絆 | 僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死んで・・生まれる日までの記録

実家の友美の部屋に二人で行く

「葵は?」

そう私が訪ねると「友達の家に行ってるわ!もう直ぐ帰って来ると思うけど・・」

そう友美が答え・・お互いが何を話して良いのか解らずにその後、しばしの沈黙が訪れる

「すまなかった!帰ってきてくれないか!」

私は我慢できずに余計な事は何も言わずにそう友美に言った・・

「何がすまなかったの?」

友美は少し意地悪そうな微笑を浮かべそう呟いた。

「お前を・・信じられなかった事だよ・・」

そんな私の言葉に少しだけ安堵の表情を浮かべる。

「お前が出て行ってから色々と調べたんだ!実はね!俺、お前が浮気をしてると

思っていて・・それでお前を疑っていて・・実はある奴に騙されていたようで・・」

そう私が言うと友美は少しうなだれながら呟く

「加藤さん・・でしょ!」と

そして・・

「彼があなたを騙していたんでしょ!」と

「何時からあいつにストーカーされていたんだ!何で・・話してくれなかった?」

「だって・・あの人・・あなたの部下だから・・

あなたに余計な心配をさせたくなくって・・」

「馬鹿だな!変な所で気を使うから話がややこしくなったんだろ!」

「でも・・私・・・」

困った表情の妻の顔を見て自分がどんなに愛されているのかを実感する・・

そして、それと同時に妻を信じる事が出来なかった自分がどんなに愚かな男かを・・

「一緒に帰りましょ!も~う!何時、迎えに来てくれるのか首を長くして待っていたのだからね!それに連絡もしてくれないし・・」

「すまない・・恥ずかしくって電話も出来なかった・・それに・・」

そう言い掛けて私は言葉を濁した・・

それに・・俺はお前を裏切ってしまったから・・こんなに愛されてるのに・・

本当はそう言いたかった。でも、なんとなく友美の目がそれを言わそうとはしなかった。

「ただいま!パパ・・来てるの!」

娘の葵がそう叫びながら部屋に飛び込んで来た!そして私に抱きつきながら・・

「遅いよ!本当に・・」と呟いた。

私はそんな娘を力いっぱい抱きしめながら言った・・

「ごめんな!パパ・・のろまだから・・」と

「帰ろう!3人で家に・・直ぐに用意をしなさい!」

私は葵にそう言いながら・・妻に微笑んだ・・

そんな私達を友美の父親は不愉快そうに見つめていた。

「母さんが帰ってくるまで居ればよいのに!」

彼は不機嫌そうに娘の友美にそう言った。

「また、改めて来るわ!今は帰りたいの・・自分の家に・・」

そんな娘の言葉に少しだけ彼は寂びそうな顔をする・・

きっと「自分の家」と言う妻の言葉に寂しさを感じたに違いない。

もう・・ここはお前の家じゃないんだな・・お前の・・

私はそんな友美の父親の顔を見ながらチラッと娘の顔を見る。

俺も何時かそんな寂しさに耐えなければいけない日が来るんだろうな!と

娘が何時か妻と呼ばれる時に・・そんな寂しさに耐えなければいけない時が・・と

3人で自宅に戻る。

その夜は3人で布団を引いて川の字になって眠った・・・

私は隣で眠る葵の手をしっかりと握っていた・・

そして幸せそうな顔をしながら寝ている娘を見ながら安らぎの時間を感じた。

「まだ・・起きてる?」

妻にそう言われ・・

「ああ・・起きてるよ!」と答えた。

「あなた・・私と居て幸せですか?」

「何でだい?急に・・」

「だってあなた・・時々、まるで他人でも見るように私を見る時があるから・・

もしかしたら、私と居る事があなたにとって苦痛なのではないかと思ってしまって・・」

友美はそう悲しそうな顔をして私に言った。

この女は誰なんだ?私は何でこの女と一緒に暮らしてる?

私は何時もそう思っていた・・そんな言葉を繰り返しながら呟き自分を苦しめていた。

見つからない答え・・それでも自分がこの女と一緒に暮らさなければいけない苦痛・・

私は自分が今までどんなに愚かな人間であったかをその時、悟った・・

「そんな事はないよ!だって俺達は夫婦じゃないか!そして3人は家族だ・・

俺が今回、お前を信じてあげれなかったのはきっと、俺が馬鹿だったからだよ!

ごめんな!友美・・俺・・やっぱりお前をきっと、愛してる・・」

友美はすっと布団から立ち上がり私に呟く・・

「あなた・・寝室に行きませんか?」と

「ああ・・そうだな・・」

その晩・・私達は明け方まで愛を確かめた・・

ピピピピピ・・・ッ!ピピピピピ・・・ッ・・早朝から・・

数回、友美の携帯の呼び出し音が聞こえる・・

それは私の最後の戦いの合図であったに違いに・・