ボツにならなくてよかった〜『おしいれのぼうけん』 | 絵本読み聞かせ講師・上甲知子「絵本で子育て講座」出前します【小田原 湘南 横浜 静岡】

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絵本の読み聞かせを味方につけると子育てはもっと楽しくなります
「読み聞かせなんてめんどくさい」という方も、簡単に楽しくできるときだけ続けられる「絵本で子育て」をお伝えします

 

先日、

『おしいれのぼうけん』(ふるたたるひ たばたせいいち 作 童心社)の編集者 酒井京子さんのお話を伺いました。

 

 

 

 

 

 

 

まず何より、わたしが一番強く、心動かされたのは、酒井京子さんの 声。

 

張りがあって、力みはないけど、力がある。

 

ピリッとした意思がある。

 

想いがある。

 

それが声からビリビリと伝わる。

 

 

 

そして、ずっと立ってお話しされました。

 

 

わたしだったら、座っちゃうし、マイク使っちゃう。

 

誰かに何かを伝えたいのに、省エネモードで楽しようとしてた自分をモーレツに反省。

 

 

酒井京子さんは、1946年生まれだそうです。

 

こんなにも ほとばしっている。

 

わたしは、こういうかっこいいお姉様に弱い。メロメロ。見習いたい。

 

 

 

 

 

 

ノート9ページ分、必死でメモを取りながら、お話を聞きました。

(以下、細部、違うかもですが、わたしのメモを元に感じたことなど)

 

 

 

 

 

 

わたしは、以前から、

 

「さく ふるたたるひ たばたせいいち」

 

なんだなあ、

 

 

「ふるたたるひ作 たばたせいいち絵」

 

じゃないんだなあ、そこは意図的なんだろうなあ、と思ってました。

 

 

 

酒井京子さんは「三位一体」という言葉を使われました。

 

それは、古田足日さんに言われたそうです。

 

 

「作家、画家、編集者が三位一体で作る絵本」

 

 

 

 

児童文学は子ども騙しで面白くない、仕事を辞めるか、辞めるとしたらちゃんとした理由がないとだめだろう、そんなことを考えていた若かりし新人編集者の酒井さんは、超売れっ子作家だった古田足日さんに会いに行ったそうです。

 

 

「どういう本を作ったらいいですか?」と聞いたそうです。

 

それを考えるのが編集者の仕事なのですが、古田さんは教えてくれたそうです。

 

その中で、「三位一体」という言葉が出たそうです。

 

「そんな難しいことをしてくれる人がいるのかしら?」と酒井さんは思ったそうです。

 

古田足日さんは「僕はできない」と。

 

でも、お願いしたら引き受けてくれて、画家は「田畑精一だ」と指名されたそうです。

 

 

 

 

 

 

 

古田足日さんの手書き原稿は、クセが強くて読みにくいそうです。

 

書き上がると、酒井さんが読む。

 

その目の前に古田足日さんがいる。

 

酒井さんの感想を待っている。

 

読みにくい。

 

遅筆作家である古田足日さんが続きを書く気になるようなことを言わなくちゃ。

 

酒井さんはものすごく緊張したそうです。

 

気づいたら、モヘアのセーターが汗で濡れていたそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

指名された田畑精一さんは、京都大学で原子物理学を専攻してました。

 

あるとき、人形劇を観て、全部やめて、飲まず食わずで人形劇にのめり込んだそうです。

 

 

 

 

古田足日さんの『おしいれのぼうけん』の原稿を読んで

 

「僕が本当にやりたい仕事はこれなんだ」と言ったそうです。

 

 

 

 

保育園の子どもたちが使っている安いわら半紙に1本5円の安い鉛筆で描こう、と。

 

 

田畑さんが描いてきてくれた13ページのあの絵を見て、

古田足日さんは、飛び上がらんばかりにコーフンして喜んだそうです。

 

 

「こういう密度で全編描いてきてくれますか?」と。

 

 

 

ちなみに、57ページの絵は、京王プラザホテルなんだそうです。

 

田畑さんが入れたいと希望した「現代」を象徴する絵。

 

 

 

 

 

 

 

ところが、原稿が膨大。

 

絵を入れて、絵本にしようとすると、原稿を短くしないといけない。

 

 

 

旅館に泊まり込んで、ずらりと絵と原稿を並べて、原稿を短くしていった。

 

ところが、ラストの場面、

 

「絵を小さくしろ」「できない」

「原稿を短くしろ」「できない」

 

2人とも一歩も引かず、大喧嘩になってしまった。

 

 

 

 

 

酒井さんは(あーあ。ここまでやってきたのに。ボツか)と思ったそうです。

 

ところが、次の日、2人とも元気にスッキリ起きてきて、歩み寄ったそうです。

 

 

 

ボツにならなくてよかった。(←知子心の声)(←たぶん、『おしいれのぼうけん』に出会った全ての人の声)

 

 

 

 

 

 

 

 

酒井さんは、本ができあがると興味を失う。

 

カオスの状態から、全部を知っているのは編集者だ。

 

自分の子どものよう。

 

でも、できあがったら、その本は、社会的存在として生きていくのだ。

(この言葉にわたしはグッときた↑)

 

 

 

 

 

 

 

酒井さんは、古田さんにこう聞かれたそうです。

 

 

 

「なんでこんなに売れるんだろう?」

 

 

 

 

 

酒井さんは「ねずみばあさん」が理由だと考えています。

 

悪の象徴である「ねずみばあさん」を2人の子どもがやっつける。

 

子どもにとって、こんな爽快感のあるお話はないんじゃないか。

 

もしも、地球上に悪がなくなれば、この本は成立しなくなる。

 

けれど、今は、この本を作った当時よりももっと、悪が存在している。

 

 

 

 

 

 

 

 

ほかにも、ビリビリと感動したお話はこんなにあります。

 

 

・「押し入れに入れる保育」について

・神沢利子さん、今江祥智さんの、『おしいれのぼうけん』に対しての感想

・絵本の背のこと

・絵本の紙のこと

・絵本の神のこと

・保育園で取材して、その後のこと

・ファンタジーの入り口と出口のこと

・『ダンプえんちょうやっつけた』の素材をどこから見つけたか

・『ダンプえんちょうやっつけた』で残念だと思っているところ

・シリーズ「絵本ぼくたちこどもだ」の3作目

・4色印刷 後から入れる大変さ

・いわさきちひろさんが目の前で、どんなふうに赤ちゃんの手を描いたか

・「会う」ことの大切さ

 

とてもとても書ききれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰りの電車が途中まで一緒で、『おしいれのぼうけん』を園児に、『いないいないばあ』を中学生に読んだときの話をさせてもらいました。

 

 

会話してても、若々しい。

 

みずみずしい感性がほとばしってる。

 

2時間お話しされて、お疲れなのではと思うのですが、そうとは感じられなかったです。

 

 

 

 

 

あー。

 

参加して本当によかったです。

 

次回は5月です。

 

絶対参加する。

 

 

 

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