全豪オープンの四回戦で、錦織はスイスのロジャー・フェデラーにフルセット(7-64-61-66-46-3)で敗れ、準々決勝進出はなりませんでした。

 

フェデラーは膝の故障で約半年間ツアーを休んでいましたが、攻撃は故障前よりも鋭くなっていました。錦織は、フェデラーの攻撃を凌いでいましたが、腰を痛めたこともあり最後はフェデラーに押し切られてしまいました。

 

フェデラーは、錦織に厳しいショットを打たれて苦しい体制からでもエース級のショットを何本も打ち、恐ろしいほどの攻撃的なテニスを展開していました。あれだけのプレーをされたら、フェデラーに勝つのは中々難しいでしょう。

 

資料出所:全豪オープンHP

 

1セットは、いきなりフェデラーのサービスゲームを連続でブレークして4-0とリードします。試合開始からフェデラーが攻撃的なショットを繰り返し打っていましたが、ミスもあったので錦織が立て続けにゲームを取ることができました。

 

しかし、徐々にフェデラーのミスが減っていき、そこから2回ブレークを許してタイブレークにもつれ込みましたが、何とかこのセットを取りました。

 

追いつかれた後にサービスゲームをキープしてタイブレークをものにしたのは、精神的な強さを感じましたが、このセットをもう少しあっさり取っていれば、その後の展開も違ってきたような気がします。

 

タイブレークまでもつれたことで、フェデラーの調子が上がっていき、第2セットはフェデラーの攻撃的なショットが冴えわたります。フェデラーはサーブの調子も良くなり、2セットと第3セットは、フェデラーのサービスゲームをブレーク出来そうな気配が全くありませんでした。

 

フェデラーは3回戦のベルディヒ戦では1度もブレークポイントを与えずに勝っていましたが、第2セット以降は同じように無双状態なっていました。

 

4セットの第1ゲームのサービスゲームも、フェデラーは錦織に全く隙を与えることなくキープします。第2ゲームでは、いきなり0-30となって錦織がブレークのピンチを迎えます。しかし、なんとかキープをすると、少し状況が変わってきます。

 

3ゲームはフェデラーがサービスゲームをキープしますが、フェデラーが攻撃的にいったときのショットに少しミスが出始めます。

 

4ゲームの錦織のサービスゲームでは、何度のブレークポイントを迎えますが、7度のデュースの末に錦織がキープをしました。

 

2ゲームと第4ゲームの錦織のサービスゲームのうち、どちらかをブレークされていれば、そのまま第4セット取られて敗れたと思います。

 

しかし、錦織は踏ん張ってこの2つのゲームをキープしたことで試合の流れが変わり、第5ゲームでフェデラーのサービスゲームをブレークします。

 

フェデラーが攻める時のショットにミスが出始めたのは、錦織の粘りも影響したと思います。フェデラーがエース級のショットを打っても、錦織がとにかくボールに食らいついて返すことで、フェデラーはより厳しいショットを打たなければという意識になり、それがミスを誘発していました。

 

但し、錦織は腰の辺りを痛めたようで、第4セットの途中から無理してボールを追わない場面が出てきます。第4セットが終わった後、錦織は腰の治療をします。

 

5セットになっても、錦織はギリギリのボールに対して追えない場面がありました。そうなると、フェデラーは余裕を持って攻めることができるようになります。第2ゲームの錦織のサービスゲームをブレークしてリードを奪います。

 

この時点で、ほぼ勝負は決していたような気がします。その後の錦織のサービスゲームでは、ブレークポイントが何度かありましたが、錦織は懸命にプレーしてキープして粘ります。ただ、フェデラーのサービスゲームをブレークする力は残っていなく、そのまま1ブレーク差でフェデラーがファイナルセットを取って勝ちました。

 

錦織が腰を痛めたのは、フェデラーの厳しいショットを苦しい体勢で何度も返していた代償だと思います。1セットで錦織がもっとあっさりと取っていたら、フェデラーの調子が戻るのがもう少し遅くなった可能性がありますので、試合全体の流れも違ったものになったと考えられます。

 

しかし、試合としてはお互いの素晴らしいショットの応酬で、この試合は今回の全豪オープンでベストゲームと言われるほどの試合でした。

 

錦織とフェデラーの試合の前に行われた試合で、第1シードのアンディ・マレーが敗れるという大波乱がありました。錦織にとっては全豪制覇に向けて風が吹いたと思ったので、この日の敗戦は非常に悔しいものになりました。 

 

 

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