労働基準法などの労働法規は、会社に勤めている人にとっては大きく関係することなのですが、あまり知られていないようなことがあります。過去のブログでも取り上げたことがありますが、意外と多くの人が知らないことについて幾つか紹介します。

 

 

代休と振替休日では賃金が違くなる

休日に仕事をして、その代わりに他の日に休みを取ると代休や休日の振替となりますが、この2つには違いがあります。

 

代休は、休日に仕事をしてから、その後に代わりに休む日を決めて休日を取ることになります。その場合、休日に労働したことになるので賃金は休日の割増賃金(35%割増)がプラスされます。

 

一方、休日の振替の場合は、休日となっている日に仕事をするのは代休と同じですが、事前に休みを振り替える日を決めておきます。休日の振替では、当初の休日が労働日になり、振り替えて休みを取った日が休日労働になるため、休日労働とはならないので割増賃金とはなりません(詳しくは「休日の振替と代休は扱いが異なる」 参照)。

 

 

パートやアルバイトでも有給休暇が取得できる

会社勤めの人には有給休暇が付与されますが、これは正社員に限ったことではなく、パートやアルバイトのような正社員ではない人でも有給が付与されることがあります。

 

働き始めてから6カ月継続して勤務して、全労働日の8割以上出勤していれば、正社員でないパートやアルバイトの人でも、正社員と同じだけ有給休暇を取得できます。また、パートやアルバイトなどで、週に4日以下しか働いていない場合でも、1週間の所定労働日数に応じた有給休暇を取得できます。

 

 

労働者が有給休暇の取得を申請したら会社は断れない

会社勤めをしている人で、有給休暇を取ろうとしたら上司から断られて取得できなかったことはないでしょうか。実は、労働基準法では労働者が有給休暇を請求したら、原則として労働者が希望する日に与えなければいけないことになっています。

 

但し、業務に支障をきたすような場合は、他の日に有給休暇を取得するのを変更するということはできます。あくまでも他の日に変更するということであり、有給休暇を与えないということは当然できません。

 

また、有給休暇をどのように使うのかは労働者の自由となっているので、有給休暇取得の理由によって有給休暇を与えないということも労働基準法違反となります(詳しくは「有給休暇の取得を請求されたら会社は断れない?」 参照)。

 

 

残業は原則として違法となる

労働基準法には、法定労働時間というものが定められており、実際の労働時間が法定労働時間を超えてはいけないことになっています。

 

法定労働時間は、1日については8時間、1週間については40時間となっています。18時間労働の会社に勤めていると、残業をすると1日の法定労働時間を超えてしまうので、労働基準法違反となります(詳しくは「残業すると労働基準違反かもしれない?」 参照)。

 

会社勤めの人であれば、ほとんどの人は残業をしたことがあると思います。そうすると、多くの会社が労働基準法違反をしていることになってしまうのではないでしょうか。

 

但し、労使協定を結んで労働基準監督署に届け出れば、労働基準法違反で罰せられることはありません。恐らく皆さんの会社でも、このような手続きをしていると思います。


 

週休1日は法律違反ではない

現在、会社勤めの人はほとんどが週休2日制だと思います。しかし、労働基準法では、休日は週に1日だけでよいことになっています。

 

法律上は週に1日だけの休日でよいのに、ほとんどの会社で週休2日になっていることには理由があります。労働基準法では、上述のように1週間の法定労働時間が40時間以内となっています。18時間勤務だと、5日働くと40時間になるため、それを守るために週休2日になっています(詳しくは「休日は週に1日でも法律違反ではない」 参照)。



(労働関係の記事)
○会社を辞めただけでは失業ではない?
○有給休暇の取得を請求されたら会社は断れない?
○残業すると労働基準法違反かもしれない?
○6時間以下の労働では休憩は与えなくてよい?
○休日の振替と代休は扱いが異なる
○外国人を雇ったときに届出をしないと法律違反になる
○妊娠降格という報じ方は正しいのか?
○労働者派遣は元々は労働基準法違反
○研修は労働時間に含まれるのか?
○ダブルワークは労働基準法違反の可能性がある
○休日は週に1日でも法律違反ではない
○日本と外国の人事制度の違い


こちらをクリックしてください。