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こころに映りゆく由無しごとを其処は可となく書き付けて
ごうなっだのでありますぐるらめ。

仕事始め。張り切っていきまっしょい!!
お正月らしく「女正月」のぶんまで、「れ」ー「ん」と「ん」ーー「そ」の2回分です。 双六最難関です。 駅伝です。

れ——ん  

レイアウト/整ひまして/砌とん      (雑)
 れゐあうと ととのひまして みぎりとん
んと力み /手締まひの戸と/東亜齭(ゐ)れ  (雑)

砌(みぎり):水限。軒下の雨滴を受ける敷石・石畳のあるところ。
とん:オノマトペ。飛び降りる音。
東亜(とうあ):アジア大陸の極東部。
齭る(いる):すっぱいものを食べて歯が浮くこと。

 卒論デザイン設計が、ほぼいいところまでいったので、彼はエンターキーをポンと叩いた。
 終了の手締め、蛍の光だ、杉の戸だ。東亜の礎(いしずえ)たれ、とは、歯が浮くぜ。
 
 むかしの日本語には「ん」がありませんでした。いろは歌でもアイウエオでも厄介者扱いです。そのくせ中国語の影響で使う頻度は断然多いのです。しかも日本語はオノマトペが祖語ですから、「ん」がないと始まりません。そこで漢字から「无(む)」の草体を平仮名に、「✓(チェック記号)」を片仮名に追加して鼻音「ん」「ン」に当てました。文字はこうして誕生しましたがコトバは半人前のままです。いまだに語彙のアタマにつかわれていません。ここでは「う」や「む」で代用してきた昔から進化した「ん」挽歌としても真っ当につかうことにしたのです。

ん——そ  
 
麦踏の/空風背負ふ/野葡萄こそ         (初春)
 むぎふみの からかぜせおふ のえびこそ
底冷えの/不御世々からが/のみ吹きぬ     (三冬)

季語:麦踏・初春。底冷え・三冬。
麦踏(むぎふみ):春先に麦の浮き上がった芽を踏んで丈夫にする農作業。莖が分厥(ぶんけつ)して太くなると、昔聞いていたが現在は全く聞かない。⁇
葡萄(えび):葡萄の古名。②エビヅルの古名。③葡萄(えび)色・葡萄染(えびぞめ)の略。
底冷え(そこびえ):心底まで冷え込む寒さ。
御世世(おせせ):「せせ」は「世話」の「世」を重ねたもの。余計なお世話。
からが:【連語】接続助詞「から」に格助詞「が」が付いたもの。近世以降の語。逆接の意。~ても。~たところで。

麦踏のころはまだ風が寒い。着ぶくれた野良着が足踏みしている。
 底冷えはお節介焼の隙間風だけが運んでくるようで我慢ならない。

「ん」が「む」「ぬ」を代行した昔をしのび(?)(前句れーん解説参照)遊んでみました。ふざけが過ぎましたかね。いやはやなんとも、コジツケが苦しいテーマでした。

そとや屠蘇(静かに屠蘇を召し上がれ)。ことしもよろしくご贔屓を(そと:①すこし②静かに)

た——れ
 ⑴ 「た」ではじまって「れ」でおわる。 
 ⑵ 順読みと逆読みの二つの俳句。二階建て俳句あそび。
田作りへ/箸向かひ弟/子ら陽たれ       (新年) 
 たづくりへ はしむかひおと こらひたれ
Les田平子/度負ひ嚙む皺/屁理屈多      (新年)

季語:田作り・田平子(たびらこ)・新年。
 
田作り(たづくり):①田を耕作すること。②五万米(ごまめ)の異名。季語ではタツクリ(「ツ」が濁らない)。なお、動詞「たづくる」になると、意味が変わり「よそおう」となり(着物を)着る、意味になる。「手作る」を当てるが、手作りではない。
箸向かふ(はしむかう):「弟(オト)」に掛かる枕詞。古代の箸は折り箸(一本の木を折り曲げてその両端で食べ物を挟むようにした箸)で、向き合う意から。
Les(レ):【仏】定冠詞複数。まるで「れ」はニホンゴではないようだ。
田平子(たびらこ):佛ノ座。コオニタビラコ。キク科多年草。手元のカドカワ歳時記では一年草になっている。タンポポに似る。なお、ホトケノザという名称は現在ではシソ科のホトケノザに移った。

お正月の祝い膳。晴れやかな弟の取り箸は田作りに向かおうとしている。若いひとよ。すべからく太陽たれ。
春の七草よ。その代表として佛ノ座よ。この御老体は会うたびに増えている深い皺の一本一本に深遠な哲理を蔵しておられる。その哲理が口から放たれるや屁理屈となる…ようだが。

「れ」で始まる日本語はほとんどない。苦し紛れにフランス語!? 姑息に過ぎるのでゆっくりネット渉猟しました。「れ」で始まる季語「新年」……ただひとつありました。それが「礼者」です。

大師粥/差料すらし/湯茶し淹れ       (新年)
 だいしがゆ さしれうすらし ゆちやしいれ 
礼者治癒/知らす嬉しさ/床し甚       (新年)

季語:大師粥・礼者・新年。

大師粥(だいしがゆ):大師講の日に食べる小豆粥。知恵粥。
差料(さしりょう):自分が差すための刀。差し前。
礼者(れいじゃ):年賀に回る人。祝詞だけ述べて辞することを門礼という。初礼者。門礼者。賀客。年賀客。〈病牀を囲む礼者や五六人〉(子規)。
甚(いた):【副詞】はなはだしく。

 年賀の客人に挨拶、羽織袴に腰の物までつけてのご主人、ひとしきり接待して湯茶のお点前でした。
 奥ゆかしい御接待に痛み入りました。快気祝いのご報告を兼ねてのご挨拶は門礼だけのつもりでしたが、ついうれしくて長々と…… 

双子俳句ですから、一つが変わると相手も変わります。「た」を頭の季語。これは、あるところにはあるもんですね。叩き牛蒡・棚卸・大黒舞・大根注連・田遊び・大師粥・達磨市。以上七個です。

———大変な「暮れ」でした。
   おめでとうございます。

メビウス連句、既出分のまとめです。匝文のオモテ読みです。「よ」「た」までですので来年は「た」「れ」から残りをはじめます。

「い」「ろ」「は」…「よ」「た」

祝月/宙まどかかな/御覧じろ     (初春)
六阿弥陀/詣ぞよめく/露途罵るは   (仲春)
花の富士/世界をひとつ/汝が琵琶に  (晩春)
忍冬に/花白くして/ドアの野暮    (初夏)
蛍籠/爆ぜ段滝瀬/来し雅致へ     (仲夏)
平和祭/若き血の波/灼くロフト    (晩夏)
とほほの子/いくさ二転で/柵目何方  (雑)
ちんちろの/庭の此は吉/眩みけり   (初秋)
竜胆や/むらさき悲母尼/刳りめぬ   (仲秋)
零餘子飯/五ツ星の舌/有象凝る    (三秋)
ルドラクシャ/財施汲め裸来/綱の嘉を (晩秋)
丘の星/ラビラビメモが/ラビ端が輪  (雑)
忘れ花/この訪ひ詠めや/田は月か   (初冬)
数へ日の/流離九年に/死期来もよ   (仲冬)
夜さりては/北風しまく/鐃旗     (三冬)

正式の連句は、長句(五-七-五)と短句(七-七)を交互に置きますが、ここは変則にすべて長句。
季節の推移は連句の規則に準拠しました。
句頭は、いろは順のしりとり。従って句尾もいろは順。
いろは…のオモテ(読み下し)のあと、ウラ(逆読み)が逆接続されますので、双六の「あがり」は、上記の「い」に戻り「祝月」の逆読み「ろじうらこ/なかかどまうち/きつびばい」になります。

今年は「よ」「た」で、与太りましたので、「た」「れ」からです。
ありがとうございました。
どうぞいいお年をお迎えください。