先日の衆議院議員選挙は投票率が59.3と、前回の選挙区比べて約10%投票率は低くなりました。そして、選挙のときには若い人の投票率が特に低いということが毎回言われています。

 

では、若い人の投票率はどのくらい低かったのでしょうか。総務省が幾つかの地域(188の投票区)を抽出して、年齢階層別の投票率と投票者数を集計していますので、それを見てみます。

投票率

資料出所:総務省

注)抽出投票区数は188

 

2024歳の投票率は35.3%と最も低く、年齢階層が上がるにつれて投票率が高くなっていき、最も高いのは6570歳の77.2となりました。

 

80歳以上となると、介護施設に入所したり病院に入院したりしている人が多くなるので投票率は下がりますが、高齢者の投票率は高いことが分かります。

 

投票者数になると、若年層と高齢層の差は更に際立つようになります。有権者数が多いこともありますが、60代の投票者が非常に多くなっています。60代の投票者数は、20代と30代の投票者数を合わせた人数より多くなっています。

 

こういったことが影響して、日本の政策は若年層よりも高齢者層を優遇する政策がとられがちです。選挙に当選したければ、どうしても投票数が多い高齢者からの指示を得なければいけないからです。

 

高齢者を優遇している政策の例として、公的年金と健康保険があります。ここからは、高齢者を優遇している具体的な例を挙げてみます。

 

公的年金は積立方式ではなく賦課方式なので、現役世代の保険料負担によって、そのときの高齢世代の年金給付を賄う世代間扶養の仕組みになっています。現在払い込んでいる保険料は、現在の高齢者への年金に使われています。

 

現在の公的年金は、実は多く払い過ぎになっています。支給される年金額は、物価変動率に連動することになっており、物価が1%上がれば年金額も1%上がり、物価が1%下がれば年金額も1%下がることになっています。

 

過去に大幅に物価が下がった時に、年金額を下げなかったことがありました。物価が下がったのに年金額が下がらないということは、年金額を増額するのと同じことになります。

 

その後に物価が上がった時に年金額を上げずに据え置くことで、本来の年金額との差を少なくしてきました。現時点では、その差は0.5%まで縮まっており、平成274月には全て解消する予定になっています。

 

平成1310月から、年金が本来の水準より多く支給されている状態が続いています。年金を受給している高齢者はその間に年金を多くもらい過ぎていることになり、その総額は約9.6兆円となる見通しです。

 

年金は、税金と現役世代が支払っている保険料が原資ですので、現役世代のお金が余計に高齢者に流れていることになります。

 

どうしてこんなことになってしまったのかというと、政権が高齢者に遠慮をしているためです。高齢者は投票率が高く投票する人が多いので、高齢者にとってマイナス(実際にはマイナスではなく当然の措置なのですが・・・・)なことをして、高齢者からの票を失いたくありません。

 

逆に、若年層の投票率は低く投票数が高齢者に比べて少ないので、政権としては若年者よりも高齢者を優遇する政策をとってしまうことになります。

 

これから3040年年金の保険料を納めることになる若い人からすれば、即刻本来の水準に戻して欲しいだけでなく、払いすぎた金額分を年金から減額しても らいたいのではないでしょうか。決められていた金額以上に年金をもらい過ぎているので、その分を返して欲しいというのは無茶な主張ではないと思います。

 

 

健康保険についても、高齢者を優遇する措置が取られています。70歳以上で報酬月額が28万円未満の人は、健康保険の一部負担金が2割負担と法律で定められています。しかし、高齢者の負担を減らすために暫定的な措置によって1割負担になっていました。

 

今年の41日以降に70歳になった人からは2割負担になりましたが、それ以前に70歳になっていた人は依然1割負担のままです。

 

一方、健康保険料は徐々に上がっており、協会けんぽの健康保険の保険料率は、平成21年と比べると1.61.8%上がっています。健康保険の財政は年々厳しくなっていますので、今後も保険料率が上がって保険料が高くなっていきます。

 

このような状況であれば、70歳以上の負担を低減する措置はすぐにやめて、法律どおりの自己負担率にするべきです。

 

高齢者になれば病気に罹ることが多くなり、病院に行く回数も増えます。しかし、自己負担金の額が一定の基準額を超えた場合は高額療養費が支給されます。そして、70歳以上になると、基準額が半分以下になります。したがって、自己負担を1割から2割にしても、負担が大きく増えるということにはなりません。


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