始まりなんだよ!木村・・
そう、これが始まり・・・
3人で近くのカラオケボックスに向かいワイワイ言いながら歌った・・
美香の目に何時の間にか涙が溢れていた・・・
木村がトイレに出て行った時に美香は私の横に座り私の手をしっかり握り呟いた。
「ありがとう・・あの人を元に戻してくれて・・」と
私は笑顔で言った。
「美香!これは貸しだぜ!」と
時間は午前の3時を少しだけ回っていた・・
美香は木村の肩にもたれながら眠ってしまったようだ・・
ビールを飲みながら木村が呟く・・
「今から独り言を言うぞ!別に誰の事でもない!」
私は聞こえない振りをして無関心に歌本をめくっていた・・
「加藤は坂本友美をストーカーしていた。
何度も何度も毎日のように嫌がらせの電話を友美にしていた。
何で友美がその事を旦那に言わなかったのか正直わからない!
でも、多分、旦那の仕事の事を気遣っての事なのかもしれない・・
加藤は二人を離婚させる事を望んでいる・・
そうすれば一人になった友美が自分を好きになってくれると思っている。
二人の仲を邪魔してるのは旦那の誠だ!
こんなに二人を愛しあってるのに・・あの旦那が邪魔をしてる!
友美が可愛そうだ!あいつが真剣な表情でそう言ってる顔が不気味でよ!
でも、俺は・・自分の仕事を貰うためにあいつの手助けをした!
大ばか者だ!大事な・・本当に大事な親友を裏切って・・
気持ち悪いストーカーに手助けをしてしまった・・
俺が決着を付けてやるから!・・絶対に・・
俺が友美さんに詫びに行く!加藤との事を全部話しに行くから・・」
私は歌本を捲りながら呟く・・
「俺も独り言を言うぞ!そんな事をしたらせっかく取った都の指定が消えてしまう!
お前たちの生活が壊れてしうまう!そこまでお前にやってもらう事は出来ない・・
俺達の友情より・・お前は家族の幸せを守るべきだと思う!
それに俺はそんなに弱い人間じゃない!自分の嫁ぐらい自分で連れ戻すよ!」
そう私が呟くと・・木村にもたれながら眠っていた美香が呟く
「あんた・・良いじゃない!別に・・二人で働けばなんとか家族5人が暮らして行けるぐらいのお金は稼げるわよ!そんなはした金よりもあなたはもっと大切な物を守るべきだと私は思う・・」そう美香は言うと幸せそうに微笑みまた眠りについた・・
カラオケボックスを出たのは朝の6時を回っていた。
「なんか、久々にオールだよな!もうおっさんにはオールはこたえる・・」
木村はそう笑いながら言った。
「ほら!あたなユカが起きてしまうから急いで帰るわよ!」
そんな言葉から現実の世界が始まった。
木村は眠い目を擦りながら美香に引きずられるように自宅に歩き始めた。
私はそのまま駅に向かい仕事場へ向かった。
「店長!最近、ご家庭の方はどうなんですか?」
加藤にそう言われ私は笑顔で彼に言った・・
「順調だよ!もう一人くらい子供でも作ろうか!なんて話があるくらいに・・」
そんな私の言葉に加藤は少しだけ渋い顔をした。
「で・・でも・・実家に帰られているんじゃ・・」
少し動揺した様子で加藤はそう私に問いかけた・・
「お前・・何でそんな事、知ってるんだ?」
私は彼を睨みつけながらそう呟いた・・
「えっ・・いや・・なんかそんな話を聞いたような・・気がして・・」
自分の同様を隠すように加藤はそう呟く。
「それはご心配を・・今週中には帰って来る予定だから・・」
私のそんな答えを全部聞く前に彼は私の前から何時の間にか姿を消していた・・
その日の夕方・・私は友美の実家のある成城に向かっていた。
何年ぶりだろう・・友美の実家を訪れるのは・・
私はどうも友美の両親が苦手であった。娘の葵は小さい時か非常に彼らになついていた。
でも、妻が実家に帰省する時は必ず私は仕事だと言って同行する事は無かった。
そんな私によく彼らは、「随分、お忙しいお仕事なのね!」と嫌みったらしく言ったものだ!
そんな両親に必死で私の弁護を友美がしていた事は私が大分、後になって知った事実であった。
閑静な住宅街に一際目立つ大きな門・・それが友美の実家である。
私は一度、門の前で深い深呼吸をするとチャイムを押した。
「はい!どちらさまですか?」
「どうも!ご無沙汰しております!誠です!」
「あら、誠さん!お久しぶりね!今、門を開けますから・・」
そう愛想の良い友美の母親が呟く
ギギギギ・・ッ!大きな音を立てながら自動的に門が開かれる。
私は恐る恐る・・中庭を抜けて家の玄関に向かった。
玄関を開いた瞬間・・私は数歩、後ろに後ずさりした。
そのには鬼のような形相の友美の父親が立っていた・・