合計特殊出生率は1993年以降1.5を下回っており、少子化が止まらない状況が続いています。少子化の要因は、未婚率が高くなって結婚しない人が増えているからですが(詳しくは「少子化の要因」 参照)、それは有配偶出生率を見ても分かります。

 

有配偶出生率とは、有配偶女子(1549歳)1,000人当たりの嫡出出生数(母の年齢1549歳)です。その有配偶出生率、有配偶率、合計特殊出生率の推移をまとめたのが下のグラフです。


有配偶出生率
資料出所:
21世紀政策研究所「実効性のある少子化対策のあり方」、厚生労働省「毎月勤労統計調査」

 

合計特殊出生率は2010年は2005年に比べて高くなりましたが、1990年以降は低下傾向にあります。それに対して有配偶出生率は1985年と1990年は低下しましたが、それ以降は上昇傾向にあり、2010年は1980年よりも高くなっています。つまり、結婚した夫婦の子供の数は減っていないどころか、1980年代後半から1990年代に比べて増えているということになります。

 

一方、有配偶率は継続して低下しており、1980年に64.0%だったのが、2010年は56.9%まで低くなっています。

 

このことからも、出生率が低下している主な原因は結婚した夫婦間の子供の数が減っていることではなく、結婚しない人が増えたことだというのが分かると思います。

 

出生率を上げるためには、出生率低下の主原因である結婚しない人を減らすことが必要です。しかし、少子化対策では、子育て支援のような結婚して子供を産んだ後についての対策が中心となっています。

 

子育て支援に対策をすることで多少は出生率が上がるとは思いますが、出生率低下の原因となっている高くなった未婚率への対策を講じた方が、出生率を上げることになるのではないでしょうか。


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