ウィンブルドンが開幕して、第9シードの錦織はイタリアのマルコ・チェッキナートをストレートで下して初戦を突破しました。
錦織は各セットの相手の最初のサービスゲームをブレークして常に先行する展開で、サービスゲームをブレークされることなく僅か1時間12分でチェッキナートを下しました。
資料出所:ウィンブルドン公式ホームページ
チェッキナートは主にグレーコートを主戦場としている選手で、プロになってからこれがが初めての芝のコートでの試合でした。6月の試合でも芝のコートの大会に出ずに、クレーコートの大会に出てポイント獲得の方を優先していたようです。
そのため錦織としては、チェッキナートが芝のコートに対応する前に攻勢をかけていきたいところでした。
そして、錦織はその狙い通りに第1ゲームのチェッキナートのサービスゲームから早めに仕掛けてポイントを先行して、いきなりブレークをします。次の錦織のサービスゲームを簡単にキープすると、第3ゲームでもブレークをして流れを掴みます。
続く第4ゲームでは、ブレークポイントを許しますが、先に仕掛けてポイントを取ってブレークのピンチを防ぎました。その後2ポイントを連取してサービスゲームをキープします。ここでブレークをされてしまうと、チェッキナートの方にも「やれる」という気持ちが出てくる可能性がありましたので、ブレークされずにキープできたことは大きかったです。
そこからはお互いサービスゲームをキープして、6-2で錦織が第1セットを取りました。但し、第1セットの後半はチェッキナートもサービスゲームをキープできるようになり、最後の錦織のサービスゲームでもデュースになるなど、チェッキナートの調子が良くなってきていました。
そのような流れで、第2セットの第1ゲームのチェッキナートのサービスゲームを錦織はラブゲームでブレークします。ここでチェッキナートがサービスゲームをキープすると、チェッキナートの方に流れが行くかもしれませんでしたが、そこで出ばなをくじいて錦織が主導権を握ります。
第2セットでも、錦織はサービスを安定キープして6-2でこのセットを取りました。サービスゲームでは、最初のポイントを取って常にリードした展開にできたことが大きかったです。サービスゲームでは、相手にポイントをリードされると、サーバー側にはプレッシャーが掛かってきます。こういった状況を作らせず、常にポイントをリードしていたことで、錦織は落ち着いてサービスゲームをキープすることができていました。
第3セットも、第1ゲームのチェッキナートのサービスゲームをブレークします。このゲームでも錦織は1ポイント目を取ってポイントをリードして、チェッキナートにプレッシャーを掛けていました。
このように一方的な展開になると、負けている側としてはプレー内容を変えないとこのまま負けてしまいます。このセットでチェッキナートはリスクを取って色々と仕掛けて状況を打破しようとしましたが、それがミスになってしまい更に一方的な展開になります。
このセットでも、錦織はサービスゲームで常に先行する展開を作り、サービスゲームでは相手に先行させることなくキープをすることができました。
この試合では、相手のチェッキナートが芝のコートに不慣れだということもありましたが、錦織はほぼ完璧な内容でした。
凡ミスが少なく、特に攻めに出た時のショットのミスが少ないと、錦織は自分のペースで試合ができるようになります。
また、グランドスラムの大会は5セットマッチですので、いかに体力を温存しながら勝ち進むのかというのも課題になります。そういった意味でも、非常に短い試合時間で勝てたことも大きかったです。
今年は全豪オープンの後に調子が上がらない状態でしたが、全仏オープンから調子が上向いてきてそのまま好調を維持できているようです。今後は、この試合のように攻めに出た時のミスを少なくすることと、ビッグサーバーを相手にしたときにリターンを返していくこととサービスゲームをいかにキープしていけるかが課題になってくると思います。
錦織以外の日本人選手では、大坂なおみがウィンブルドン初勝利を飾って二回戦に進出しました。一方、日比野菜緒と奈良くるみは残念ながら初戦敗退となりました。
2日目は、大序合わせて4人の日本人選手が一回戦を戦いますが、少しでも上位に進出してもらいたいですね。先週ATPツアー初優勝をした杉田祐一は、トルコから移動して中2日での試合になりますが、今非常に調子が良いみたいですので期待したいと思います。
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