子育て中の親や保護者が保育所や学童保育などの施設に入所希望を出しても、保育関連施設が満員で入所できないという待機児童問題について、ニュースなどでよく目にすることがよくあると思います。

 

昔に比べれば少子化となっているのに待機児童が減らないのは、以前と比べて核家族が増えたことや共働きの家庭が増えたことが主な原因です。

 

それでは、待機児童数がどのくらいいるのかを見てみましょう。下のグラフはここ数年の待機児童数の推移を表したものです(待機児童数は各年の41日時点のデータ)。

 

資料出所:「保育所等関連状況取りまとめ」厚生労働省

 

平成22年の26,275人をピークにして平成26年までは減少していましたが、それ以降は再び増加しています。反日の野党やマスコミなどは、安倍政権が待機児童問題へ真剣に取り組んでいないからだと主張しています。

 

では、平成27年以降に待機児童数が増加に転じたのは、本当に安倍政権の取り組みが不足しているからなのでしょうか?

 

待機児童というのは、保育所等への入所や利用資格があるにもかかわらず、保育所等の定員が不足しているために発生するものです。そこで、保育所等の定員や利用している児童数はどうなっているのかを見てみましょう(定員及び利用児童数は各年の41日時点のデータ)。

 

資料出所:「保育所等関連状況取りまとめ」厚生労働省

 

保育所等の定員と利用児童者数は増加し続けています。それにもかかわらず平成27年以降に待機児童数が増えているのは、保育所等の定員増加に比べて、入所を希望する人数が上回っているからです。

 

テレビなどのマスコミでは、待機児童問題を報じる時に保育所等の定員数と利用児童数が増加していることを何故か伝えることはほとんどありません。

 

一応「何故か」と書きましたが、実はマスコミ側に意図があると考えています。マスコミとしては、保育所等の定員や利用児童者数が増えていることを知られてしまうと、安倍政権が待機児童問題への取り組みが十分でないという印象を与えられなくなるからではないでしょうか。

 

ちなみに保育所等の整備は基本的には自治体が行いますので、安倍政権の取り組みは直接的には影響は小さく、保育所等の定員が増えているのは各自治体の取り組みの成果だと思います。

 

 

待機児童数が増えているのは、上述のように中長期的には核家族化と共働き家庭の増加が原因だと思います。但し、平成27年以降の待機児童数の増加は、雇用状況が大きく影響しているような気がします。

 

下のグラフは、平成21年から平成28年までの就業者数と就業率の推移を表したものです(データは通年)。

 

資料出所:「労働力調査」総務省省

 

平成24年までの民主党(現(偽)民進党)政権時は、年々就業者数が減少していましたが、安倍政権になって金融緩和策を実施して以降は増加し続けています。

 

以前は子育て世代の人が仕事をしようとしても職がなかったのが、働き口が増えたことで仕事をしようとして保育所等に子供を預けようとする人が増えたことで、待機児童数が増えたということが考えられます。

 

民主党政権時の完全なデフレ下では、小さい子供がいる人達の中には働く場所が少ないために、初めから働くことをあきらめていた可能性があります。

 

また、保育所等の定員を増やしていれば、保育園への入所を最初からあきらめて入所を希望しなかったような人達(潜在待機児童)が、入所を希望するようになることがあります。こういったことが重なって、保育所等の定員が増えても、待機児童数が増加するという状況になっていることが考えられます。

 

待機児童数が増加しているという現象を報じる時に、こういった背景を伝えることもマスコミの役割だと思います。しかし、そういった背景を伝えないのも「報道しない自由」の一つかもしれないですね。それとも、そんなところまで考えが及ばない程、マスコミの人達は劣化しているのでしょうか。



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