全米オープンテニスの準々決勝で、第6シードの錦織が第2シードのマレーとの激戦を制して2年ぶりのベスト4進出を決めました。
全米オープンはWOWOWでしか放映していないため内容について詳しいことは書けませんが、今大会の大きな山と見ていたマレーとの準々決勝で勝ったので、短めの記事を書くことにしました。
試合内容に関しては、ニュースでの断片的なプレーしか見ることができないので詳しいことは分かりません。
但し、先月のリオ五輪準決勝でのマレー戦と、今回の試合のデータを比べてみると、興味深いことが分かりました。
下の表は、2つの試合のファーストサーブとセカンドサーブの得点率をまとめたものです。
錦織は、セカンドサーブの得点率はほぼ同じですが、ファーストサーブの得点率が12ポイント上がっています。
それに対して、マレーはセカンドサーブの得点率は19ポンと下がり、ファーストサーブのポイント率は13ポイント下がっています。
実際に試合を見ていないので、マレーのサーブがリオ五輪の時よりも悪かったのか、錦織のリターンが良くなったのか何とも言えないのですが、マレーのサービスゲームで錦織がポイントを多く取れたことが勝負に大きな影響を与えたことが考えられます。
リオ五輪で戦った時は、錦織はマレーからブレークはおろかブレークポイントも全く取ることができませんでした。それが全米オープンでは13回のブレークポイントを掴み、9回ブレークに成功しました。
4回戦ではビッグサーバーのカルロビッチと当たり、試合前は苦労するのではと思っていたのですが、強烈なカルロビッチのサーブを攻略して完勝しました。今回の全米オープンでは、錦織のレシーブは非常に調子が良いのかもしれません。
大会が始まる前は、ジョコビッチとマレーの2強が中心となると書いていましたが(詳しくは「 2016 全米オープン展望」 参照)、ウィンブルドン辺りからの調子を見ると、ジョコビッチよりもマレーに分があると思っていました。
マレーは4回戦のディミトロフ戦でも完勝しており、準々決勝のマレー戦は非常に厳しいと予想していましたが、錦織はその予想を良い意味で裏切ってくれました。
準決勝の相手は、デルポトロに勝った第3シードのバブリンカになりました。デルポトロは怪我で試合を欠場する期間が長かったためランキングを落としていますが、7年前には全米オープンでフェデラーとナダルを破って優勝しており、ランキングは最高で4位になった選手です。
怪我から復帰してから徐々に調子を戻してきており、全英オープンではバブリンカに勝ち、リオ五輪ではジョコビッチとナダルに勝って銀メダルを獲得しました。
錦織は過去の対戦成績は0勝4敗と一度も勝ったことがなく、最近は対戦していないため、デルポトロとの対戦になると少し不気味で嫌な感じがしていました。
錦織自身もデルポトロとはやりたくないと言っていましたので、手の内が分かっているバブリンカが勝ち上がってきてくれて良かったと思っています。
デルポトロに比べればバブリンカに対しては錦織はチャレンジャーの気持ちで挑めるので、精神的には戦い易いのではないでしょうか。
一方で、バブリンカも手強い相手であり、錦織がバブリンカの手の内を分かっているように、バブリンカも錦織の手の内も分かっています。バブリンカにとっても、マレーが敗れたことで自分にもチャンスが訪れたと考えているでしょう。
ちなみに、バブリンカに勝って決勝に進出すると、錦織は一気にランキングが3位に上がるかもしれません。
錦織は準々決勝でマレーに勝ったことで、全米オープンではトップ10の選手に対して5戦負けなしとなりました。一昨年決勝で敗れたチリッチは、当時トップ10には入っていませんでした。
まだ準決勝に勝ったわけではありませんが、決勝にはジョコビッチに勝ち上がってきて欲しいと考えています。マレー、バブリンカ、ジョコビッチを破って優勝すれば、錦織が次代の1位を狙える選手だというのを多くの人に印象付けられると思います。
そのような歴史的な瞬間を多くの日本人が見られるように、なんとかNHKには地上波での放送をして欲しいですね。
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