全仏オープンの一回戦で、錦織がオーストラリアのタナシ・コキナキスに3-1で勝って初戦を突破しました。
コキナシスは2年近く故障でツアーから離れていて、先週の大会で久しぶりにシングルスの試合に出たばかりでした。そのため、試合勘が鈍っているのではと推測していたのですが、久々に試合とは思えないプレーをしていました。
コキナキスはサービスエースと同じ本数のダブルフォルトがあり、ブレークされたサービスゲームでも幾つかダブルフォルトをしていました。一方で、セカンドサーフでも強烈なサーブでエースを取るなど、錦織にセカンドサーブを叩かれないようにしていました。コキナキスのダブルフォルトが多かったは、錦織のリターンを警戒したことが原因だったと思います。
また、コキナキスにはウィナーの本数と同じ41本のアンフォーストエラーがありました。ストロークの打ち合いが長くなると、錦織がポイントを取ることが多かったため、少し無理をしてポイントを取り行ってミスをすることが少なくありませんでした。このミスに錦織はかなり助けられました。
第1セットはコキナキスのサーブと強烈なフォアハンドに錦織が中々対応できない状態で、錦織はストロークでもミスが目立ちました。そういう状況の時にはサーブでポイントを取ってサービスゲームをキープして我慢をしなければいけないのですが、それもできずに第3ゲームをブレークされてしまいました。
このゲームでもあったのですが、ストローク戦で錦織が攻めに出た時に、それ程難しくないショットにもかかわらずミスをして相手にポイントを与えることが多くありました。第3セットでも、同様のミスからポイントを失い、サービスゲームをブレークされました。こういったポイントの失い方は、流れを相手に渡してしまうことになるので、二回戦以降は注意してもらいたいです。
第1セットは錦織もブレークポイントが4つありましたが、結局ブレークバックすることができずに、このセットを失いました。但し、後半になると徐々にコキナキスのサービスゲームでポイントを取ることができるようになってきました。
ブレークされた後の錦織のサービスゲームの第5ゲームでも、15-40となってブレークされるピンチがあったのですが、そこから粘ってサービスをキープすることができました。それでコキナキスの一方的な展開にさせなかったことが、第2セットにつながったような気がします。
第2セットは、第1セット後半の流れがそのまま続き、錦織がコキナキスのサービスゲームでもポイントをリードしてプレッシャーを掛けていきます。そして、第4ゲームでコキナキスのサービスゲームをブレークすると、錦織が一気に流れを掴んで6-1でセットを取りました。
ストロークの打ち合いでも錦織が主導権を握るようになりましたので、第3セット以降も有利に試合を進めるかと思いましたが、第2ゲームで錦織がブレークをされてしまいます。30-0とリードして簡単にサービスをキープできそうだったのですが、その後のポイントでドロップショットが甘くなってポイントを落としてしまい、4ポイント連取されて先にブレークを許してしまいます。
これで、錦織に行っていた流れが止まってしまい嫌な感じになります。但し、第5ゲームのコキナキスのサービスゲームをブレークします。早めにブレークバックしたことで流れを再び引き戻し、第9ゲームでもブレークして錦織がセットカウント2-1とリードします。
第4セットは、錦織が先に第5ゲームでコキナキスのサービスゲームをブレークします。錦織もブレークポイントを3つ与えましたが、サービスゲームを全てキープして、セットカウント3-1で勝利を収めました。
錦織は初戦ということもあって硬さもあり、まだ本調子とは言えませんが、まずまずの出だしだったと思います。このまま勝ち続けることによって、失いつつあった自信も徐々に戻ってくるような気がします。
そして、4回戦で対戦すると思われていた第9シードのアレキサンダー・ズべレフが、初戦で敗れると言う波乱がありました。ズべレフは、5月に行われたマスターズ1000の大会でジョコビッチに勝って優勝を決め、今大会でも台風の目になると言われていました。
シングルスに出場している錦織以外の日本人選手は、既に敗退してしまいました。錦織には、このまま着実に勝ち上がり、調子を上げつつ出来るだけ体力も使わないようにして、準々決勝で対戦することが予想されるマレー戦に備えて欲しいと思います。
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