9月22日 鍋料理を食べた後、ついにエイハブ船長の名前が登場 | 「白鯨」日記

9月22日 鍋料理を食べた後、ついにエイハブ船長の名前が登場

 さてさて、「仲睦まじく」なった主人公イシュマールと「食人種」の銛打ちクィークェグは、定期船に乗ってナンタケットを目指す。
 海に落ちた男を助けたクィークェグは、船上で英雄扱いである。

 「そのとき以来、わたしは腰巾着のようにクィークェグから離れなくなった」とはなおさら怪しい二人であるが、まあよかろう。そんな話は。

 それよりも次の一文だ。

 「ああこの愛すべきクィークェグが、永遠に水底深く潜ってしまったそのときまで」。

 結果を先に示しておいて、読者を引っ張る小ワザを、著者ヘンリー・メルヴィル氏はここで出して来た。
 登場人物と場所の説明ばかりの無骨なイントロに半ば辟易してたんだけど、ちょっとだけにくくなる。

 相変わらず場所の説明が多いんだが、おお第十五章は「鍋料理」だ。
 登場した鍋料理の描写をそのまんま。

 「それはハシバミの実よりも小さいくらいの可愛らしい汁気たっぷりの蛤の煮込みに、つぶして粉にした船ビスケットと、細かく削った塩豚とを混ぜ、バタの味をふんだんにつけ、こしょうと塩で薬味を十分に利かせてあるのだ」

 なるほど、こういうものをご馳走としていたのか、と興味深い。
 極めてシンプルである。が、ゆえにうまそうである。

 さて、若干、物語は先に進むのである。
 いつまでも場所と人物と食べ物の説明じゃあね。
 
 やっと二人は、乗り込む捕鯨船を決めることになる。クィークェグが持っている黒人の人形のお告げに則って探した船。その船長が、「白鯨」を読んでいなくても知っているエイハブだ。
 出たよ、やっと。
 142ページでやっと出たよ。

 いや、「罪と罰」より先に進まない。
 いきなり物語が始まって、奇妙な人物が続々登場し、どんどん展開していく「罪と罰」の面白さが相対的に分かって来たっていうか。
 でも、エイハブ船長の名前も出て来たし、そろそろ始まるって感じですか。