こだわりのつっこみ -7ページ目

こだわりのつっこみ

素人が音楽、小説、映画などを自己中心的に語ります。

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 「このごろのあんたは、なにかに怯えてるみたいに見えるね」
 と言った。
 行天に心配されている。
 多田は笑いたかったが、吐いた息は音にもならずに宙に消えた。
 こういうやつなんだよな、と多田は思った。勝手なことばかりして、他人も自分もどうでもいいようなそぶりを見せるくせに、本当はだれよりもやわらかく強い輝きを、胸の奥底に秘めている。行天と接した人間は、みんなそのことを知っているのに、本人だけが気づいていない。
 行天と暮らした一年近くのあいだ、多田は楽しかった。血圧が乱高下し、抜け毛が増え、不整脈が頻発する日々だったが、楽しかったのだ。だから錯覚した。
 自分は変わったのではないか、忘れることができるのではないか、と。
 北村周一が現れて、多田は現実に引き戻された。
 結局いつも、俺は同じ場所にいる。
(p298-299より)

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今回は、三浦しをんさんの直木賞を受賞した作品、まほろ駅前多田便利軒を読んだので紹介します。
三浦作品は、君はポラリスに次ぐ2回目であり、さらに長編としては初体験。
最初は、その世界観になんとなくつまずいたのですが、読み進めるとすらーっと読んでいました。


あらすじ
まほろ市で、便利屋の多田啓介
庭掃除から飼い猫探しなど、いわゆる何でも屋を営む彼は、人には決して言わない秘密を抱えながら生きていました。
そこへ、ふとしたことがきっかけで、高校時代の知り合いである行天春彦と再会し、あろうことか行天が多田の家に住み着くようになるのです。

ろくに仕事もできず、何を考えているのか分からない行天ですが、彼との奇妙な共同生活に合わせてか、便利軒に舞い込んでくる仕事も次第に雑用から重いものに変わってきます。

それに比例し、暗い過去を抱えた多田にも変化が出てくるのです。



では以下はネタバレと個人的感想を含むので、いやな方は見ないで下さい。











まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)/三浦 しをん
¥570
Amazon.co.jp








~1回目 2010.12.4~
ストーリーは、割と時系列通りに進んでいて、章ごとに新たな依頼が舞い込むものの、前の章などと密接に繋がっています。

①正月の期間、犬を預かってくれとの依頼が舞い込む。その一方、別の依頼主からバスの監視を命じられる。

②犬の依頼主は引っ越してしまい、それを追うことにする。一方、バスの監視の時に多田は行天と再会。  → 犬は結局一次預り、また行天が便利軒の事務所に居つく。

③犬の引き取りを探すが、現れたのは自称コロンビア人の売春婦のルル。ルームメイトのハイシーと暮らしているが、怪しいために多田はしぶるも、行天の行動で、結局犬は2人の元へ。

④進学塾への送迎を依頼され、
どこか裏がある食わせ者の由良君(由良公)を送り迎えするも、ある日、多田は由良公がバスを利用した麻薬取引に加担していることを突き止める。
   → 売人のトップ、と連絡をとって、由良公と手を切れさせる。

⑤お盆の時期に、再びバスの監視を命じられた多田は、熱中症でダウン。そこで偶然行天の知り合いである三峯凪子と娘はるに出会う。はるは、凪子と行天の間に出来た子であり(とはいえ人工受精)、現在はパートナーと暮らしているとの事。

⑥一方行天は、盆休みを利用して犬の元の飼い主の子マリちゃんをルル・ハイシー宅に連れて行く。そこでハイシーがヤマシタという男にストーカーされていることを知る。
   → ヤマシタは星の手下だったが、行天はヤマシタを半殺しに。自らも腹を刺されるが、奇跡的に1ヵ月半の入院生活を経て復活。

⑦12月に入り、便利屋は繁忙期。行天はようやく1人で、カップルの手切れを仲介する依頼を、多田は木村さん宅の倉庫を整理することに。
   → そこに、新生児の時に病院で取り違いをされ、別の家庭で育った木村さん夫妻の子どもであったはずの男、北村周一と出会う。北村は木村夫妻の様子を知りたがるも、なぜか多田が拒絶。

⑧様々な葛藤の中、多田は自分の苦しみを行天に告白、行天にやはり一人になりたいから出て行ってくれと告げる。行天は出て行くが、多田は気が晴れない。
   → 新年になり、1年前に会った場所で行天と再会。行天はアルバイトとして再び多田便利軒へ。


という1年間の慌しい出来事が軽妙な文章で綴られています。あらすじは大体こんな感じです。


感想です。

まず、思ったのが、多田にしても行天にしても、えらくピュアだなと思いました。

多田は苦しみを抱えていて、離婚した妻が浮気をし、その最中に妊娠が発覚したことに端を発します。
多田は、仮に誰の子であっても自分の子どもとして育てようと決意するのですが、自分の不注意で、生まれてきたばかりの子どもを死なせてしまいます。
奥さんは、結局多田が自分の子ではないと思ったために見殺しをしたのだと彼をなじり、それが離婚の引き金となります。

しかし、多田は毎年その子の墓参りをし、自分のしてやらなかったことを後悔します。
だからこそ、自分の子ども(浮気相手の子だった場合)と、最終章で登場する北村周一とを重ね、生物学上の両親を探ろうとする彼に、自分の過去をえぐられている感じがして、拒絶したのです。

結局、北村は多くのことを望みませんでした。ただ、生みの親が幸せであればいいと心から安心するのです。

もちろん、多田は苦しんだのですが、その苦しみを抱き続けていることがあまりにも深く、考えすぎている感じがピュアです。
行天に関しても、何人か女を救ったり、意固地に幸せを誰かに与えようとする姿、ピュアです。
だから、この物語は純情なおっさん2人の掛け合いとも取れる気がします。

ただ、読み進むうちに、なんとなくその事件や、その解決の仕方が、石田衣良の『池袋ウエストゲートパーク』のように思えてしまって、なんとなく既読感があり、新鮮味には欠けた気がしますガーン

または、30歳過ぎた童貞男=ゲイという眼で判断させるというのは、どうかなぁ。
作者が若干同性愛を絡めた作品(『君はポラリス』だけでしか判断できないが・・・)が見られるので、そういった背景もあるのかなぁ。

まあ一言で言うと、すごく文章を書くことが上手い人が、さらさらと「これをこうして、このように書けば一つの作品にまとまるでしょう?」と綴ったかのような印象を受け、なんといいましょうか、私自身は作者の魂が今ひとつ伝わってきませんでした。

ただ心打つ言葉も語られているのも事実。
最後に、印象に残る行天語録(最後のは凪子さん)をいくつか紹介しますね音譜

「その人間の本質って、たいがい第一印象どおりのものでしょう。親しくなったら、そのぶん相手をよく知ることができる、というわけでもない。ひとは、言葉や態度でいくらでも自分を装う生き物だからね。」(p48)

「だれかに必要とされるってことは、だれかの希望になるってことだ」(p105)

「愛情というのは与えるものではなく、愛したいと感じる気持ちを、相手からもらうことをいうのだと」(p196)




総合評価:★★★
読みやすさ:★★★★
キャラ:★★★
読み返したい度:★★
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 「センセイ」もういちど、わたしは呼びかけた。心ぼそかった。
 「ツキコさん、ワタクシはいつも一緒だと言っているでしょう」
 一緒だと言われても、センセイのことだ、わたしを置いてずいぶん先に行ってしまうに決まっている。ツキコさんはだらしないですね、ふだんの心がけが悪いんでござんしょう。そんなふうに言いながら、いつだってセンセイは行ってしまうのだ。
(p66より)

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まったく小説を読んでいなかったので、更新しませんでしたが、ようやくここに来て生活に安定が出始めたので、手始めにほっこりする小説、センセイの鞄を紹介します。
以前大学生の時に本屋で平積みされてあったこの作品に一読み惚れしてしまったことがあったので、読んだ事はあるのですが、2回目に読むと、さらに深く心に入ってきます。
自分もおじさんに近づいたのかなと思いながら。


あらすじ
30代半ばで未婚の大町ツキコ
彼女は、よく行く居酒屋で偶然にも高校時代の恩師で、国語を教えていた松本春綱先生に出会います。
しかし、優等生ではなかったツキコは先生の名前を覚えているはずもなく、センセイと呼びながらその場をごまかし、結局センセイの呼び名が定着し、以来ずっとセンセイ、ツキコさんと呼び合うことになります。
それ以後、先生と居酒屋でばったりと出会ってはたわいもない話をしながら酒を交わすのです。

そうしてセンセイとの交流はゆっくりと穏やかにはじまります。
時にはセンセイの家におじゃましたり、一緒に出かけてみたり、はたまたつまらないことから口をきかなくなったり。

そんなこんなの毎日を過ごしながら、センセイとツキコさんの関係も、徐々に変化していくのです。




では以下はネタバレと個人的感想を含むので、いやな方は見ないで下さい。










センセイの鞄 (文春文庫)/川上 弘美
¥560
Amazon.co.jp










~2回目 2010.11.27~

では、結末に行く前に、まずセンセイとツキコさんが何をしたのか、物語順に追っていきます
その際、
センセイとツキコさんの仲に割ってはいるかのごとく行動する、しかしこの彼の存在によりツキコさんとセンセイとの仲は進むに至ったと考えてもいい、ある男を紹介しておいたほうがよいでしょう。
男の名は小島孝
ツキコさんとは同級生で、かつて高校時代にツキコを慕っていた人でした。


①センセイとの再開、先生宅にお邪魔し、そこでセンセイ思い出の品々を見る。

②八の市へ一緒に行き、センセイがヒヨコ2匹を購入する。

③いきつけの居酒屋にて巨人をめぐってケンカ状態に。結果仲直り。

④いきつけの居酒屋の主人サトルさんとともにセンセイとツキコさん、キノコ狩りに行く。

⑤お正月、なんとなく孤独や寂しさを感じたツキコさんがぶらぶら街歩きの最中、センセイと会う。

⑥ツキコさんがぶらぶら待ち歩きの最中、尻を痛めたセンセイと出会い、居酒屋に。途中、若い客に絡まれるも、センセイがいたずら。

⑦センセイが、毎年恒例の高校の近くで花見にツキコを誘う。センセイの普段とは違う行動にツキコなにかモヤモヤ。

⑧ツキコ、小島孝と花見で再会し、2人で花見を抜け出す。バーに行った後小島にキスをされる。小島はそれ以上を望むが、ツキコははぐらかしながら拒否

小島からデートに誘われ、 その前日に街の美容院にでかける。そこでセンセイと街でばったり会う。

⑩センセイに明日、男(小島)とデートだというと、急にセンセイが何を思ったかツキコさんをパチンコに連れ出す。


⑪小島に旅行に行こうと誘われる。が、センセイと酒を飲んだり話をしていくうち、はっきりと小島への違和感を感じる。

⑫深酔いしてセンセイの家でいつの間にか寝ていたツキコは、センセイ宅でセンセイのことが好きだと告白し、センセイにどこか旅行に行きたいとせがむ。

⑬センセイとツキコが小さな島に旅行に行くことに。しかしその島は、先生の逃げた奥さんが行き着いて亡くなった場所で、墓の前で「今でも妻が気にかかる」とセンセイ。ツキコ当然憤慨。

⑭センセイとは深い仲にはならず。ツキコは今後、「期待は禁物」を心に誓う。

⑮旅行以来、センセイのことを忘れようと遠ざかる態度を取っていたが、サトルさんからセンセイの健康状態を告げられ、センセイ宅に急ぐ。センセイはいたって無事。

⑯センセイにデートに誘われる。のち、センセイから「正式なお付き合い」の申し込み。


その後を言ってしまえば、センセイと再開して2年、正式なお付き合いをしてから3年、共に過ごしたものの、センセイは先に逝ってしまいます。


感想です。

まず、読んだ印象を率直に言えば、ツキコさんが非常に可愛らしい
年を重ねているのに、「オバサン」という感じはせず、「女の子」って感じなのです。
もちろん、行動はなんとなしに「オバサン」なんですけどね。不思議です。

「用を足す」っていう言葉が結構出てくるのに、不思議です汗

でも、それは本文にもよく出ていて、
センセイが普段しない行動を(自分が知らない行動を)すると、なんだか拗ねる。
奥さんに未練がありそうなセンセイの口ぶりに、くそジジイと心で怒る。
年相応の大人の落ち着きやエスコートをする小島孝に何らかの違和感を常に感じている。
ということでも、すごくよく分かります。

だからこそ、センセイという年上の知的な、ツキコさんを包んでくれるような存在がしっくりきたのかなぁと思います。

とはいえ、センセイはセンセイで、いたずら好きで、ちょっと嫉妬な部分も見せるところがすごく素敵です。
特に、小島と明日デートに行くとツキコから聞き、ひどく深刻な声でパチンコに行こうとする場面なんか、言葉にこそしないものの、なんだか意外な行動が面白かったです。


そして、個人的には「島へ」の章からラストにかけてのツキコさんの心の動きが非常に共感を得てしまって、胸が苦しくなる
スキマスイッチの「藍」のような、くそジジイと思いながらも早く帰ってきてほしがったり、もう会わないでおこうと思っていてもサトルさんの店に行ったり安否を確認しに行ったり、相反する気持ちが波のように押し寄せている想い、よく分かります。
結果、もう恋愛なんてどうでもいいや、居てくれるだけで生きているだけでいいって思う気持ちも、よく分かります。


さて、もちろんこの作品ではツキコさんとセンセイの恋愛模様が書かれていますが、普通の同年代同士の恋愛とは違い、「死」というものが付きまとっている、という点で一線を画しているのだと思います。

もちろん、
「いつだって、死はわたしたちのまわりに漂っている。」(p235)
とあるように、後半ではそれが顕著に書かれています。

しかし、前半でも、例えば
冒頭で紹介した、部分でも分かるとおり、
センセイは歩くときも常にツキコさんの前に居て、さらに先へ先へ歩いていってしまうことが多い。
これを私は、年齢的に先を生きているっていう意味にも受け取りました。
そして、結果的にはツキコさんを置いて逝ってしまうのです。

ただ、冒頭で紹介した文章でも分かるとおり、
いつでもツキコさんの心には、センセイが生き続けていることでしょう。


また、余談ですがこの作品は兎に角文章がきれいです。
日本語って素敵な言葉だなアップって感じました。

 


総合評価:★★★★☆
読みやすさ:★★★★☆
キャラ:★★★★★
読み返したい度:★★★★
レベル:中学2~3年生レベルなので数時間で読めると思います。


ジャンル:ヒューマン


あらすじ(背表紙から):

Dorothy lives in Kansas, USA, but one day a cyclone blows her and her house to a strange country called Oz.
There, Dorothy makes friends with the Scarecrow, the Tin Man, and the Cowardly Lion.

But she wants to go home to Kansas.

Only one person can help her, and that is the country's famous Wizard.

So Dorothy and her friends take the yellow brick road to the Emerald City, to find the Wizard of Oz...


面白さ:★★★☆


※以下、結末まで話します。嫌な方は見ないでください。













Wizard of Oz level 1 (Oxford Bookworms Library)/L. Frank Baum
¥522
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 おじさんとおばさんと共にカンザスに住むドロシー
ある日起こった竜巻で、地下室に逃げ遅れたドロシーと、子犬のトトは、家ごと竜巻に飛ばされてしまいます。

気づくと故郷とは全く違う、緑に囲まれた風景が。
そしてなぜか3人の小人と魔女が、ドロシーに礼を言っています。
聞くと家の下敷きになって悪い東の魔女が死んだとのこと。
故郷に帰りたかったドロシーは、良い北の魔女にそのことを言うと、魔女は、東の魔女が履いていたきれいな赤い靴をドロシーに履かせ、キスをしい、黄色い道を辿ってエメラルド・シティに向かいなさいと教えます。

その道中、ドロシーとトトは、
 ① 脳が欲しいかかし
 ② 心が欲しいブリキ男
 ③ 勇敢さが欲しいライオン
と知り合い、一緒にエメラルド・シティに。

そして、エメラルド・シティに着き、何でも願いを叶えてくれるらしい、オズの魔法使いが住むエメラルド城に行きます。
しかし、魔法使いは各々に違う姿をみせ、もう一人の悪い魔女である西の魔女を倒して来いというのです。

その様子を一部始終見ていた、西の魔女は、魔法でマジック・モンキーを呼び出し、かかし・ブリキ男を壊し、ライオンを牢に閉じ込め、ドロシーを自らの召使いにします。

西の魔女は、ドロシーの履く、東の魔女の赤い靴を奪おうとするも、北の魔女のキスの加護により手が出せず、それどころかドロシーがかけた水により死んでしまいます。
西の魔女は死に、彼女の魔法の帽子をかぶったドロシーはマジック・モンキーを呼び出し、かかしらを助け、再びオズの魔法使いのもとへ。

しかし、オズの魔法使いは難癖をつけて彼女らの願いを叶えようとはしません。
怒ったライオンは、雄たけびをあげます。そして、それに驚いたのは犬のトト。
怯えてスクリーンに飛び込むと、スクリーンははがれ、中にははげたおじさんが。
彼こそ、オズの魔法使いの正体。
彼もまた、ドロシーと同じくカンザスから竜巻で飛ばされていた、マジシャンだったのです。

そしてオズの魔法使いはかかし、ブリキ男、ライオンに語りかけます。
もうすでに、欲しいものは手にしているではないかと。
さらに翌日には、自分が飛ばされるときに乗っていた気球を直し、ドロシーをカンザスへと帰してあげようとします。

しかし、失敗し、ドロシーは乗り込めず、オズの魔法使いを乗せた気球は大空へと飛び立っていきました。
途方にくれたドロシーは、残る良い魔女、南の魔女に相談すると、履いている赤い靴をならし、合言葉を言えば戻れると教えてくれました。

ドロシーが言われたとおりすると、めでたしめでたし、カンザスに戻ることができたのでした。


感想:

内容はともかく、タイトルは知っている人も多いであろう、オズの魔法使いです。

とっても面白かったですニコニコ
というか、幼少期に映画で何回も観たことがあるので、思い出しながら、さらに新しい発見がありながら楽しむことができました。

大人になって読むと、また違う感想が出てきます。

例えば、オズがかかし、ブリキ男、ライオンに語るのです。
 ①かかし:もうすでに、物事を理解し、考えることができているではないか。
 ②ブリキ男:もうすでに、泣き笑いができ、何かを愛し、そして人に対して申し訳ないという気持ちを持っているではないか。
 ③ライオン:もうすでに、勇敢なことをしているではないか。
と。
確かに、本文中では、彼らの確かな成長を感じることができ、個人的にも十分うなずけるのですが…3人(匹?)は納得しません。
目に見える形で、物的な何かが欲しいのです。

そこで、翌日、オズは
 ①かかし:BRAINSと書かれたビンに入った、液体を頭に注入。
 ②ブリキ男:小さな赤い心臓をかたどったものを取り付けてあげる。
 ③ライオン:BE BRAVEと書かれたビンの中身を飲ませる。
これにより、3人は安心するのです。
この部分に、個人的に考えさせられました。

人は、自分が仮に才能を持っていたり、理想を叶えていたとしても、それを外から認めてくれたり、保障してくれる存在がなければ自信が持てないのかなぁ~はてなマーク、という風に考えてしまいました。
これは別に全然、いけないことではないと思います。
むしろ、そこに愛しさを感じることができました。

さらに、家に帰るための魔法。
直訳すると、ちょっと日本語には合わない感じがするので、意訳すると、
「どこであっても、故郷が一番」
というような内容です。
緑も何もないカンザスだけれど、やはり故郷にはかなわないんだろうなぁ。
レベル:中学2~3年生レベルなので数時間で読めると思います。


ジャンル:ヒューマン


あらすじ(背表紙から):

One day, a farmer tells a farm boy to take everything out of an old building and throw it away.
'It's all rubbish,' he says.


 

In the middle of all the rubbish, the boy finds a beautiful old piano.

He has never played before, but now, when his fingers touch the piano, he begins to play.

He closes his eyes and the music comes to him - and the music moves his fingers.


 

When he opens his eyes again, he knows that his life is changed for ever...


面白さ:★★★☆


※以下、結末まで話します。嫌な方は見ないでください。













The Piano: Level 2 (Bookworms Series)/Rosemary Border
¥556
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主な登場人物:

Anthony Evans
…ピアニスト。80歳記念公演を行う。かつてTonyと呼ばれていた。
Anthony Linda…Evansの妻。農場の娘だった。
Sally Hill…新聞記者。公演前のAnthonyに生い立ちをインタビューする。
Mrs.Lark…トニーの音楽の先生。
Wood夫妻…トニーが働きに出た農場の夫妻。
Mr.Gordon…農場近くの学校の先生。優しく、誰からも好かれる音楽好き。


アンソニー・エヴァンズの80歳記念演奏会。
新聞記者のサリーはアンソニーにインタビューを始めます。
偉大なピアニストでありながら、彼の口からは非常に風変わりな生い立ちが語られるのでした。

小学生のトニー(アンソニー・エヴァンズ)は、勉強は嫌いでしたが、なぜかラーク先生の音楽の授業は好きだった男の子。
しかし、13歳になると、学校から出て働かなければならなかった彼は、母親がかつて働いていたウッド夫妻の農場に行くことにします。

農場での生活は、仕送りをしていたためにお金はなかったけれど、非常に充実していたものでした。
さらに、学校の夏休みになり、少年2人も農場にやってきて、トニーと仕事をしながら一緒に日々の生活を楽しむのでした。

ある暑い日、ウッド氏は新しい車を納車するため、小屋の掃除を3人に言いつけます。
彼らは小屋の掃除を始めますが、小屋に置いてあった古いピアノに興味を持ち、ふと鍵盤に手を乗せると、なぜか弾けるのです。
ウッド夫妻の娘、リンダはピアノを習っていたのですが、自分が弾けなかった曲を簡単に弾いているトニーにびっくり。

ピアノをなんとか自分のものにしたかったトニーですが、小屋にはピアノを置いておけません。
そこで見つけたのが、夏休みで誰も人がいない農場の近くの学校。
幸運にも学校の鍵が開いていて、夏休みの期間、いったんそのピアノをおいておくことにします。
それから、学校が始まるまで、農場の仕事をしながらトニーはピアノを練習します。
リンダも楽譜を貸したり、譜読みを教えたりして、トニーを応援するのです。

さて、ある夜忘れ物を取りに学校を訪れた
先生のゴードンは、ピアノの音を耳にします。
音楽好きのゴードンは、彼の存在に気づいておびえるトニーに優しく声をかけ、さらにウッド夫妻にトニーには才能があるので音楽を教えたいと願い出ます。

夫妻のお墨つきをもらったトニーはおおっぴらに練習できるようになり、冬を越しどんどんその技術を上達させていきます。
そして6月。コンクールがあり、それに参加したトニーは、他の参加者や観客に臆することなく演奏を始めます。ただ、友に、ウッド夫妻に、そしてゴードン先生に、さらに音楽のたのしさを教えてくれたラーク先生を想って弾くのです。

コンクールの結果は、見事優勝。
その後トニーは音楽学校に進学し、華々しいキャリアをスタートさせるのです。
また、彼が20歳の時にはリンダにプロポーズし結婚します。
それが、アンソニー・エヴァンズの不思議な不思議な経歴なのでした。
そして、記者に語ると、舞台に向かうのでした。



感想:

音楽好きなので、こういう話は無条件で楽しいですアップ

こういった類の話って、本人だけでなく、周りの人が非常にいい役といいましょうか、愛すべき存在となるので、胸がキュンとなります。
特に、好きなのはゴードン先生
この人がいたから、偉大なピアニスト、アンソニー・エヴァンズの今があるんだろうなぁ。

・・・あ、もちろん、実在しないんですけどね(笑)

「彼が音楽を見つけたのではなく、音楽が彼を見つけた」っていう台詞、すごく好きです。


レベル:中学2~3年生レベルなので数時間で読めると思います。


ジャンル:シリアス


あらすじ(背表紙から):

Charles Hatfield Baker III, one of the richest men in New York City,suddenly disappears.
His daughter, Julia, wants to find him.
Thedirectors of his company want power and money.

Do they know where heis?
And what is Project Omega?
Can Julia find her father and save hiscompany?


面白さ:★★


※以下、結末まで話します。嫌な方は見ないでください。













Project Omega: Level 2 (Penguin Readers Simplif.../Elaine O’Reilly
¥682
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主な登場人物:

Charles Hatfield Baker Ⅲ
…大金持ちの社長でJuliaの父親。忽然と姿を消す。
Julia…BakerⅢの娘で主人公。取締役らの悪い計画を阻止しようと試みる。
Miss Bentley…会社の重役の一人。
Mr.Berger…会社の重役の一人。
Miss Harper…会社の電話番。Juliaに警告し、手助けをしようとする才女。
Edward West…Juliaの危機を救い、友人となる25歳の青年。



ある水曜、ニューヨークでも有数な金持ちのベーカー氏が忽然と消え、娘のジュリアは父親の消息を負うことにします。
それと同時に、会社へ行き経営状況を確かめることに。
というのも、ジュリアは父親から会社の半分以上の資産や経営権を与えられており、父親が消えてしまった以上、自分が率先して会社を経営していかなければならなかったからです。

会社の状況や計画書類を読んでいたジュリアは、ふと赤いファイルを見つけます。
表紙には「PROJECT OMEGA」と書かれているものの、中身は入っておらず。

ベントレーバーガーといった重役たちに問い詰めると隠し扉の中からある書類を取り出すのです。
家に持ち帰って読もうとジュリアは帰宅。
その時会社の電話番のハーパーさんから電話があり、ジュリアを殺そうとしている者がいるから気を付けろとの警告。
さらに書類を読んだジュリアは愕然。そこには、恐るべきプランが書かれていたのです。
それは、他社よりも力をつけ、金に物を言わせて支配するという重役たちの考えた計画で、彼女はそれを止めるべく、行動を始めます。

しかし、ハーパーさんの警告どおり、転落死してしまいそうな目にあい殺されかけます。さらにそのどさくさに紛れて「PROJECT OMEGA」のファイルが何者かに盗まれてます。
しかし、エドワード・ウェストという青年に助けられ、ジュリアが「PROJECT OMEGA」のことを話すと、一緒に計画を中止できるように手助けしてくれるとのこと。
会社に行き、書類のコピーを手にしたジュリアは、エドワードと共に、新聞社に行って告発しようとしますが、サンタの格好をした2人組に拉致されてしまいます。
頭を打ち、薄れていく記憶の中、ジュリアはそのサンタ姿の一人が、エドワードだったことを知ります。

さて、目覚めたジュリアは飛行機に乗っていて、隣にはエドワードが。
何が何やら分からないジュリアに、エドワードは事の顛末を話すのです。

エドワードは父親のしたで働いていた男。
「OMEGA PROJECT」を止めさせたかった父親でしたが、経営の半分はジュリアが持っていることから、彼女に会社の行く末を決めてほしいと願い、姿を消します。
そして飛行機が向かった先はフロリダ。そして、その地には父親が。

ジュリアは一人の大人の女性として、会社をなくして新しく何かよい事をするために活動すると父親に語り、その活動を、初めて友と呼べる友、エドワードと一緒に行うことを宣言したのです。


感想:



良い事ってなんじゃらほい?

「OMEGA PROJECT」って言われると、何やらすごくすごく陰謀的なもっともっと深い恐るべき計画っぽくて、期待したんですが、漠然としすぎていてなんだかよく分からない計画で、ハマれなかったですしょぼん