ロイさん
「先週はもっと綺麗だったんですけどねー」
私「先週?、えっ!先週もここに来たの?」
ロイ「来ましたよ。ガスガスでしたけどね」
なんと、ロイさんの家からここまで750kmもあるっていうのに
2週連続でこんな遠いところに来るなんて!
ロイさんの変人ぶりには毎度驚かされる。
この人、先週は三石山と鳥海山をやったらしい。
因みにロイさん、一昨日は北アの奥穂高を日帰りでやり
昨日は秋田に移動し乳頭山に登り
今日は岩手のここでロング縦走してるのだ。
狂ってる!
「カラムーチョはやめて辛イカに変えたんですよ」って、そこはどうでもいい。
紅葉は素晴らしかったが、
紅葉景色が霞むほどロイさんの話はインパクトがあった。
ロイさんのぶっ飛んだ話と紅葉景色を楽しみながら長い縦走路を歩き続けた。
5時間、6時間と歩き、当然ながら疲れが出てきた。
私は歩くのが精一杯だったが
ロイさんはずーーーっと喋っていた。
これくらいのコースは屁でもないかのように。
ロイさんが長い距離を歩きたいというのには理由があった。
なんとロイさん、
今度トレランの大会に出るというのだ。
そのために日々ランニングなどトレーニングしてるらしい。
なんてこった!
なんだかロイさんが他の惑星からやってきた
異星人のように思えてきた。
異星人ロイ
最後のピークの茶臼岳山頂に立った。
正確には立ったのはロイさんだけで
私は疲労困憊で山頂でひっくり返っていた。
いいコースだったなぁ、なんて言いながら歩いてきた縦走路を振り返ってる。
11時間歩き続け無事ゴールすることができた。
行程はハードだったが、
素晴らしいコースだったことは間違いない。
また紅葉の時期に訪れてみたいと思った。
勿論コースはもっと短縮して。
なんだかんだ言っても
紅葉の素晴らしい縦走山行に誘ってくれて
更には道中バテてる私の気を紛わらせようと
喋り続けてくれたロイさんには感謝!
(バテてなくても喋ってただろうけど・・・)
松川温泉の湯に浸かり疲れを癒し
八幡平の街で夕飯を食べながら
翌日の山行計画について話し合った。
私はチゲうどん大盛り、ロイさんはステーキ定食
今日はかなりハードだったので
明日は軽めの山行にしてとロイさんに頼んだ。
そうしてロイさんが提案してきたのは、
紅葉で有名な栗駒山。
あそこなら行程も楽なので助かる。
秣(まぐさ)岳から栗駒山を周回する縦走コースを歩くことに。
流石に山頂ピストンというような最短コースではなかったが、
一般的なコースだったので良かった。
ロイさんにとっては物足りなかもしれないが
私の体力を気にして楽なコースを選定してくれたのだ。
その気遣いが嬉しかった。
夜のうちに一関まで移動して車中泊。
翌朝5時に須川温泉登山口へ向かい山行開始。
この日も抜群の天気!
朝日、雲海、紅葉!
私は秣岳からのコースを歩くのは初めてだったが
とても素晴らしいコースだった。
今日のルートはコースタイムで5時間半くらい。
なのでゆっくりのんびり山行でいいのだが
ロイさんの歩みが思いのほか早い。
今日の行程が短いのでスピードを上げているのだろう。
更には、下山後はロングドライブで家に帰らなければならないので
出来れば早く下山したいのだろうと思った。
ロイさんのスピードに必死について行った。
それにしても今日の景色は見事だった。
ただでさえ素晴らしい紅葉なのに
雲海まで広がっているのだ。
秣岳周辺では静かな山行を楽しむことができた。
紅葉の時期の栗駒山は、
メインルートとなるイワカガミ平からのルートはとても混雑するが
別ルートに外れると
人はまばらでゆっくり紅葉を楽しむことができる。
それにしてもロイさん、
様々な良いコースを知っている。
こういうところは流石300名山サミッターだと思わせる。
秣岳からの稜線を下り栗駒山への登りに入った。
昨日同様、ロイさんは相変わらず喋り続けている。
ロイさんは四日連続で異なる山域を歩いているのに全く疲れている様子がない。
やっぱりロイさんは異星人なんだと思いながら
喋り続けるロイさんの後を必死に追った。
山頂まであと少し。
そのときだった。
突然ロイさんが変なことを言い出した。
「イワカガミ平にも寄りますよね?」
ん? イワカガミ平?
そこって我々が登ってきた須川登山口と
栗駒山を挟んで反対側にある登山口でしょ。
イワカガミ平に下ったらどうやって須川登山口に戻るの?
また登り返すってこと?
いやいや、無いっしょ。
ロイ
「やっぱり栗駒山の紅葉のメインはイワカガミ平コースからの景色ですからねー。中央コースを下って東栗駒山コースを登り返しましょう。」
ちょっと何を言ってるのか分からなかった。
イワカガミ平からの景色は外せないんだなぁ
イワカガミ平に一旦下ってまた登るなんて
まるでトレーニング山行じゃん!
と不安がる私のことなどお構い無しに
軽快に進んでいくロイさんなのだった。
どうりで今日はサクサク歩いているわけだ。
夕べ、私のために軽めのコースを選んでくれたと思っていたが、
間違いだった。
最終日なので早めに下山したいのかと思ったが
間違いだった。
私の疲れを紛わらせるために喋り続けてくれたと思っていたが、
とんでもない間違いだったのだ。
よく考えてみれば
ロイさんがそんなチョロい山行をやる訳がないのだ。
まったり山行詐欺にまたやられたのだ。
異星人、確定!
ロイさんは私の疲れっぷりなど全く気にすることなく
人混みの栗駒山山頂をさらっとスルーし
中央コースを下って行ったのだった。
私は半ばヤケクソになって泣きながら山を下っていった。
だが、ロイさんの言うとおり、
このコースの紅葉は見事だった。
これぞ栗駒山と言わんばかりの素晴らしい紅葉景色だった。
ね!来て良かったでしょ?
登山口まで下ったらまた登り返さなければならないのだが、
そんな憂鬱な思いを忘れさせてくれるほど見事な紅葉だった。
1時間ほど山を下りイワカガミ平登山口に到着。
グッタリ疲れて草の上に倒れ込んだ。
どこまでも余裕のロイさん
しばし寝転んで休んでいたのだが
気づけばロイさんの姿がない。
辺りを見回すとロイさんがいた。
なんと、
レストハウスでちゃっかり豚汁買って食ってるし!
美味い美味い!
こっちは疲れ果てて食欲ないのに、
これから2時間かけて登り返さなきゃならないっていうのに、
余裕こいて豚汁を食ってるのだ。
でもって食べ終えると
「さあ行きましょう!」
と言って軽快に東栗駒山コースを登り始めたのだ。
そんなロイさんの背中を見て
軽く殺意を抱いた。
あの稜線を登るだけですよ。なんて、ロイめ〜!
ロイさんは疲れることはないのだろうか?
四日も続けて山を歩いてるのに。
初日の奥穂日帰りだけでもとんでもないのに
そのあと車で長野から秋田に移動して山に登り
更に岩手に移動して12時間の縦走コースを歩き
最後に宮城に移動して栗駒山を2往復し
下山後は700km運転して帰るっていうんだから。
しかも歩いているときはずっと喋っているのだ。
ロイさんってやっぱり異星人、詐欺師とんでもない人だ。
ロイさん、所々で動画撮影してる。インスタに載せるらしい。どこまでも余裕だ。
1時間半かけて栗駒山を登り返し
更に1時間以上かけて須川温泉登山口に下り
東北紅葉登山トレーニングを終えた。
この二日間でかなりの距離を歩いた。
いや、歩かされた。
とてもハードな山行だったが
コースとしては素晴らしかった。
登山口近辺の登り降り以外は樹林帯は殆どなく
これぞ東北の紅葉!と思わせる見事な景色を見続けながら歩くことができた。
ロイさんが2週連続で来るのも頷けた。
私も来年はコースを短縮してまた歩きたいと思った。
ロイさんが誘ってくれなかったら
このような素晴らしい紅葉を見ることができなかった。
三石山や秣岳の紅葉の素晴らしさを知ることはなかった。
ロイさんは本当に山をよく知っている。
花や紅葉、積雪期など、
その時期に適した良い山、良いルートをよく知っている。
ハードな部分を除けば、
ロイさんについて行けば間違いなく素晴らしい山行となるのだ。
いつもながらロイさんに感謝。
トレランを始めたロイさん、
これから益々山行がハード化していくだろう。
今後はそれをよく頭に入れておこう。
奴は異星人であることを忘れずにおこう。
そして、まったり山行詐欺に引っかからないようにしよう。
かなりハードな二日間だったが
総じて振り返れば、とてもいい山行だった。
お次は、いずこの山へ




























































































