「白鯨」日記
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10月5日 イシュメール、捕鯨の偉大さを熱く語る

 さて、やっとこそさ捕鯨船に乗った主人公イシュメールと、その親友である食人種(原文ママ)のクィークェグ。
 通りがかりの男に不吉な言葉を投げられたりしつつ、早、海へと想いを馳せる。

 そして、第24章「弁護」では、捕鯨がいかに崇高なものか、延々と弁を述べる。
 イシュメール、これまで見て来た通り、相当しつこい性格である。

 どういうものか陸の人々には、捕鯨とは散文的な、感心せぬ商売としか思われていないようだ。
 そこで、陸の住人たる職人に、鯨漁師に対してなされる取り扱いのはなはだ不当なことを訴えたい、と鼻息が荒い。

 そもそも世を照らすランプ、ロウソクの類いを見よ。神殿を照らす灯のようではないか、と鯨油の有り難みを主張。
 石油が発見される以前、米国をはじめとした世界各国で鯨油で灯を取ってたんですね。

 捕鯨船が世界中を旅するおかげで、国際交流がなされた。
 オーストラリア大陸に頻繁に訪れたのは捕鯨船であり、だからこそ今の植民地がある(アボリジニーにとっては迷惑だったと)。
 日本との外交も捕鯨船あってのこと(黒船は捕鯨船ですもんね)。
 英国王室は鯨を「王室魚」と呼ぶではないか。
 ああ、なんたる鯨、捕鯨の偉大なことか、と現在のグリーンピースが読んだら失禁しそうな演説だ。

 そして船員一人一人の紹介が延々と続く。
 「白鯨」とにかくいろんなことが延々と続き、物語が始まらない。飛ばすぞ。
 ってことで、やっと212ページ。

 

9月28日 「白鯨」は「未知との遭遇」か?クィークェグも船に乗る

 「白鯨」を読んでいて思い出すのは、映画「未知との遭遇」である。

 細かいエピソードを積み重ねて、ラストシーンの超大型UFOの出現まで引っ張る。
 よくよく考えてみると、物語らしきものが思い当たらない。
 登場人物の生活や、街の風俗を描写しつつ、UFOの存在をほのめかし続けてクライマックスまで引っ張る。

 「白鯨」では、まずエイハブ船長の存在をほのめかす。
 まっこう鯨との闘いでボートを食いちぎられ、片足をつぶされた。
 非凡な人物で、大学の門をくぐったこともあれば、人食いの間にいたこともある(度々、登場する人食い人種への言及は何なんだ?)。
 とてつもなく付き合いづらいが、人の良い船長に同行するより、付き合いづらい船長に同行する方がいい、と諭される。

 いったいエイハブ船長ってどんな人?と思わせながら、やっぱ出て来ない。
 「未知との遭遇」のUFOや「ジョーズ」の鮫(そう言えば、「ジョーズ」ってちょっと構成や登場人物が似てるかも)、「ラドン」「ゴジラ」もそうだ。ちらっと見せて、隠しちゃう。美女のパンツみたいなもんか。失礼。

 その後、イスラム教徒のクィークェグがラマダン(断食)に伏して自殺と勘違いされる漫画のようなエピソードを挟み、船員として契約する場面へと続く。
 ラマダンのエピソード、必要だった?なんて疑問は言うまい。「白鯨」は幾つもの細かいエピソードを積み重ねる積み木のような小説なのである。あろう。

 ここでクィークェグ、やったね。人食い人種は乗せないと主張するピーレグ船長(エイハブより格下?)の目の前で、いきなり鯨を見つけ、自分の銛で突き刺す。
 当然、採用ですよ。
 鯨が捕れりゃ、人種も宗教も関係ありません。

 というのも、捕鯨船の船員の給料は配当制なんだとか。鯨が捕れなきゃ一銭ももらえない非情な世界にいるから、当然でしょ。
 ちなみに、365番船員は、利益の365分の1、77番船員は77分の1をもらえるそうです。

 さて、やっと船に乗ったぞ。そろそろかの有名なエイハブ船長も登場するぞ。というところで171ページ。どんなやつだエイハブは?

9月22日 鍋料理を食べた後、ついにエイハブ船長の名前が登場

 さてさて、「仲睦まじく」なった主人公イシュマールと「食人種」の銛打ちクィークェグは、定期船に乗ってナンタケットを目指す。
 海に落ちた男を助けたクィークェグは、船上で英雄扱いである。

 「そのとき以来、わたしは腰巾着のようにクィークェグから離れなくなった」とはなおさら怪しい二人であるが、まあよかろう。そんな話は。

 それよりも次の一文だ。

 「ああこの愛すべきクィークェグが、永遠に水底深く潜ってしまったそのときまで」。

 結果を先に示しておいて、読者を引っ張る小ワザを、著者ヘンリー・メルヴィル氏はここで出して来た。
 登場人物と場所の説明ばかりの無骨なイントロに半ば辟易してたんだけど、ちょっとだけにくくなる。

 相変わらず場所の説明が多いんだが、おお第十五章は「鍋料理」だ。
 登場した鍋料理の描写をそのまんま。

 「それはハシバミの実よりも小さいくらいの可愛らしい汁気たっぷりの蛤の煮込みに、つぶして粉にした船ビスケットと、細かく削った塩豚とを混ぜ、バタの味をふんだんにつけ、こしょうと塩で薬味を十分に利かせてあるのだ」

 なるほど、こういうものをご馳走としていたのか、と興味深い。
 極めてシンプルである。が、ゆえにうまそうである。

 さて、若干、物語は先に進むのである。
 いつまでも場所と人物と食べ物の説明じゃあね。
 
 やっと二人は、乗り込む捕鯨船を決めることになる。クィークェグが持っている黒人の人形のお告げに則って探した船。その船長が、「白鯨」を読んでいなくても知っているエイハブだ。
 出たよ、やっと。
 142ページでやっと出たよ。

 いや、「罪と罰」より先に進まない。
 いきなり物語が始まって、奇妙な人物が続々登場し、どんどん展開していく「罪と罰」の面白さが相対的に分かって来たっていうか。
 でも、エイハブ船長の名前も出て来たし、そろそろ始まるって感じですか。

 
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