オジカ沢の頭を超え万太郎山頂までやって来た。
ここで行程の半分ほど。結構順調に来ている。
この分だと16時55分の最終バスには余裕で間に合う。
トレラン装備の効果は抜群。
この調子でどんどん進もう!
次のエビス大黒の頭への登りが最大の難所。
小さなアップダウンを繰り返しながらの長い登り。
ここは本当に辛い。
ゲロ吐きそうなほど辛い。
必死にロイさんの後を追う。
途中でちょっと休憩挟んでくれないかな
なんて甘い期待はいつもの如く裏切られ
鬼ロイさんに山頂まで一気に連れていかれた。
山頂に達すると同時に倒れ込む。
時計を見れば、まだ10時45分。
時間的にはかなりの余裕。ってか、余裕あり過ぎ。
もっとゆっくりでも大丈夫じゃん。
これじゃ2時台のバスに間に合って・・・
え?
もしや
2時のバス、狙ってる?
と、そこでロイさん
「2時のバス、走れば可能性ありそうですね〜」
あ〜、3時半スタートとか
トレランシューズ履いて来たのは
そういうことだったのね。
ここまで7時間以上も歩いてるのに走れだなんて、
先日還暦迎えた私に走れだなんて!
鬼ロイめ〜!
こうなったらもうヤケクソ。
ええ走りますとも。
お供させていただきますとも。
エビス大黒の頭の頂きを早々に引き上げ
仙ノ倉へと向かった。
ラスボスの仙ノ倉の登りでは
汗も涙もゲロも屁も出ないほどに体はペカペカに
干からび、這う這うの体で達した山頂は休憩なし
でスルーされ、こっちは死にそうな思いしてるって
いうのに、その先の花畑で余裕こいて花の写真を
撮ってるロイさんを見た時は、軽く殺意を覚えた。
平標山の山頂もちょっとの休暇だけで即下山開始。
でもって極め付けは
「下山は早歩きで行きましょう!」
ときたもんだ。
こうなるとロイさんは一体誰と喋ってるのか分から
なくなってくる。(多分私じゃない)
颯爽と歩いていくロイさんに
私は泣きながら小走りで付いていく。
ロイさんの早歩きには小走りしないと付いていけない。
思えばこの松手山コース、いっつも走ってる。
今年も、去年も、その前にチビさんと縦走した時も。
バスの本数が少ないせいで毎回走る羽目に。
谷川主脈は好きだけど、
もうここをやるのは無理なのかもしれない。
今まで何度もここを縦走して来たが
今回は今までで一番疲れたし苦しかった。
60も過ぎたことだし、主脈縦走はこれが最後かな。
そんな事を考えながら
小走りで山を駆け下り13時45分にゴール。
麓の自販機でコーラを買って一気に飲んだ。
抜群に美味い!
精気が蘇った。
と同時に、無事下山できたことに安堵した。
なんだかんだ言っても、いつも誘ってくれて
ここまで私を引っ張って来てくれたロイさんに感謝。
今回ここを歩いて、もうこんなハードコースを
やる歳じゃないことを痛感した。
山での遭難確率が高くなる60代であることを
もっと自覚しなければならない。
これからは年相応の山をやろう。
そんなふうに思った。
縦走をやり切った達成感を感じながらバス停まで
歩いていく。
その途中でロイさんが言った。
「次は谷川馬蹄形縦走ですかね〜」
と来たもんだ。
鬼ロイめ〜!
お次は、いずこの山へ