「残業」イコール「悪」という公式ができつつある昨今ですが、「残業自体は決して悪いものではない」というのが当事務所の見解です。
残業で問題になるのは、端的に言えば、主に①対価が支払われない「サービス残業」と、➁安全配慮の欠如による、精神疾患の罹患を含む「過労」です。
むしろ経済政策としては可処分所得が減れば言うまでもなく消費も落ち込みます。
本来、労働(勤労)は神聖なものであり、その対価(勤労所得)として、繁忙ななか額に汗水流しながら残業までして稼いだ自分へのご褒美として購買意欲が高まるのは高度経済成長期やバブル景気を見ても明らかです。
「ワークライフバランス」という考え方も勿論ありますが、残業を減らすには生産性を上げることが先決であり、期日や納期に間に合わないとなると本末転倒にもなります。
「電通」の高橋まつりさんの過労自殺でここまで大きくクローズアップされましたが、電通はそもそも 『電通事件』 を平成のはじめに引き起こしており、そのような社風を持ちながら平然としていられるブラック企業と、戦後、産業構造の転換と共に日本の社会に根付いてきた「日本的経営」の全てとが同列に扱われると、資源の少ない日本がフランスなど失業率の高い欧米に追従する形で国際競争力を削がれないのか、強く危惧しています。
特定社会保険労務士 尾沼昌明
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