全仏オープンの男子シングルスで、錦織が英国のアンディー・マレーにセットカウント1-3で敗れ、準決勝進出はできませんでした。

 

全仏オープンはどんな大会?

 

この準々決勝は、4回戦のベルダスコ戦とは全く逆の展開でした。第1セットは錦織が非常に良いプレーをしましたが、セットが進むとマレーの方がペースを掴み、第4セットはマレーの一方的な内容になりました。

 

資料出所:全仏オープンホームページ

 

錦織とマレーの対戦では、非常に守りの堅いマレーを、錦織が攻めきってどれだけポイントを取れるかというのが鍵になります。エース級のショットを打ってもマレーは返球してきますので、そこで決め切れずに先にミスをしてしまうと、マレーのペースになってしまいます。錦織はマレーが何度返してきても厳しいショットを打ち続け、マレーのディフェンス力を上回る攻撃を粘ってすることが必要になります。

 

1セットの最初の2ゲームは、お互いミスも少なく長いラリーが続きます。この2ゲームを見て、やはりマレーからポイントを取るのは簡単ではなく、辛抱強く攻め続けて1ポイントを取るのが大変だなと感じました。

 

しかし、第3ゲームでマレーのサービスゲームをに錦織がブレークします。このゲームでマレーは2つのダブルフォルトを犯し、ブレークポイントでもダブルフォルトと自滅するような形でブレークを許しました。

 

次のゲームを錦織がラブゲームでキープすると、そこから一気に錦織に流れが傾きます。錦織のストロークはベルダスコ戦の終盤のように調子が良く、力みがなくボールが伸びており、錦織が完全にストローク戦で主導権を握ります。甘いボールが来た時には、錦織が次々とウィナーを決めていきます。錦織のボールに押され、ディフェンス力の高いマレーに凡ミスが出始めます。

 

マレーはサーブの調子もいま一つで、サーブに威力がなく、1セットはファーストサーブが入った時のポイント獲得率が46%しかありませんでした。逆に錦織はサーブに伸びがあり、セカンドサーブの時でも67%の獲得率となっていました。

 

2セットに入っても錦織のストロークに伸びがあり、ストロークの打ち合いでは錦織が主導権を握ります。しかし、攻めにいったときのストロークで少しずつミスが出ます

 

そして、第3ゲームの2度目のデュースの時に、マレーが前のプレーが終わってからサーブを打つまでの時間をオーバーしたため、ファーストサーブを打たずにセカンドサーブになってしまいます。このポイントを錦織が取れば、それまでマレーは思うようにプレーができずにかなりイライラしており、マレーは精神的にかなりダメージがあった可能性があります。

 

しかし、このポイントを錦織はリターンミスで失い、結果的にマレーはこのゲームをキープします。次の第4ゲームでは、錦織がミスとダブルフォルトで自滅した形でブレークをされます。第5ゲームでは錦織がブレークするチャンスがあったのですが、マレーにキープされます。ここから一気にマレーの方に流れが行き、マレーは5ゲームを連取してセットカウント1-1になります。

 

3セットは、先に第5ゲームで錦織がサービスゲームをブレークされますが、直後のゲームでブレークバックをして一進一退の展開になります。錦織は第11ゲームもブレークされて、マレーがサービスゲームをキープすればこのセットを取れる状況になりますが、再度錦織がブレークバックしてタイブレークになります。

 

タイブレークでは、最初のポイントで錦織がミスをしていきなりミニブレークをされてしまいます。その後にマレーがサーブのポイントを連続で取り、マレーの3-0となります。この段階では、まだミニブレークが1つの差だけでしたので、まだ錦織は十分挽回が可能でした。しかし、次の錦織のダブルフォルトでマレーの4-0となってしまいます。

 

タイブレークでは錦織は1ポイントも取れずに0-7で落としてしまいましたが、1ポイント目のミスと4ポイント目のダブルフォルトが非常に痛かったです。どちらかのポイントを錦織が取れていれば、マレーにもっとプレッシャーが掛かったので、違った展開になったような気がします。

 

3セットでは、マレーが錦織のサーブに対応ができるようになり、特にセカンドサーブのときに厳しいリターンを打てるようになります。このセットの錦織のセカンドサーブのポイント獲得率は40まで下がりました。1-6で取られた第2セットでは、セカンドサーブの時のポイント獲得率が55%でしたので、マレーが錦織のセカンドサーブを攻略してきたということが数時にも表れていました。

 

4セットに入っても、マレーは錦織のサーブの時に厳しいリターンを返し続けます。錦織はファーストサーブが入った時のポイント獲得率が44しかなく、セカンドサーブは4本ともマレーにポイントを取られました。

 

試合の序盤では、マレーは錦織のサーブに苦しんでいたのですが、試合が進むに連れて対応していきました。逆に、マレーのファーストサーブは徐々に立て直して、ファーストサーブが入った時に錦織が中々主導権を握れなくなっていました。

 

このセットは第3ゲームでマレーが錦織のサービスゲームをブレークすると、そこから5ゲームを連取して6-1で取り、セットカウント3-1でマレーが勝ちました。

 

 

錦織は出だしが非常に良かっただけに、すごくもったいない試合でした。あの時のプレーを第2セットでも、もう少し維持できていたら試合展開は違ったものになったような気がします。

 

一方で、試合の途中での修正力ではマレーが1枚上でした。この辺りが、マレーがランキング1位にいる要因の一つではないでしょう。

 

 

今年の錦織は全仏オープンまでの大会で思うような成績を残せず、更に怪我もあったので、今回の全仏はあまり期待はできないと見ていました。実際に序盤は調子に波があり、故障の影響もあって、早期敗退してもおかしくない状態でした。

 

しかし、勝ち上がっていくことで調子を上げていき、優勝も十分できるテニスを見せてくれました。それだけに準々決勝で敗退したことが残念で仕方がありません。

 

失いかけた自信も取り戻してきたようですし、故障を早く治して今後の大会を頑張ってほしいと思います。 

 

 

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