3/26(火)国宝 太刀 銘安綱(名物童子切安綱)・群書治要 巻二十六・海賦蒔絵袈裟箱 | 死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

死ぬまでにすべての国宝を肉眼で見る

2024年9月現在の国宝の総数1,143件。そのうち、美術工芸品912件。これをすべて肉眼で見ようという計画です。関西中心の情報をお届けします。

現在、東博本館で展示されている国宝は、以下のとおり。

・国宝 興福寺金堂鎮壇具
・国宝 線刻蔵王権現像

・国宝 太刀 名物童子切安綱
・国宝 群書治要 巻二十六
・国宝 海賦蒔絵袈裟箱


の5件です。

ほぼ常設の、国宝 興福寺金堂鎮壇具と線刻蔵王権現像のレポートは、過去に何度かレポートしていますので、今回割愛します(^_^;)

と、いうことで、残りの3件をレポートしま〜す。



本館13室 『刀剣』 

・国宝 太刀 名物童子切安綱
東京国立博物館所有の国宝。平安時代(10〜12世紀)の作。

国宝指定名称は「太刀〈銘安綱(名物童子切安綱)/〉」。
足利将軍家→徳川将軍家〜津山松平家と伝わった、天下五剣の名刀です。
"天下五剣"は"名刀"といわれる、五振りの"名物"のこと。(その内国宝は、三日月宗近・大典太、そしてこの童子切安綱の三振りです。) 

"太刀"なので、刃を下にして展示しています。
↑茎(なかご)には目釘孔が1つ。"鎺(はばき)"付きで展示されています。
↑「安綱」の銘が刻まれているの、わかりますか?
緑のラインマーカーを引いたところを見てください。刀身の中央にすーっとラインが入ってるでしょ。"鎬(しのぎ)造り"です。断面が♢の様になってるんです。
↑刃文は、ゆったりと流れるよう。
↑刃文がゆる~く🌊🌊になってますね。太くて立派な刀身ですね。、

作者の"安綱(やすつな)"は、伯耆国(ほうきのくに)、今の鳥取県で活躍した刀工だそうです。

ところで、"童子切(どうじぎり)"の名は、源頼光(みなもとのらいこう/よりみつ)が、大江山で酒呑童子を退治したことからつけられています。

お姫様をさらったり、都で悪い事をする鬼👹の親玉 酒呑童子(しゅてんどうじ)。その首を切り取った刀こそが"童子切"なんです!
参照:colbase
↑の人物が、源頼光。その手に持つのが太刀 銘安綱(童子切安綱)です。薄っすらと血がついてるね……コワイ


〜5/26までの展示です。





本館2室 (国宝室)

・国宝 群書治要 巻二十六
東京国立博物館所有の国宝。平安時代(11世紀)の作。
「ぐんしょちよう」と読みます。

"群書治要"とは、何でしょうか?
漢字を、ブロックごとに見ていくと、わかりやすいです(^-^)
"群書"は、本などから言葉を集めたもの。言葉のスクラップブックですね。何の言葉を集めたかというと、
"治要"世の中を治めるためのもの。統治のために有用な情報を書物などから集めてまとめたもの。という意味ですねー
中国ではすでに失われてしまっていて、日本に残るのみだとか。そうゆうの、良くありますよね。曜変天目とか(^_^)
平安時代中頃に書写され、九条家に伝わりました。
↑巻頭から、6mほど展示されています。
↑「群書治要 巻二十六」とタイトルの後に「魏志下」とありますので、三国志の"魏(ぎ)"の国の国史から始まっているのでしょう。
↑料紙の色が変わっても、文章は続いて書かれています。
↑複数の筆者の、寄り合い書きで書かれているので、よく見てみると、筆跡が異なるのがわかります。
↑線に肥痩をつけた、キレイな楷書で書かれていますね。
紫・茶・↑縹(はなだ)の色紙を、継いでいます。
↑の写真右側の料紙には"飛び雲"が漉かれています。
↑一見、青カビにも見えますが、立派な料紙装飾です。"飛び雲"は、紙を漉く際に、藍や青の繊維を混ぜて、紙を装飾する技法です。国宝では、よく使われる技法です。国宝 催馬楽譜や、国宝 深窓秘抄


でも使われていましたよ。
↑の写真は、界線が金泥で引かれているのが、よく分かると思います。
"界線"は、文字を真っ直ぐ書くためのガイドライン、縦の罫線のことです。
4/7までの展示です。




本館12室 『漆工』

・国宝 海賦蒔絵袈裟箱(かいふまきえけさばこ)


東寺(教王護国寺)所有の国宝。平安時代(10世紀)の作。

残念ながら、こちらは写真撮影禁止🚫です(^_^;)

空海が、唐での師匠である恵果和上から授かって、唐から持ち帰った、国宝 犍陀穀糸袈裟(けんだこくしけさ)を入れるための箱。だから「袈裟箱(けさばこ)」。

黒漆塗りの箱に、金銀の研ぎ出し蒔絵で、波・海獣(マカラ)・鳥・魚・亀が描かれています。
波は銀の蒔絵で表されているので、海獣(マカラ)・鳥・魚・亀を見つけてみましょう(^o^)
鳥と魚はすぐに見つかります。海獣(マカラ)は「なんだこりゃ」という生き物をみつけたら、それが"海獣(マカラ)"。
亀が一番みつけにくいかな?(^_^;)
側面の金具の左下を見てください。そこに、首だけ出しているのが"亀"です。

写真が無いのがもどかしいでしょ(^_^)
まぁ、あの空海が唐から持ち帰った品ですからねぇ~
お寺の所有だし、"信仰"の対象なのでやむを得ませんね。

状態がとても良く、新品並みです。マットな黒漆地に、細かい金銀の蒔絵が、丁寧に施されているのを見ると、この中に納められていた"袈裟"が、どれほど大事にされていたのか、良くわかります(^_^)


6/2までの展示です。



東博のレポートは、以上で〜す(^o^)

次回は、三の丸尚蔵館のレポートをします。お楽しみに〜(^_^)/~~