東京の高級アンティーク家具店パンカーダのブログ -15ページ目

椅子の名前:The Chair for something special

アンティーク家具には沢山の特別な名前があります。

カップボード、コーナーキャビネット、ピアキャビネット・・・等は一般名称だと思うのですが、ワットノット、ダヴェンポート、コファー・・・あたりになってくると、ご存知ない方も多いのではないでしょうか。


それぞれの名前には、それぞれの由来があります。


それを紐解けば、家具のことだけでなく、それを生み出し使いこなしていた歴史と伝統に触れることができます。


パンカーダの今回の特別企画は「椅子の名前」と称し、特別な響きをもつ椅子の名前をその由来と共にブログにてご紹介していきます。



この特集を読み終われば、貴方はアンティークチェアの名前に一家言を有することになるでしょう。





最後に「薔薇の名前」の作者ウンベルト・エーコに敬意を表しつつ、こんな言葉で締めくくりたいと思います。

「椅子の起源は名前の中にしか存在しない、我々はあるがままの名を所有するに過ぎない」

あるがままの椅子を所有する悦びを貴方にお届けいたします。



by N

神々の持物:アトリビュート


「アトリビュート/ attribute」とは、西洋美術において伝説上・歴史上の人物や神話上の神と関連付けられた持ち物のこと。


その物の持ち主を特定する役割を果たします。



少し長いですが、ギリシア神話のオリュンポス十二神とそのアトリビュートを見てみましょう。



Twelve Olympians    
Assembly twenty gods, especially the twelve Olympians, while receiving Psyche
1518-1519 by Raphael and his school(public domain)




■ゼウス(神々の王) 牛,山羊,雷,王笏,鷲

■ヘーラー(神々の女王) ザクロ,孔雀,王冠,王笏,ヴェール

■アテーナー (戦いの女神,知恵の女神)オリーブ,蛇,フクロウ,メドゥーサの首,兜,雄鶏,槍

■アポローン(光明の神,芸術の神,予言の神)月桂樹,蛇,馬,白鳥,矢,月桂冠,竪琴,弓

■アプロディーテー(愛と美と性の女神)薔薇,イルカ,兎,白鳥,鳩,真珠,エロース(クピードー)

■アレース(戦いの神)オオカミ, イノシシ, 啄木鳥, 雄鶏, トネリコ

■アルテミス(狩猟と貞潔の女神)熊,鹿,猟犬,糸杉,弓矢,三日月

■デーメーテール(大地と豊穣の女神) 果物,麦,コルヌコピア,松明

■ヘーパイストス(炎と鍛冶の神)帽子, 武具, 金床, 金鎚, 矢床

■ヘルメース(ゼウスの使い 伝令神)牛,ケーリュケイオンの杖,タラリア(有翼のサンダル),ぺタソス(つばの広い帽子)

■ポセイドーン(海神)イルカ,馬,三叉槍

■ヘスティアー(炉の女神) 炉,聖火,ロバ




このアトリビュート、ある程度覚えておくと、西洋美術を鑑賞する際にとても役立ちます。



例えば、かのルーベンスによる「パリスの審判 /The Judgement of Paris」。

ギリシャ神話においてトロイア戦争の発端とされる事件「パリスの審判」を表現した作品で、トロイア王の息子パリスが天界での三美神のうち誰が最も美しいかを判定させられた・・というもの。

三美神とはヘーラー、アテーナーそしてアプロディーテーです。




Judgement of Parisby Peter Paul Rubens(1632-1635頃作/public domain)
*ルーベンスは同タイトルで何枚か制作しています





特に知識なくこの絵をみると、三美神がそれぞれどの女神を表しているのかわかりません。
そこで、アトリビュートを使って解き明かしてみましょう。



一番左の女神の脇にはフクロウとメドゥーサの首、兜があります。
この女神がアテーナー。



一番右の女神の脚元には孔雀がいますので、ヘーラーだとわかります



中央の女神には特徴が無いように見えますが、よくみると髪飾りには薔薇と真珠が使われておりますので、最後の女神、アプロディーテーであると確認できます。



ちなみに右手の黄金の林檎を持っているのがパリス、そしてその後ろにはケーリュケイオンの杖をもち、翼の生えた帽子をかぶっているのでヘルメースであることがわかります。



他にも色々な意味が込められたモチーフが散らばっており、調べだすと深い沼に嵌っていく事間違いなしの作品です。





さて、パンカーダでもそんなアトリビュートが仕込まれたアンティーク家具をご紹介しております。

ヴィクトリア後期に制作された美しきテーブル。



 


緻密な象嵌で表現されているのはいったい何なのでしょうか。

 



是非現品にてご鑑賞ください。





*アトリビュートには諸説ございます。

by N

3月の去り際

英国のことわざでこんなものがあります。


3月はライオンのようにやってきて子羊のように去っていく
March comes in like a lion、and goes out like a lamb.


これは、英国において3月はライオンのように荒々しい天気で始まり、子羊のように穏やかな天気で終わる・・・という意味。




Una and the Lion by Briton Rivière(1840-1920)



日本では春のことわざとしては「春に三日の晴れ間なし」などがあります。

これは、春は日本列島の上空を流れている偏西風が強くなるため、高気圧や低気圧が次々と本州付近を通過し、高気圧に何日も覆われることはあまりないため、春の晴天は3日と続かず天気変化が早い、ということ。

確かに最近の東京の天気は周期的に変わり、一雨ごとに暖かくなっているような気がします。






雨の日曜日、桜も濡れて3月はそろそろ終わり。

 



 

一方で、英国ではすっかり子羊と化しているであろうお天気にちなみ、可愛らしい子羊のフィギュアをご紹介しておきます。



 


英国の天気へ想いを馳せながら、愛でてみるのはいかがでしょうか。

by N

英国慕情

いったいいつ行けることになるんだろう・・。

海外へ行く必要があるお仕事の方はもちろん、旅行好きな方も、ここ1年以上ずっとそう思っていらっしゃることでしょう。

ネットを通じて繋がることはできるものの、やはり直接、品物を見て触って、現地の人とおしゃべりしたい!

そんな願いはいつかなうのでしょうか。






今日は過去に撮りためた英国の画像をご紹介。

「あ、こんなの見たことある!」
「美味しそう~(でも実際は美味しくないかも)」
「素敵。行ってみたい!」



どんな感想でも、貴方の心に響く画像があれば光栄でございます。

 


川べりで行われるローカルなアンティークフェア。

 


道路わきにいるカメラ目線の羊さん。

 

 

「当たり」のパブご飯。

 

 

大きなアンティークフェア。

 

 

大きなフェアに出現する梱包材屋さん。

 

 

混乱の極みのセカンドハンドショップ。

 

 

 

ロンドン郊外アンティークセンターのディスプレイ。

 

 

熱いうちは美味しい巨大ピザ。

 

 

パブ朝ごはん。ジャムにマーマレードにマーマイト。

 

 

コーヒーにリキュールはいかが。

 

 

 

 

 

必ず、また訪れることが出来る日を願いつつ。

by N
 

田園調布 幻のシナモンロール

大田区、中原街道、田園調布警察署と丸子橋の間くらい。


昔ながらの電気屋さんや金物屋さんが並び、昭和の雰囲気を残している一角に、こだわりのお店があります。




シナモンロール hari (ハリ)。

ムーンスターのトタンをうまく使った懐かしくも前衛美術のようなファサードに、シンプルな土間。木のカウンターに昔からあったであろう引き戸。

そんなものに囲まれて、予約と一部の曜日だけ予約なしで買える(もちろん売切御免)シナモンロール屋がひっそりと営業しています。




ひっそり、とはいっても販売中はほぼ行列ができているので、知らない人は「なんだろう、ここ?」と思うことでしょう。


そんなお店のシナモンロールを手に入れたので、試食です!



シンプルな紙箱は2個入り。
私が購入したのはプレーンとベリー&ルビーチョコレート。

 


 

プレーン以外は時々変わるらしく、他に3個入りセットもありました。
ちなみにプレーンの1個販売は既に売り切れでした。



さっくりと割ってみれば、薫り高く美しい断面が顔を覗かせます。



シナモンロール通・・・というわけではないのですが、某有名コーヒーチェーンのものよりは甘さは控えめ。


一方でシナモンの香りが特別際立ち、「セイロンシナモンロール」(インスタグラムより)の名前どおり!と思いました。


1個はしっかり大きめなので、ランチにぴったり。とても美味しく頂きました。



もしも、偶然通りかかって販売中であったとしたら。
是非手に入れてみていただきたい一品です。





hari 
大田区田園調布1-4-2
https://www.instagram.com/hari_cinnamonroll/?hl=ja

 

 

by N

虫眼鏡と拡大鏡

虫眼鏡。
拡大鏡。

違いはなんでしょう?


答えは・・・どちらも同じもの。
強いて言えば「虫眼鏡」が口語で、「拡大鏡」はやや文語であること。
またお化粧等の時に便利な顔が大きく映る「拡大ミラー」も「拡大鏡」と呼ばれることがある、ということくらいでしょうか。

なので、言葉だけで伝えるのであれば「虫眼鏡」が一番使いやすいかもしれません。

 




The Drawing for "A Study in Scarlet"by D.H. Friston 1887

 

さて、この虫眼鏡、英国ではなんと呼ばれているのでしょうか?

多くの人は「ルーペ」と答えるかもしれません。


この日本では一般的な「ルーペ/Loupe」。
これはドイツ語の「Lupe」からきており、意味としては「虫眼鏡、拡大鏡」でよいのですが、どちらかといえば精度の高い専門的な品物を指します。

私たちがイメージする、ちょっと小さな文字を読んだりする虫眼鏡は、英語では一般的に「マグニファイング・グラス/Magnifying Glass」といいます。


英語で「magnify」が「拡大する」の意味ですので、文字通り「拡大するガラス」・・・という訳です。

 

 


Dangerous Victorian Hatpins: Gibson Girls Magnifying Glass, 

1903 by Charles Dana Gibson



こんな背景をもつ虫眼鏡、拡大鏡、ルーペにマグニファイング・グラス。


パンカーダではとりあえず、日本で一般的な名称「ルーペ」としてご紹介させて頂くことにいたしますので、どうか宜しくお願いいたします。

 

 

 

 

早速ではございますが、、ヴィクトリア時代のレザーケース付きブラスマウントルーペ、ご紹介させて頂いております。

 

最近はスマートフォンに拡大機能もございますが、「ダイレクトに見る」良さにはまだまだ及ばないのではないでしょうか。

 

 

デスクトップにひとつ。

サイドテーブルにもうひとつ。

 

機能と美しさが一体となったアンティークのルーペはいかがでしょうか。



by N

イースターフェスティバルのご案内

2021年になってから時間はあっというまに過ぎ去り、気が付けばもう2月ももう少しで終わり。


桜の開花の便りを心待ちにする季節となりました。


そろそろ、キリスト教において重要なお祭り、復活祭/イースターがやってきます。
今年のイースターは4月4日の日曜日。

パンカーダでは毎年恒例のイースターフェスティバルを開催いたします。





祝福の思いと春が来る悦びに満ちた明るいお祭りに合わせ、パンカーダ田園調布ではご来店の皆様にもれなく、春にちなんだミニギフトをプレゼント。


そして本体価格合計10万円以上お買い上げの方には、前回クリスマスフェアでご好評だった「シークレットギフト」を差し上げます。
今年はネットやお電話でのご注文も対象となりますので、どうぞお愉しみに!




さて、まだまだ感染症対策は必要な時期であり、室内で多くの人と過ごすことをご不安に思われる方も多いと思います。


パンカーダ田園調布の営業時間は12時から18時ですが、現在はご予約をいただければ、そのお客様の為だけに開店前から貸し切りでご案内することも可能ですので、お気軽にご用命ください。

ご無理のない範囲でのご来店をこころよりお待ちしております。

 

 

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引き続き、お買い得になったパンカーダ・ブリッサも是非ご覧ください。

パンカーダブリッサへはこちらからどうぞ。

 




by N

鵜の木の梅、咲いてます

パンカーダ田園調布の近くには「梅の隠れの里」と言われる梅の名所があります。





 

 

グーグルマップで「梅林」と検索すると、でてくるのがこのあたり。






大田区の保護樹林になっていますが、実はこの辺は公園でもなく、普通の住宅街。
古くからある、広い敷地のお宅の庭に多くの梅が植えられています。

 

 





「隠れの里」という呼び名の由来は、地元の人しか知らない梅並木だからだとか。





その梅は、いまがちょうど盛り。
風情ある棟門から続く生垣の上から、可憐な花がこぼれんばかりに咲いています。




私がお邪魔したのは朝の早い時間。
でも、同じように写真を撮っている年配の方や、犬のお散歩中に梅をじっくりご覧になっている方もいらっしゃいました。




パンカーダ田園調布のまわりは古い住宅街ですが、気が付けば大きな敷地の一戸建ては、いつのまにか更地になっていて、小さな新しい家が沢山建ったり、マンションになったりすることが多くあります。

 

 



仕方のないことではありますが、出来ればもう少し・・・来年や再来年も、この梅をみることができたらな、と思いました。




この季節、パンカーダ田園調布にお越しの際には、少しだけ脚を伸ばして鵜の木の梅をご覧になってみてはいかがでしょうか。



by N

午後8時過ぎにいかがでしょう

いつのまにかもう2月。

2021年になったのがつい最近だと思うのですが、あっというまに一か月が過ぎてしまいました。




そして2月と言えば、バレンタインデー。


日本では既に「チョコレート祭り」の様相を呈しているバレンタインデーですが、もともとは大切な人に想いを伝える日であることは、以前のブログでお伝えした通り。

今日はそのことはさておいて、英国生まれのチョコレートのご紹介です。




アフターエイト、ご存知でしょうか。





1962年、イングランドのヨークで、Brian Sollittによって開発・発売されたのがアフターエイトの始まり。


1988年にはネスレ社に売却されますが、1962年以来ずっと英国をはじめ世界中で愛され続けているミントチョコレートです。

名前の由来は、英国では午後8時以降にリラックスしながらお菓子とリキュールを楽しむ習慣があることから。その時間帯に食べる大人用のお菓子として名づけられました。




私が初めてアフターエイトを見たのは、数十年前、ロンドンのフォートナム&メイソン。棚に並んだ色鮮やかなチョコレートのパッケージなかで、異彩を放つ地味な箱に「これは、なに?」と訝しく思ったことを覚えています。

表示を読めば、どうやらミントチョコレートらしい・・・。その場では買う勇気はありませんでした。

後日、友人宅に呼ばれた際の食後に供され、初めて食べて、その当時としては主張の強いミントに驚いたものでした。



2月にちなみ、今日は久しぶりにアフターエイトをいただいてみることに致しましょう。



アフターエイトならではの、濃緑のシンプルな箱。
個包装の色は黒。日本では考えられない紙製のオープンな個包装です。
(これは個包装とよんでいいのでしょうか?)



薄手のチョコレートの中には、あまーいミントのクリームが入っています。
最近のチョコレートがもつ「美味しいでしょう?」というアピールからは一線を画した味わいは、さすが英国生まれです(褒めています)。






夕食が終わり、1日の締めくくり。
午後8時を過ぎたリラックスタイム。





 

ご自身ための美味しい時間を、英国生まれのチョコレートとアンティークアイテムで、演出してみてはいかがでしょうか。



 

ゆったり寛げるミッドヴィクトリアンのショーウッドチェア、ご用意しております。



by N
 

東京にジャックフロストがやってきた

冬の雨の東京。

 

どんどん気温が低くなって、もう少しで雪になりそうな気配です。

 

今日はそんな冬の日に活躍する、英国の妖精をご紹介いたしましょう。

 

ジャック・フロスト/Jack Frost。

もしくは「Jack o' Frost/ジャック・オ・フロスト」。

 

 

英国の民話・伝承に登場するジャックフロストは、霜の妖精のこと。

 

姿は小人だったり大人だったり、老人だったり雪だるまだったりと様々な説がありますが、色合いは全て白もしくは薄青で、いかにも寒そうな風体をしているのがお約束です。

 

 

Victorian New Year Card  Jack Frost

 

 

ここでヴィクトリアンから20世紀初頭にかけて活躍した、英国のイラストレーターが描いたジャックフロストをご紹介しておきましょう。

 

Jack Frost
by Arthur Rackham(1867-1939)
 

 

 

Jack Frost
by Oliver Herford(1863-1935)

 

 

冬が厳しい時は、ジャックフロスト達が悪さをしているといわれ、窓に貼りついた霜の文様はジャックフロストが描いた、ともいわれます。

 

 

寒さが厳しい英国ですが、家の暖房はセントラルヒーティングが一般的(逆にエアコンはほとんどみません)で、とても暖かく保たれています。

 

 

ジャックフロストが窓に描いた霜の芸術を見ながら、座り心地のよいチェアでのんびりと過ごす・・・。

 

そんな冬の午後を過ごすのはいかがでしょうか。

 

 

最適なチェアと、ネストテーブルはパンカーダでご用意しております。

 

 

by N