僕が死ぬ日・・生まれる日 -37ページ目

僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死んで・・生まれる日までの記録

実家の友美の部屋に二人で行く

「葵は?」

そう私が訪ねると「友達の家に行ってるわ!もう直ぐ帰って来ると思うけど・・」

そう友美が答え・・お互いが何を話して良いのか解らずにその後、しばしの沈黙が訪れる

「すまなかった!帰ってきてくれないか!」

私は我慢できずに余計な事は何も言わずにそう友美に言った・・

「何がすまなかったの?」

友美は少し意地悪そうな微笑を浮かべそう呟いた。

「お前を・・信じられなかった事だよ・・」

そんな私の言葉に少しだけ安堵の表情を浮かべる。

「お前が出て行ってから色々と調べたんだ!実はね!俺、お前が浮気をしてると

思っていて・・それでお前を疑っていて・・実はある奴に騙されていたようで・・」

そう私が言うと友美は少しうなだれながら呟く

「加藤さん・・でしょ!」と

そして・・

「彼があなたを騙していたんでしょ!」と

「何時からあいつにストーカーされていたんだ!何で・・話してくれなかった?」

「だって・・あの人・・あなたの部下だから・・

あなたに余計な心配をさせたくなくって・・」

「馬鹿だな!変な所で気を使うから話がややこしくなったんだろ!」

「でも・・私・・・」

困った表情の妻の顔を見て自分がどんなに愛されているのかを実感する・・

そして、それと同時に妻を信じる事が出来なかった自分がどんなに愚かな男かを・・

「一緒に帰りましょ!も~う!何時、迎えに来てくれるのか首を長くして待っていたのだからね!それに連絡もしてくれないし・・」

「すまない・・恥ずかしくって電話も出来なかった・・それに・・」

そう言い掛けて私は言葉を濁した・・

それに・・俺はお前を裏切ってしまったから・・こんなに愛されてるのに・・

本当はそう言いたかった。でも、なんとなく友美の目がそれを言わそうとはしなかった。

「ただいま!パパ・・来てるの!」

娘の葵がそう叫びながら部屋に飛び込んで来た!そして私に抱きつきながら・・

「遅いよ!本当に・・」と呟いた。

私はそんな娘を力いっぱい抱きしめながら言った・・

「ごめんな!パパ・・のろまだから・・」と

「帰ろう!3人で家に・・直ぐに用意をしなさい!」

私は葵にそう言いながら・・妻に微笑んだ・・

そんな私達を友美の父親は不愉快そうに見つめていた。

「母さんが帰ってくるまで居ればよいのに!」

彼は不機嫌そうに娘の友美にそう言った。

「また、改めて来るわ!今は帰りたいの・・自分の家に・・」

そんな娘の言葉に少しだけ彼は寂びそうな顔をする・・

きっと「自分の家」と言う妻の言葉に寂しさを感じたに違いない。

もう・・ここはお前の家じゃないんだな・・お前の・・

私はそんな友美の父親の顔を見ながらチラッと娘の顔を見る。

俺も何時かそんな寂しさに耐えなければいけない日が来るんだろうな!と

娘が何時か妻と呼ばれる時に・・そんな寂しさに耐えなければいけない時が・・と

3人で自宅に戻る。

その夜は3人で布団を引いて川の字になって眠った・・・

私は隣で眠る葵の手をしっかりと握っていた・・

そして幸せそうな顔をしながら寝ている娘を見ながら安らぎの時間を感じた。

「まだ・・起きてる?」

妻にそう言われ・・

「ああ・・起きてるよ!」と答えた。

「あなた・・私と居て幸せですか?」

「何でだい?急に・・」

「だってあなた・・時々、まるで他人でも見るように私を見る時があるから・・

もしかしたら、私と居る事があなたにとって苦痛なのではないかと思ってしまって・・」

友美はそう悲しそうな顔をして私に言った。

この女は誰なんだ?私は何でこの女と一緒に暮らしてる?

私は何時もそう思っていた・・そんな言葉を繰り返しながら呟き自分を苦しめていた。

見つからない答え・・それでも自分がこの女と一緒に暮らさなければいけない苦痛・・

私は自分が今までどんなに愚かな人間であったかをその時、悟った・・

「そんな事はないよ!だって俺達は夫婦じゃないか!そして3人は家族だ・・

俺が今回、お前を信じてあげれなかったのはきっと、俺が馬鹿だったからだよ!

ごめんな!友美・・俺・・やっぱりお前をきっと、愛してる・・」

友美はすっと布団から立ち上がり私に呟く・・

「あなた・・寝室に行きませんか?」と

「ああ・・そうだな・・」

その晩・・私達は明け方まで愛を確かめた・・

ピピピピピ・・・ッ!ピピピピピ・・・ッ・・早朝から・・

数回、友美の携帯の呼び出し音が聞こえる・・

それは私の最後の戦いの合図であったに違いに・・

「訳を聞かせてもらおうか・・」

友美の父親は私を睨みつけそう言った。

あいつは何も話していないのか?自分の両親に・・

私は探るように友美の父親の顔色を見ながら呟いた。

「私が全て悪いんです・・彼女を信じられなかった私が!

お願いです!会わせてください!友美に!友美に会わせてください!」

私は悲痛な顔で彼にお願いをした。しかし彼は・・

「駄目だな!あいつを悲しませるような男にこれ以上、あいつと暮らせてさせる

訳にはいかない!それにもう届いているはずだろ!離婚届が・・」

淡々と話す友美の父親の顔には何の迷いも無かった。

一刻も早くこの男と可愛い娘を別れさせたい!その思いだけだったのだろう・・

「もしかして・・あの離婚届はお父さんが送って来たのですか?」

私は少しだけ怒ったような顔をしてそう彼に尋ねた。

「さぁ~どうかな?でも、それが娘の本心だと思って頂きたい」

「何で!あなたにそんな事が解るんですか!何で・・」

私は興奮を押しとどめる事が出来ないような荒い口調で彼に言った・・

「親子だからだよ!誠君・・」

彼はそう・・静かに呟いた。

「親子だから?だったら、私達は夫婦です!あなたより一緒に居る時間は短いかも

しれないし、血の繋がりも無いかもしれません!でも私達には死ぬまで一緒に居ようと誓った固い絆があります!お願いします!会わせてください!友美に・・あいつに・・」

私は泣いていた・・そんな言葉を友美の父親に叫びなら・・

なぜにこんなに涙が止まらなかったのか正直、自分でも理解できない。

たぶん・・それだけ必死だったのだと思う。

「お父さん!誰か来てるの??」

台所から・・・友美の声が聞こえた!

私は叫んだ!「俺だ!俺だ!友美!俺だ・・」と

驚いたような顔をして友美が台所から飛び出してきた!

それを制するように彼女の父親は友美の前に立ちはだかった・・

「友美!行くんじゃない!こいつと何も話すんじゃない!」と

涙でクシャクシャになった顔で私は叫んだ!

「友美!すまなかった!帰って来てくれ!」と

「お父さん!どいてください・・私、彼に話があるのよ!」

友美は自分の前に立ちはだかる父親に対してそう叫んだ・

「私!私の旦那様に・・話があるのよ・・」と

私はそんな友美を何も言えずに見つめていた・・

始まりなんだよ!木村・・

そう、これが始まり・・・

3人で近くのカラオケボックスに向かいワイワイ言いながら歌った・・

美香の目に何時の間にか涙が溢れていた・・・

木村がトイレに出て行った時に美香は私の横に座り私の手をしっかり握り呟いた。

「ありがとう・・あの人を元に戻してくれて・・」と

私は笑顔で言った。

「美香!これは貸しだぜ!」と

時間は午前の3時を少しだけ回っていた・・

美香は木村の肩にもたれながら眠ってしまったようだ・・

ビールを飲みながら木村が呟く・・

「今から独り言を言うぞ!別に誰の事でもない!」

私は聞こえない振りをして無関心に歌本をめくっていた・・

「加藤は坂本友美をストーカーしていた。

何度も何度も毎日のように嫌がらせの電話を友美にしていた。

何で友美がその事を旦那に言わなかったのか正直わからない!

でも、多分、旦那の仕事の事を気遣っての事なのかもしれない・・

加藤は二人を離婚させる事を望んでいる・・

そうすれば一人になった友美が自分を好きになってくれると思っている。

二人の仲を邪魔してるのは旦那の誠だ!

こんなに二人を愛しあってるのに・・あの旦那が邪魔をしてる!

友美が可愛そうだ!あいつが真剣な表情でそう言ってる顔が不気味でよ!

でも、俺は・・自分の仕事を貰うためにあいつの手助けをした!

大ばか者だ!大事な・・本当に大事な親友を裏切って・・

気持ち悪いストーカーに手助けをしてしまった・・

俺が決着を付けてやるから!・・絶対に・・

俺が友美さんに詫びに行く!加藤との事を全部話しに行くから・・」

私は歌本を捲りながら呟く・・

「俺も独り言を言うぞ!そんな事をしたらせっかく取った都の指定が消えてしまう!

お前たちの生活が壊れてしうまう!そこまでお前にやってもらう事は出来ない・・

俺達の友情より・・お前は家族の幸せを守るべきだと思う!

それに俺はそんなに弱い人間じゃない!自分の嫁ぐらい自分で連れ戻すよ!」

そう私が呟くと・・木村にもたれながら眠っていた美香が呟く

「あんた・・良いじゃない!別に・・二人で働けばなんとか家族5人が暮らして行けるぐらいのお金は稼げるわよ!そんなはした金よりもあなたはもっと大切な物を守るべきだと私は思う・・」そう美香は言うと幸せそうに微笑みまた眠りについた・・

カラオケボックスを出たのは朝の6時を回っていた。

「なんか、久々にオールだよな!もうおっさんにはオールはこたえる・・」

木村はそう笑いながら言った。

「ほら!あたなユカが起きてしまうから急いで帰るわよ!」

そんな言葉から現実の世界が始まった。

木村は眠い目を擦りながら美香に引きずられるように自宅に歩き始めた。

私はそのまま駅に向かい仕事場へ向かった。

「店長!最近、ご家庭の方はどうなんですか?」

加藤にそう言われ私は笑顔で彼に言った・・

「順調だよ!もう一人くらい子供でも作ろうか!なんて話があるくらいに・・」

そんな私の言葉に加藤は少しだけ渋い顔をした。

「で・・でも・・実家に帰られているんじゃ・・」

少し動揺した様子で加藤はそう私に問いかけた・・

「お前・・何でそんな事、知ってるんだ?」

私は彼を睨みつけながらそう呟いた・・

「えっ・・いや・・なんかそんな話を聞いたような・・気がして・・」

自分の同様を隠すように加藤はそう呟く。

「それはご心配を・・今週中には帰って来る予定だから・・」

私のそんな答えを全部聞く前に彼は私の前から何時の間にか姿を消していた・・

その日の夕方・・私は友美の実家のある成城に向かっていた。

何年ぶりだろう・・友美の実家を訪れるのは・・

私はどうも友美の両親が苦手であった。娘の葵は小さい時か非常に彼らになついていた。

でも、妻が実家に帰省する時は必ず私は仕事だと言って同行する事は無かった。

そんな私によく彼らは、「随分、お忙しいお仕事なのね!」と嫌みったらしく言ったものだ!

そんな両親に必死で私の弁護を友美がしていた事は私が大分、後になって知った事実であった。

閑静な住宅街に一際目立つ大きな門・・それが友美の実家である。

私は一度、門の前で深い深呼吸をするとチャイムを押した。

「はい!どちらさまですか?」

「どうも!ご無沙汰しております!誠です!」

「あら、誠さん!お久しぶりね!今、門を開けますから・・」

そう愛想の良い友美の母親が呟く

ギギギギ・・ッ!大きな音を立てながら自動的に門が開かれる。

私は恐る恐る・・中庭を抜けて家の玄関に向かった。

玄関を開いた瞬間・・私は数歩、後ろに後ずさりした。

そのには鬼のような形相の友美の父親が立っていた・・