匝文俳諧/しりとり駅伝双六「れ」ー「ん」、「ん」ー「そ」 | ouroboros-34のブログ

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こころに映りゆく由無しごとを其処は可となく書き付けて
ごうなっだのでありますぐるらめ。

仕事始め。張り切っていきまっしょい!!
お正月らしく「女正月」のぶんまで、「れ」ー「ん」と「ん」ーー「そ」の2回分です。 双六最難関です。 駅伝です。

れ——ん  

レイアウト/整ひまして/砌とん      (雑)
 れゐあうと ととのひまして みぎりとん
んと力み /手締まひの戸と/東亜齭(ゐ)れ  (雑)

砌(みぎり):水限。軒下の雨滴を受ける敷石・石畳のあるところ。
とん:オノマトペ。飛び降りる音。
東亜(とうあ):アジア大陸の極東部。
齭る(いる):すっぱいものを食べて歯が浮くこと。

 卒論デザイン設計が、ほぼいいところまでいったので、彼はエンターキーをポンと叩いた。
 終了の手締め、蛍の光だ、杉の戸だ。東亜の礎(いしずえ)たれ、とは、歯が浮くぜ。
 
 むかしの日本語には「ん」がありませんでした。いろは歌でもアイウエオでも厄介者扱いです。そのくせ中国語の影響で使う頻度は断然多いのです。しかも日本語はオノマトペが祖語ですから、「ん」がないと始まりません。そこで漢字から「无(む)」の草体を平仮名に、「✓(チェック記号)」を片仮名に追加して鼻音「ん」「ン」に当てました。文字はこうして誕生しましたがコトバは半人前のままです。いまだに語彙のアタマにつかわれていません。ここでは「う」や「む」で代用してきた昔から進化した「ん」挽歌としても真っ当につかうことにしたのです。

ん——そ  
 
麦踏の/空風背負ふ/野葡萄こそ         (初春)
 むぎふみの からかぜせおふ のえびこそ
底冷えの/不御世々からが/のみ吹きぬ     (三冬)

季語:麦踏・初春。底冷え・三冬。
麦踏(むぎふみ):春先に麦の浮き上がった芽を踏んで丈夫にする農作業。莖が分厥(ぶんけつ)して太くなると、昔聞いていたが現在は全く聞かない。⁇
葡萄(えび):葡萄の古名。②エビヅルの古名。③葡萄(えび)色・葡萄染(えびぞめ)の略。
底冷え(そこびえ):心底まで冷え込む寒さ。
御世世(おせせ):「せせ」は「世話」の「世」を重ねたもの。余計なお世話。
からが:【連語】接続助詞「から」に格助詞「が」が付いたもの。近世以降の語。逆接の意。~ても。~たところで。

麦踏のころはまだ風が寒い。着ぶくれた野良着が足踏みしている。
 底冷えはお節介焼の隙間風だけが運んでくるようで我慢ならない。

「ん」が「む」「ぬ」を代行した昔をしのび(?)(前句れーん解説参照)遊んでみました。ふざけが過ぎましたかね。いやはやなんとも、コジツケが苦しいテーマでした。