。



ラ・トリニテーヌ社は1955年にフランス・ブルターニュの港町ラ・トリニテ・シュル・メールで小さなペイストリーショップとして創業したのが始まり。以来、伝統的製法のフレンチスタイルクッキーを作り続けています。


トリニテーヌの缶はどれも素敵ですが、今回はブルターニュ地方の地図と民族衣装がモチーフの缶にしてみました。

 


サイドの文様はブルターニュの紋章。
この形はアンヌ・ド・ブルターニュ(ブルターニュ女公1488-1514)の紋章であったオコジョの尻尾からきているといわれています。





蓋を開ければ、入っているのは厚焼きクッキー「パレット」と薄焼きの「ガレット」。
(中間に1枚ビニールの包装があります。個包装ではないのがヨーロッパらしいです)


パレットは口に入れれば「はらり」とほどける柔らかい口当たり。
ガレットはさっくり美味しく、どちらもバターと卵の優しい味がします。




さて、手元に可愛い缶が集まったので少しご紹介いたします。
商品、私物、備品が混じっておりますがご了承ください・・・。



右奥の大きな缶は南仏ラ・キュール・グルマンドのクッキー缶(私物)。
左奥のカルーセルの缶は英国チャーチ社のファッジが入っていたもの(店内備品)。
手前の2つはヴィンテージの古い缶で、パンカーダ田園調布にて販売中です。


可愛い缶を眺めながらのティータイム。
いろんな事をしばし忘れて、寛いでみてはいかがでしょうか。




by N

 

箱から生まれた椅子:スガベルロ・チェア

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椅子の名前:The Chair for something special
特別な響きをもつ椅子の名前をその由来と共にご紹介する特別企画
第三回:スガベルロチェア
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Sgabello/スガベルロ(スガベッロ)とはイタリア語で丸椅子(スツール)のこと。

そしてSgabello Chair/スガベルロ・チェアとは、15-16世紀頃からイタリアで流行し始めた小ぶりな椅子のことを言います。



Side chair (sgabello a dorsale)
late 16th century
Italian, Rome or Florence (?)
MET museum(pubric Domain)



形としての特徴は背もたれ、そして前後二枚の脚が板状になっていること。
もともとは背もたれはほぼ逆三角形であり、座面は八角形、座面の下には収納がついており、中世の収納箱から発展したパターンの椅子と考えられています。


その後イタリア以外にも広まり、様々なデザインがみられるようになります。




"Sgabello"-Type Chair with Scrolls
16th century France
作者不明
wood (walnut)
Walters Art Museum(Pubric Domain)



当初はサイドチェアとして幅広く使われていたようで、このような場に使われている様子が17世紀にオランダの画家バルトロメウス・ファン・デル・ヘルストによって描がかれています。



by Bartholomeus van der Helst(Dutch painter)1653


他のタイプの椅子が発展する中で、やがて装飾用として使われる機会が多くなっていきます。


例えば「hallway/ホールウェイ/玄関、それに続く廊下」におかれ、一族のビジネスにおけるシンボルや紋章などが彫り込まれたりしました。



特徴あるフォルムは現代の椅子の源ともいえるものであり、イタリア・ルネサンス、および古代ローマ時代からの意匠性を繋いできた貴重な椅子であるといえるでしょう。

http://pancada.net/item/chair/cat50/post_1236.html

 


現代日本では、やはり玄関等、お屋敷の顔となる場所に置いて頂くのがおすすめ。
軽く腰掛けたり、鞄などの一時置きに重宝しますし、ゲストが思わず驚く意匠性は、絶好のカンバセーション・ピースとなることでしょう。

風格ある姿でお屋敷の品格を高めてくれるスガベルロ・チェア。
貴方のお屋敷の門番のように、置いてみてはいかがでしょうか。

 

by N

 

アンティークのバーカウンターでお部屋に新しいシーンをつくろう

今回はオーク材でできた趣深いバーカウンターのご紹介です。

 

 

 

ゴシックリバイバルの意匠をもつバーカウンターは1930年代の英国のお品物。

 

オーク材でつくられたこぶりなカウンターは、恐らくご家庭で使われていたものと思われます。

 

 

 

ウェブショップではデザインの意味などを深くご説明していますが、このブログでは詳しい寸法などをご紹介いたします。

 

【ご注意】

古いお品物のため、歪み等がございます。数ミリ程度の誤差はご容赦ください。

 

 

まず、全体幅は151cm。天板奥行きは31.5cm。

天板までの高さは108cmです。

 

 

 

 

カウンター内側には、作業スペースになる低いカウンターと収納があります。

 

 

 

低いカウンター部分の周辺寸法はこのとおり。

 

 

A3サイズがギリギリ入ります。

 

 

変形の三角棚も便利に使えそうです。

 

 

ちなみに棚板は乗っているだけなので、両側とも外すことも可能です。

 

 

下には観音開きの収納部があります。

 

ちなみに向かって右側の扉はキャッチがついていて、左側の扉はフランス落としで止まるようになっています。そのため、まず右側を先に開けて、左側のフランス落としを引き上げてから、左側の扉を開けてください。

 

 

以外と使えそうな細長い棚板もついています。

 

 

細長い棚板も乗っているだけなので、簡単に外れます。

 

 

左右には高さのあるガラス扉がついた収納があります。

 

 

この棚板も同じように外れます。

 

 

平行四辺形の形状です。

 

 

奥行は約23cm。

A4サイズが21×29.7cmですので、A4サイズ紙のみなら入るのですが、ファイルは大きさによっては入りません。

 

2穴で留める、一番シンプルなファイル(奥行23cm)なら、ギリギリ入れることができます。扉も閉める事ができます。

 

リングバインダーやレバーファイルは難しいと思います。

 

 

そんな形状をもつ、収納力たっぷりのカウンター。

 

 

 

内側に食器やお酒をいれて、ホームバーとして活用するのはもちろん、工夫次第で、ちょっとした書斎スペースにも仕立てることができます。

 

 

 

作り付けのカウンターや間仕切りを作ることは、なかなか勇気がいるもの。

 

こんなカウンターを家具として置けば、将来のレイアウト変更にも上手く対応できるかと思います。

 

 

あなたのお部屋に新しいシーンをつくりだしてくれる、アンティークのバーカウンター。

是非使いこなしてみてはいかがでしょうか。

 

 

ウェブショップへは以下のリンクからどうぞ。

 

by N

 

 

イタリアといえば?:サボナローラチェア

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椅子の名前:The Chair for something special

特別な響きをもつ椅子の名前をその由来と共にご紹介する特別企画

第二回:サボナローラチェア

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今日はこのタイプのチェアについての考察です。



Folding armchair (sedia a Savonarola)
15th century (textile); 19th century (chair: with earlier parts)
MET Museum(public domain)


X型のフォルムを持ち、由来は古代エジプトまで遡ると言われます。
古代ローマでは執政官のために持ち運び用として重宝されたという説もございます。
元々は折り畳み椅子でしたがイタリア初期ルネッサンス時代に発展し、18世紀後半から19世紀にヨーロッパでゴシックリバイバル、ルネッサンスの再流行の流れの中、
さまざまなタイプが作られました。


このタイプのチェアは色々な名前で呼ばれています。

「X-chair/エックス・チェア」
「scissors chair/シザーズ・チェア」
「Dante chair/ダンテ・チェア」


そして、代表的な名前が「Savonarola chari/サボナローラ・チェア」。



まず、「X-chair/エックス・チェア」「scissors chair/シザーズ・チェア」は見た目の形からきている名称でしょう。


難しいのが「Dante chair/ダンテ・チェア」「Savonarola chari/サボナローラ・チェア」の名前の由来。


サボナローラとは、宗教改革の先駆とされる「ジローラモ・サボナローラ/Girolamo Savonarola(1452-1498)のこと。
15世紀末、フィレンツェで修道士として激しい反メディチ家の説教を行い、イタリア戦争に乗じて1492年にフィレンツェの実権を握り神政政治を行った人物です。
「虚飾の焚刑」と称して美術作品や焼き払うなど厳しい神政政治を行いましたが、最後は民衆の支持を失い、ローマ教皇によって焚刑されました。

Girolamo Savonarola
by Fra Bartolomeo

c.1498 (Public Domain)



そしてダンテとはもちろん「ダンテ・アリギエーリ/Dante Alighieri(1265-1321)」のこと。


イタリア都市国家フィレンツェ出身の詩人、哲学者、政治家であり、代表作「神曲」によりルネサンス文化の先駆者とされています。



by Sandro Botticelli, 1495



何故このチェアはイタリアを代表する偉人の名前で呼ばれるようになったのでしょうか。


これが調べてみると諸説あり、定かではございません。




信頼性の高い情報源として「ブリタニカ・オンライン」をみてみると・・・

チェア、スツールとしては最も古い形のひとつで、2000年以上の歴史を持ち、中世ヨーロッパでは祭礼の際に用いられることが多かった、ずっと使われ続けてきたが、18世紀終わりから19世紀中ごろにかけて歴史的な家具(ヒストリック・ファニチャー/historic furniture)のブームがきて人気となった・・・。
というようなことが書かれており、語源に関しては言及していません。

ブリタニカ・オンライン(英語版)

「Scissors chair」
https://www.britannica.com/technology/scissors-chair




ちょっと変わったところからの引用ですと「タンパベイ・タイムズ /Tampa Bay Times(フロリダの新聞)」のサイトに詳しく書いたコラムが載っていました。


それによれば、サボナローラ・チェアと呼ばれだしたのは19世紀に入ってからであり、何故そう呼ばれるようになったのかは誰もわからない・・とされています。

タンパベイ・タイムズ(英語版)

「HISTORY BEHIND SAVONAROLA CHAIR」
https://www.tampabay.com/archive/2010/02/19/history-behind-savonarola-chair/




カラヴァッジョ「エマオの晩餐」1601年



他には、ヒストリック・ファニチャーブームの時に家具屋がイタリアで使われていた家具だからイタリアの有名人の名前をつけた、とか、イタリアに侵攻したシャルル8世(1470-1498)率いるフランス軍がこのチェアを祖国に持ち帰り、当時イタリアで有名だったサボナローラの名前をつけた、という説もあります。




サボナローラスタイル ヴィクトリアン マーケットリースツール
1890年代 英国 パンカーダ


さて、どうしましょうか。


どうやらここではっきりとした結論をだすことはとても無理なようです。



どちらにしても、イタリアの偉人の名をもつチェアは深い歴史ある意匠とルネサンスの香り漂う特別な存在感をもっていることは間違いないでしょう。



お手元で愛でながら、そしてそのチェアに座りながら、貴方も深い考察に参加してみてはいかがでしょうか。

by N





 

岡山県 M様 デスク・テーブル・チェア他納品

今回は少し遠方に当店のアンティーク家具を納品させていただきました。

 

 

瀬戸内海に面した小さな町。
駅に降り立った途端に目の前に海が広がるのどかな場所です。





お仕事の為の別宅として、そこの風情溢れる戸建てを新しい拠点とされたM様。


1階のダイニングスペースにはマホガニーのテーブルとオークのチェアをおいて、木のぬくもりが感じられる寛ぎの空間となりました。


壁際にはオークのバッフェをおいて実用的にお使い頂いています。





お二階の明るいお部屋には、ギロー社のデスクとクィーンアンチェアをセッティング。
落ち着いたデスクスペースとなりました。





豊かな自然に囲まれた静かな町で、海風とアンティーク家具に触れながら、M様は更なる創作活動に励まれることでしょう。


M様、この度は誠にありがとうございました。

益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

by N



 

神に祈る椅子:プリデュチェア

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椅子の名前:The Chair for something special

特別な響きをもつ椅子の名前をその由来と共にご紹介する特別企画

第一回:プリデュチェア

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プリデュ/prie-dieuとはフランス語で祈祷台のこと。
prieは「祈る」、dieuは「神」を意味します。

つまりプリデュチェアとは、「神に祈る」椅子なのです。


歴史に残る名画と共に歴史や使い方をご紹介いたしましょう。



The bride
Charles Louis Baugniet (Belgian,1814–1886)



プリデュチェアはヨーロッパの中世初期頃、位の高い聖職者によって使われ始めたといいます。


もともとは教会の什器として置かれていたものでした。



Lovers in a church 
Jean Alphonse Roehn(French,1799–1864)


19世紀に入り、敬虔な信者達が家で祈るために流行し広まった、ということのようです。




Madame Coquenard 1844
「Alexandre Dumas/アレクサンドル・デュマ」による「Les Trois Mousquetaires/三銃士」の挿絵



祈祷台をチェアの形にしたプリデュチェアは、背もたれのほうを向いて座面に膝をつき、上部にあるクッションに肘を乗せて祈りを捧げます。

そのため座面がとても低く、やや傾斜しているものが多くみられます。




初聖体拝領を記録した写真 1910年頃、フランス


よって本格的なプリデュチェアは、椅子としてはあまり座りやすいものではない、と言えると思います。





やがて、座りやすいよう座面はほぼフラットとし、座面の高さも高めにして、通常の椅子としても使えるように作られたプリデュチェアも作られるようになりました。

プライベートルームやサロンでも使えるように高級材を使い、意匠を凝らしたものも見ることが出来ます。




1860年代 英国 サロンチェアとしても使える豪奢なプリデュチェア/パンカーダ

http://pancada.net/item/chair/cat50/post_1746.html


宗教を背景とした歴史と文化。
ひとつの椅子から広がる深い世界を、プリデュチェアを通してご堪能ください。


by N












 

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