オンボロバスのまま出発してしまったアジア・インチキインフラ銀行(以下AIIB)ですが、いまだに日本はAIIBに加盟するべきだと主張する人達がいます。夕刊紙の日刊ゲンダイでは、628日に以下のような記事を掲載しています。

 

鳩山元首相“売国奴”批判の的外れ AIIB」日本参加への道

 

記事では、元外務省国際情報局長の孫崎享氏の以下の発言を紹介していました。

 

「イギリス、フランス、ドイツをはじめ西側諸国のほとんどの国が参加しているAIIBに日本が参加しない理由は見当たりません。鳩山氏の顧問就任は、日本が将来、AIIBに参加する時のためのパイプづくりになる。歓迎するべき話でしょう。鳩山氏は中国の金融グループとも積極的に意見交換してきたので、AIIBも適任と判断したのだと思います。」

 

いまだに、こんなことを言う日本人がいることにビックリしてしまいました。これでは”私は無能またはチャイナの工作員です”と宣言しているようなものです。こんなことを言う人間が外務省にいたのですから、外務省という組織がどれだけ腐っているのかが想像できます。

 

そして、AIIB参加への道を閉ざせば、日本が窮地に追いつめられると記事には書かれています。AIIBが国際銀行の体をなしていない状況が明らかになっているのに、まだ日本はAIIBに参加するべきだと促していることに驚いてしまいました。

 

日刊ゲンダイは反日の誉れ高い夕刊紙ですし、チャイナの広報機関でもありますので、恥ずかしげもなくこんな記事を掲載しているのでしょう。

 

 

AIIBの加盟国数は57ですが、AIIBの総裁によると新たに24カ国が加盟を打診しており、最終的には加盟国数が90カ国を超える見通しのようです。ADBは加盟国が67カ国・地域ですから、AIIBの方が加盟国数が上回ることになります。

 

しかし、日本と米国が加盟するか、AIIBに加盟していて国の信用力が高いドイツや英国などが出資比率を大幅に上げない限りは、AIIBは泥船のままです。

 

加盟国数が多いかどうかという量ではなく、どのような国が加盟して、どのくらい出資しているのかという質が重要だということです。

 

そして、ADBでは融資の基準が厳しく賄賂などは期待できないのですが、AIIBであればチャイナ主導の組織なので途上国の関係者が賄賂の恩恵に与れるという下心があるため、多くの国が参加に手を上げているようです。

 

 

また、アジアの発展途上の国々にはインフラ整備に対する資金需要が多く、それにADBが応えられていないという意見があります。

 

確かにアジア諸国の資金需要に応えられていない面はあると思いますが、ADBAIIBが行うのは無償援助ではなく融資ですので、返済が必要になります。いくら途上国側がインフラ整備のために資金が必要だと訴えても、返済の見込みがなければ融資することはできません。

 

融資の審査基準が甘くなれば、返済が焦げ付いて債務免除をしなければならないケースも多くなります。ADBの審査基準に達しない案件に対してAIIBが融資をしていけば、債務の返済が滞っていく案件が多くなることが予想されます。まあ、AIIB単独の案件は極僅かだと考えられますので(詳しくは AIIB は徐行運転しかできない?」 参照)、そんな心配はしなくてもいいかもしれませんね。
 


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