2年半前に白血病を発症した友人が
亡くなって1ヶ月たった

 

彼と知り合ったのは高校2年の新学期
以来、同じ大学、同じ体育会クラブを経て
34年の付き合い
家族ぐるみの付き合いもしていたが
家族というよりは、もう自分の一部だった

 

事ある毎に酒を飲み
いつも同じ昔話をして
同じところで大笑いし
意識が無くなるまで飲み
翌朝目覚めて
またお前かとうんざりする

 

ここ数年、東京、中国と転勤し
会う機会は減ったが
病気発症とほぼ同時に始めた
SNSのおかげで
最近は常にコミュニケーションしていた

 

家に日除けをつけてくれと頼まれて
一緒にホームセンターに行き
材料を買って設置した
こういうのが欲しかったとうれしそうだった
SNSに載せてもいいかと尋ねられ
名前を載せなきゃいいよと言った
彼がUPしたSNSには

 

「今日親友が、日除けを作ってくれた」

 

ああ、僕は親友なんだと初めて自覚した

 

何かあったときは頼むと言われてた
何かとは言われなくてもわかる
何かあったときは僕が何かしなければという想い

 

通夜の後、弔問に来てくれた友達と
できるだけ話をしたかったがとても叶わず
彼の生き様を知ってもらいたく思い
奥さんに無理を言って葬儀の際に
お話しする時間を作ってもらった

 

頭の中で準備した内容の半分も言えなかったが
生前の約束の一部は果たせた気がする

 

去年の夏、運転中、きれいな夕日だなと思った
車中のiPodからエア・サプライのロスト・イン・ラブが流れた
彼が好きな曲だった
ああ、彼はいつまで夕日を見ることができるかと思った
運転することができなくなった
車を止めた
そんな日が来なければと願った
願いは叶わなかった

 

ばらばらになった自分の破片を集めても
無くなってしまったピースは
見つかることはない

 

弛緩のためには忘却が必要か
喪失感が無くなる日は来るのか
遺影の笑顔は輝く



 

*****

 

2013/9/27(金) 午後 9:11

 

映画「ラビット・ホール」
二コール・キッドマンアーロン・エッカートの夫婦
冒頭から暗いムード 
やがて彼らの幼い子が事故で亡くなった明らかに
互いのことを思いやるがかえってギクシャクとなる
被害者集会に行っても周囲から浮く
次の子に希望を託す夫
受け入れられない妻

 

ある日妻が事故加害者の少年を見かけ後を追う
図書館で少年が借りていた本のタイトルを見る
「パラレル・ワールド」
ある世界(時空)から分岐し
それに並行して存在する別の世界(時空)を指す

 

対峙し何度か会うようになり
少年がコミックを描いていることがわかる
タイトルが「ラビット・ホール」

 

科学者の父親が発見したラビット・ホールは
他の銀河やパラレル・ワールドに繋がっていた
父の死後、ラビット・ホールから
死んだ父ではなくパラレル・ワールドの父を
探す旅に出る
少年も自分のしたことの重さを実感し
夫婦と同様に耐え忍んでいる

 

妻は自分の母親に
「悲しみは消えるか?」とたずねる
実は、母親は妻の兄である息子を11年前に亡くしている
「消えない。でも変わる」
「どう?」
「重さが変わる。耐え易くなる
 大きな重い石がポケットの小石に変わる
 忘れることもあるけどポケットにやっぱりある」

 

人間つらいことに直面するとなるべく避けようとする
でも、避けられないともある
直面しなければいけないとき
避ける自分を責める自分もいる
ちゃんと受け止めろ、逃げるな
小石に変わって欲しいと願う
でも、そう思う自分を責める
受け止めろ、と

 

妻は辛くないパラレル・ワールド世界にいる自分を想う
現実世界でも一歩踏み出す

 

原作はピューリッツア賞受賞の戯曲
主演のN・キッドマンは初の主演兼プロデュース作品
もろい心理状態を演じたら天下一品の彼女
旦那役のA・エッカートはキッドマンが
指名して主演させたらしい

 

ラビット・ホールが、アリスとウサギが落っこちた穴
を連想したのは僕だけじゃないかな


 

 

cherish(チェリッシュ)とは
英語の「大事にする」という意味の動詞
高校のときに習った記憶があるが
いまひとつピンと来なかった英単語

 

なるほどと思ったのは「ローマの休日」(1953)での

 

"I will cherish my visitier in memory as long as I live"

 

知らない人のために映画のあらすじは
ローマを訪問していた某国皇女が
過密スケジュールに悲鳴を上げ
鎮静剤打たれたままこっそり町に出て行く

そこでアメリカの新聞記者と知り合うが

すぐ眠ってしまう記者は王女とは知らず

仕方なく自分の下宿に連れて行く
翌朝、彼女が王女であることを知って

記者はこっそり取材を開始する
そのうち二人はロマンチックなムードに

なってくるのだが、、
新聞記者に扮するのはグレゴリー・ペック

いかにも誠実そうなカンジ

 

恋心が芽生え始めた自分の気持ちと
王女としての責任に揺れる女の子

 

ローマを離れるマスコミの記者会見である記者の質問
「今回の訪問でどの都市が一番印象に残りましたか」に

 

"Each in everywhere was unforgettable.
It would be difficult,,,"
(どこもそれぞれ忘れ難く、どこかを選ぶのは難しい、、)

 

と言葉に詰まったが、次の瞬間

 

"Rome,by all means Rome.
I wiil cherish my visitier in memory as long as live"
(ローマ、何と言ってもローマ
 私はこの訪問を生きている限り記憶の中で大事にします)(直訳)

 

→私はこの訪問一生忘れません

 

大事にするという言葉は日本語では
主に物に対して使うが、うれしい瞬間等を指す場合
それを忘れないという表現のほうが一般的だ

 

cherishしたい想い出ありますか?

 

王女の記者会見なので当然G・ペック扮する
新聞記者も出席している
二人の淡い恋は成就せず互いに
自分の道を歩むことに

 

英語のセリフは記憶頼りなので
間違っていたらゴメンナサイ
「」のあらすじは
お楽しみはこれからだ PART3
(和田誠著 文芸春秋社刊)の
ローマの休日紹介ページからの抜粋デス


 

***

 

2013/9/4(水) 午後 6:47