国宝 歌仙歌合@和泉市久保惣記念美術館 | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

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2023年12月現在の国宝の総数1,137件。そのうち、美術工芸品906件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

大阪は和泉市にあります、和泉市久保惣記念美術館


へ行ってきました(^_^)/

明治時代に綿織物業で富を得た"久保惣"という会社の三代目 久保惣太郎氏が収集したコレクションを、和泉市に美術館とともに寄付したことから始まったようです。

いわゆる実業家のコレクションですね。
同様の経緯を持つ美術館だと、関西では藤田美術館・正木美術館・泉屋博古館が、関東だと五島美術館や大倉集古館が、有名ですね。

和泉市久保惣記念美術館は国宝を2件所有しています。
・国宝 歌仙歌合
です。

ただ、残念ながら、国宝 歌仙歌合は前期のみの展示だったので、5/19で展示を終えています。ゴメンナサイ🙇‍♂

ということで、前期展示の最終日に滑り込んだワケです。
↑2件とも、展示はこちらの新館でした。
では、さっそくレポートします。
↑あっ、そうそう。写真撮影📷🆗は嬉しいですね。レポートしやすい(^o^)
最近では、藤田美術館や徳川美術館(テスト運用中)も可能なので、観客が停滞しないよう、大規模展覧会以外はオーケーとかにして欲しいなぁ。




・国宝 歌仙歌合

平安時代(13世紀)の作。

巻頭から1mほどの展示でした。
"歌仙(かせん)"とは、歌ウマな人のこと。和歌や漢詩を詠むのが上手い人のことですね。
"歌合"は、"うたあわせ"と読み、"歌合戦"のことです。
通常"歌合わせ"は、左↔右で対決するのが一般的です。
右の歌仙 VS 左の歌仙
とするところ、この国宝 歌仙歌合は、
上の歌仙 VS 下の歌仙
と、上下対決!となっています(^_^)
珍しい形式ですね。
では、巻初の部分から詳細に見ていきましょう。
↑トップバッターは、
(柿本)人麻呂 10首 VS (紀)貫之 10首
です。
↑1首を、3行の"かな書き"で書いています。
かな書きとはいえ、連綿(続け字)で書かれているので、まぁ、読めません(^_^;)
これを15番勝負、合計30人で戦うわけです。
↑キャプションには「歌仙30人の歌130首が書写されている」とありますが、130首を30人で割ると、1人4.3333…首となって、割り切れない……

この謎は、「1人10首」と固定されている訳じゃないからです。

人麻呂vs貫之、躬恒vs伊勢、兼盛vs中務は10首ずつで、深養父vs小町が2首ずつ、他の歌仙は3首ずつの合計130首なんですね〜
こちらのデジタルミュージアムで、全巻見ることができます。
↑2番合わせは、(凡河内)躬恒10首vs伊勢10首女流歌人が出てきましたね。
↑料紙にも特徴があります。「飛び雲」と呼ばれる料紙装飾です。
"料紙"というのは、書かれている"紙"のこと。それを飾る装飾として、紫と藍色の紙の繊維を漉き込んでいます。
それが、色付きの雲のように見えることから「飛び雲」と呼ばれるんですね。
大きめの飛び雲が、キレイに散らされています。(青カビじゃないですよ~装飾です!)
↑最後は筆致を見てみましょう。柔らかく繊細で、伸びやかな筆運びですね。藤原行成


筆の伝承も頷けます。(でも、やっぱり筆跡違うよね💦)

以上です。


次回は、国宝 青磁鳳凰耳花生 銘万声です(^_^)/~~