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こころに映りゆく由無しごとを其処は可となく書き付けて
ごうなっだのでありますぐるらめ。

正詠み逆読み二段重ねの、おもしろ俳句です。「い」「ろ」「は」順に「よ」「た」まできました。次回は正月なので「た」「れ」で目出度く詠みたいとおもいます。

よ——た   
夜さりては/北風しまく/鐃旗          (三冬)
 よさりては きたかぜしまく くすみばた
田は見過ぐ/熊弑(し)せ敵/果てり小夜(さよ)   (三春)

季語:北風・三冬。熊・三冬ですが、ここでは熊の子瓜坊の話なので、季節は春。
夜さり(よさり):夜分。夜になったころ。
しまく:風巻く。吹きまくる。
鐃旗(くすみばた):「くすみ」は、軍陣で鳴らす銅鑼(どら)や鉦(かね)。指揮旗。
小夜(さよ):「さ」は接頭語。よる。

 夜になると北風が吹き募り、軍陣を鼓舞する軍旗が激しくはためきました。
 やがて夜は明け、田は何も言わず黙って見ていないふりをしましたが、「熊は人類の仇」とばかり仕留めた人々が獲物を担ぎ引き意気揚々と揚げるところでした。父熊は、冬眠中に生まれてその春の瓜坊の目の前で息を引き取ったのでした。

年賀状のイラストを無料のをダウンロードして、ハガキに印刷するのですが、毎年、おなじ箇所でおなじ失敗するのが希代といえば希代ですね。オシャカを同じ数出します。都度、家人を郵便局に走らせます。いい加減にしてよ、と家人は、都度、プータレます。
冬風がより冷たく感じられる今日この頃でアリマス。
オモテ(ふつうの詠み方、左から右へ)、ウラ(右から左へ、逆読み)の二重にかさねた俳諧の遊びです。きょうは、イロハ順に「か」ー「よ」です。次回は「よ」ー「た」です。

「か」—「よ」 

数へ日の/流離九年に/死期来もよ      (仲冬)
 かぞへびの りうりくとせに しごきもよ 
蓬ごし/偽徳利売り/伸びへ素娥       (三春)

季語:数え日・仲冬。蓬(よもぎ)・三春。 
数え日(かぞえび):年末の残り少ない日々。「数え月」は十二月のこと。
流離(りゅうり):故郷を出て他国をさまよい歩くこと。流浪。
もよ:【連語】係助詞「も」に間投助詞「よ」の付いたもの。詠嘆の意。
素娥(そが):月に住むという伝説の仙女。月の異名。「素」は色が白いこと。

 ことしも終わりに近づいた。思えば国を出て流浪することもう九年になるのだなあ。生涯がこんなだったとはなあ。
 よもぎ越しにインチキ陶磁器売りが声をかけてきた。「月へ行くにはどう行けば?」と言う。聞きつけた月の仙女が腰を伸ばした、とさ。

「にせ」には、「偽(にせ)」のほかに「二才(にせ)」もあり、意味は「若いひと」「青年」です。  

お内儀が大掃除をはじめました。あちこちに追いやられています。まるでゴミ扱いです。まあ…毎年のことで、空を眺めて〈行く年やァ〉……そう言えば、鳥もみなくなりましたねェ(シミジミ)

匝文俳句のシリーズ再開です。ルールを確かめておきましょう。
①一句の中に正逆読みの二つの俳句がある二重構造の俳句です。②句正読みで前半、逆読みで後半のシリトリになること。
③イロハ順 きょうは、「わ」-「か」(「わ」に始まり「か」でおわる俳句)。次回は「か」-「よ」。
④季節は連句のきまりを守る。
ではご覧ください。

忘れ花/この訪ひ詠めや/田は月か     (初冬)
 わすればな このとひよめや たはつきか
垣つ端/やめよ人の子/隠れずわ      (雑)

季語:忘れ花・初冬。
忘れ花(わすればな):小春日和に咲く時ならぬ花。狂い咲き。帰り花。桜・梅・梨・杜若(かきつばた)など。
隠る(なばる):動詞ラ行四段。隠れる。
わ:【終助詞】文末に用いられた係助詞「は」の転。活用語の終止形に接続する。軽い詠嘆や驚きの気持ちを表す。「よくやるわ、あいつ」

おや、かきつばたの帰り咲きじゃないか。一句詠んでおこうか。「田は月か」でどうだい? 
狭い垣の露地で子どもに出っくわした? 吠えないで隠れなさい。なに?隠れるところが無い!?

 「かきつばた」といえば在原業平の物名歌(もののなうた)が有名ですね。

から衣 きつつなれにし つましあれば はるばる来ぬる たびをしぞ思ふ
               (古今和歌集・伊勢物語)
各句の冠に「か」「き」「つ「ば」「た」を詠みこんであるのです。そこでここでは回文は回文なりに「隠し題」を趣向しました。「田は月か(たはつきか)」でした。「かきつばた」の逆読みです。

どうですか? タイクツですか? もうすこし源氏物語をしますか? ゲンジも退屈だ? どっちもやめろ~! チョットチョット、お客さん…