掛布雅之の講演を聞く

 

2年間阪神で一緒で
当時広島の抑えだった江夏豊と
野球談議中
ピッチャー心理を聞きたくて

 

「スコアリング・ポジションにランナーがいて
 キャッチャーとサインが違ったときどうしますか?
 キャッチャーはカーブ、江夏さんがストレート」

 

「カーブや」

 

「カーブ投げて、打たれて悔い残りませんか?」
「あのな、カケ。野球は三つまでボール投げれんのや
 カーブ投げて外すんや」
「えっ?」

 

「あのな、一球譲ったってな、
 キャッチャーの気持ちを高ぶらせるや」
「で、ツースリーでは自分の好きな球放れるやろ」

 

打者とだけでなく女房役とも駆け引き?
たしかにキャッチャーからすると
2回も続けてピッチャーの要求を否定しにくい
増してや実績のあるピッチャーの場合はなおさらだ

 

ピッチャーにしてみれば
コースぎりぎりでボールにできるツーボール・ツーストライクと
ボールを投げることができないスリーボール・ツーストライクでは
全く緊張感が違う
ツーツーから一球外すのは
制球力(コントロール)に絶対的自信が無ければできない選択

 

伝説の「江夏の21球」
中でもあったが投球動作に入った後に
3塁走者のスタートが見えてスクイズさせないボールを
投げることができるピッチャーは、他にまず居ない

 

掛布の講演だったけど
僕はほんの数分間のこのエピソードだけが刺さった

 

掛布は田淵から
「俺も江夏もトレードされたけど
 カケ、お前だけは縦縞のままで終わってくれ」
といわれ、長嶋、関根の誘いもあったが1988年引退した

 

講演の冒頭
「僕は今、生涯で最悪の試練にさらされています
 ただし、親から厳しく言われてきた通り
 騙す側ではなく騙されるれる側で居たい」
と言った


 

ガンバレ!! カケフくん!!


 

***

 

2012/3/16(金) 午前 6:37

 

タイム/TIME(2011)を観る

 

25歳になるとそれ以上外見は変わらず歳を取らない
変わりに左腕にデジタル時計が浮かび上がり
余命365日が表示される社会
全ての人間同じ

 

映画内で貨幣は存在しない
通貨は時間
カップコーヒーを買う自販機に
腕を差し出しバーコードで読み取られ
自分の残された時間で買う

 

労働者は退社時に腕をタイムカード差し出し
時間という日給を貰う
労働等により時間を補給しないと使う一方で
26歳までは生きられない

 

親が裕福で時間を溜め込んでいると
25歳のプレゼントに10年分時間を貰えたりする
もちろん何年たっても見た目は25歳
80歳になっても25歳のまま

 

左手のデジタル時計が0.00になり
時間が無くなると後ろからドンと突き上げるような
衝撃とともに死が訪れる
ひょんなことから100年分以上の時間を手に入れた
主人公に起こるいろいろなこと

 

僕はSFは疎いので有名なSF小説の映画化と思ったけどオリジナル脚本。
面白いと思ったもう一つはカースト制度的差別社会
貧困層エリアから上のエリアに移動するには検問所で
保証金何時間分を支払わなければならない
エリアをアップするたびに保証金学は上昇する
潤沢な時間を手に入れた主人公はハイヤーを呼び
最高層へ移動する。検問を通る度時間を支払う。

 

最高層エリアでは皆優雅に生きている
誰も生き急いでない
生来の癖で通りを走ってしまった主人公は当然目立つ
気が付いた若い女性
そこから一気にストーリーは急加速

 

「ピー」「プルプルプル」
完全に電子音で管理されている現在の我々との違いはただ一点。
門限年齢が決められていないことのみ。
あとは一緒。働かなければ確実に減っていく預金
眼に見えないけど確実にある階級差

 

映画の中では誰もが他人の時間を奪ってでも長生きしようともがく
が、映画はある種の清涼感をもって終わる
それは愛する人のためにはという
サクリファイス(自己犠牲)さ、だ。

 

worth seeing


 

***

 

2012/3/10(土) 午前 0:01

 

クライアントの元家政婦さんが亡くなった
80代後半、十数年前にご主人を亡くし子供はいない
従兄弟はいるが遺言で元の雇用主であるクライアントが全て相続

 

クライアントはあまり日本にいないため
「何かあったときはよろしくね」
と僕に葬儀等全てを委任
数年前からケアホームに入所中
年末から調子が良くないとは聞いていた

 

亡くなったとの電話が朝8時にあった
どんな葬儀にするか

 

クライアントは起床が昼前後なので
昼過ぎまで電話できない
とりあえずメールで連絡するが
遺体は早く引き取らなければならない

 

正月過ぎに新聞広告で見て
ぼんやりと残像があった火葬式のみの
パッケージを検索する

 

あった

 

遺体の搬送、安置保存、枕飾り、入棺、
もちろんエンバーミングもきっちりとやってくれる
3パターンあった
①通夜、葬儀とも行う
②葬儀のみ通夜なし
③通夜、葬儀なし
もちろん価格は順番に安くなる

 

③を選択した
10時には遺体を引き取りに来てくれた

 

葬儀をしても参列者は、僕、クライアントを含め
多分10人未満
通夜後遺体に一晩付き添う人を思うと
答えは必然

 

出棺式に立ち会ったのは故人の従兄弟親子5人を含めて9人
読経なし。出棺前に数分間のお別れの時間
もともと小柄な女性だったが更に小さくなっていた
センチメンタルな時間
夜を通して死者に付き添うことを選択しなかったので
若干のリグレットが残る

 

通夜、葬儀なし?
最初はこんなスタイルがあるのかとびっくり
だけど確実に需要はある、ぞ。

 

葬儀会社のサービスは満点
事前の打ち合わせから当日の段取り
火葬中の保険、年金等の手続きの仕方説明など

 

クライアントは
「いいお別れができた。ありがとう」
と言ってくれた
よかった

 

合掌

 

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