現在、時間外労働時間規制を見直す動きがあり、国会でも法整備が検討されています。

 

会社勤めの人は時間外労働をしたことがあると思いますが、原則として労働時間が18時間を超えた場合は労働基準法違反となります(詳しくは「残業すると労働基準法違反かもしれない?」参照)。

 

労働時間については、労働基準法では18時間、週40時間までが法定労働時間と決められており、法定労働時間を超えて働かせると法律違反になります。これに違反すると、労働者を使用する側に懲役6ヶ月以下または30万円以下の罰金が科されることになっています。

 

但し、労働基準法36条に基づく労使協定(以下36協定)を締結すると、法定労働時間を超えて働かせることができるようになります。

 

36協定を結べば、週15時間、月45時間、年360時間までは、法定労働時間を超えて働かせることが可能になります。更に臨時的であったり特別な事情があれば、限度時間を超えて働かせることができることになっています。

 

 

話を時間外労働時間規制に戻します。法律で労働時間の規制を強化することは必要なことだと思います。

 

しかし、不景気になって他の会社で働ける可能性が低い状況になってしまうと、違法な長時間労働を強いられても会社を辞めることができず、我慢してそれを受け入れざるを得なくなることがあります。デフレで失業率が現在よりも高かった頃が、まさにそういう状況でした。

 

従って、労働時間の規制を強化するだけでは、水面下で法律違反の時間外労働がなくなることは決してないでしょう。

 

違法な時間外労働をなくすためには、不当に長時間労働を強いる会社を避けることができる状況を作ることが必要だと思います。そのためには失業率を低くすることが必要です。

 

失業率が低くなり、労働市場が売り手市場になって労働者が働く企業を選べるような状況になると、違法な長時間労働を強いるようなブラック企業は労働者に避けられるようになり、労働者はより労働環境が良い企業を選べるようになります。

 

長時間労働を減らす為には、規制を強化する北風政策だけでなく、違法な長時間労働を科す会社が淘汰されるようになるため労働市場を良くする太陽政策も同時に実現する必要があります。ちなみに、北風政策と太陽政策のどちらか一方しか行えないと仮定すると、太陽政策だけを行った方が効果は高いでしょう。


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