<手付金> 契約書に署名捺印された後の手付金の返還可能性 |  NPO法人日本住宅性能検査協会 建築・不動産ADR総合研究所(AAI)

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<手付金>(1)

 

(質問)

 

手付金を業者に支払い契約書にも署名捺印したが、1時間後にもっとよい条件の物件が見つかった。

そこで、手付金を支払った業者に連絡して解約を申し入れたが、「手付金は没収する」と言われた。たった1時間なので納得できないのだが‥。

 

(回答)

契約書に署名捺印された後の手付金の返還可能性

はじめに

契約書に家主と借主双方が署名捺印した場合、一般的には「契約成立」とみなされ、手付金の無条件返還は困難になります。

 

なぜ返還が難しいのか?

  1. 家主の代理権授与: 家主の署名捺印は、仲介業者に契約行為を代理する権限を与えた証拠と解釈されます。

  2. 契約拘束力: 署名捺印は、当事者が契約内容に合意し、法的拘束力を持つことを示します。

  3. 時間経過の影響: 時間の経過に関わらず、原則として手付金の返還は認められません。

例外的な返還ケース

  1. 説明内容の虚偽: 家主や業者の説明内容が事実と異なる場合は、返還請求が認められる可能性があります。

  2. 違法行為: 違法な手段で契約締結を強要された場合も、返還請求できる可能性があります。

手付金返還のリスク

手付金を安易に支払うと、以下のリスクがあります。

  1. 不本意な契約への縛り: 十分な検討なしに契約すると、後々解約が困難になり、手付金を失う可能性があります。

  2. 経済的損失: 返還されない手付金は、大きな経済的損失となります。

まとめ

契約書に署名捺印する前に、内容を十分に確認し、納得した上で行うことが重要です。手付金の返還は、原則として困難であることを理解し、慎重に判断しましょう。