あなたの町には本屋さんがありますか? | つながっていこう~オンライン版絵本で支援プロジェクト【公式ブログ】

道産子のめめさんです。

今日は「母の日」ですね。

今朝やっと、2月の末に次女の結婚式に両家の両親が受け取った「南陽」という桜の苗木を庭に植え替えてあげることができました。雪解けが終わっても土の温度が低いと育ちが悪いので、穴を掘って手を入れて穴の中の土が冷たくなかったら植えて良いと園芸屋さんに教えてもらった通りやってみました。大事に育てます飛び出すハート

 

*3月の初めに可愛い花が咲きました🌸

 

*やっと暖かくなり、鉢から庭に植え替えました。

 

  あなたの町には本屋さんはありますか?

 

GW最終日5月6日の北海道新聞の朝刊に「書店ゼロ市町村27%」という見出しで全国の書店状況が載っていました。

全国1741市町村のうち、書店が1店舗もない自治体が今年3月の時点で、482市町村に増え、全体の27.7%に上ることが出版文化産業振興財団の調査で分かりました。

 

人口減少やインターネット通販の普及を背景に書店の数自体が減少し、沖縄56.1%・長野53.1%・奈良51.3%の3県で書店ゼロの市町村が過半数を占めたそうです。北海道は42.5%でした。

 

ネット書店や大学生協、古書店を含まない全国の書店数はいくつだと思いますか?

答えは7973です。2022年9月に調査した時からなんと!

609店も減少したそうです。

更に「無書店予備軍」と言われる書店が1店という市町村は343に上ります。

なので・・・書店ゼロと合わせた比率は計47.4%に達します。

さらに調べてみると・・・書店ゼロの自治体比率は地域によって差が大きく、過疎化が進む小規模の自治体ほど書店ゼロ比率が高い傾向にあり・市は全体の25%・町は全体の39.7%・村は全体の88.5%でした。東京23区には全区に書店が立地しているそうです。地域格差問題はここにはっきりと表れていますね。。

       (2024年5月6日付け北海道新聞朝刊参考)

 

  自分の町に本屋さんが無いってどんな感じがしますか?

 

全国的の書店が減少していると耳にするようになり随分経ちます。私が町に書店がないという生の声を直接聞いたのは、実は6年ほど前でした。北海道の十勝平野東部に位置する池田町という町に絵本講師として依頼され、現地でお世話をしてくださった社会福祉協議会の方が「とうとう池田町から本屋が消えました。」とお話を伺った時です。札幌在住の私は急ぎの時はAmazonも利用しますが、札幌市内には絵本専門店もあるし今まで本を買うことに不便を感じることは一度だってありませんでした。

 

町に書店が無くなるという話はどこか遠い寂れた町の話のようにさえ感じていました。「自分の町に書店が無くなるとはどういうことなのか?」を初めて考えた時に私はザワッと鳥肌が立ちとても物悲しい寂しい思いがしました。

 

 

子ども達が直接本を触って選べない時代 

 

さて、この池田町の人口も年々減少傾向にあり令和2年には6.294人になりました。農業が昔から盛んで北海道のワイナリーの先駆けで、町のシンボルはワイン城。シャンパン赤ワイン池田町には立派な図書館もあります。なぜ?書店が無くなったのでしょうか?

書店が無くなった時に、池田町のある塾の先生が「子どもたちが直接手に取って本を選べないなんて!」と嘆き、家電量販店の片隅に書店とは程遠い小さな規模で書籍販売コーナーを設置したそうです。しかし、それも数年しかもたなかったそうです。

 

今はWebで試し読みとか全文読める絵本もありますし、Kindleという電子書籍サービスは随分普及しています。どこに住んでいても本が欲しい、情報が欲しいということはすぐに解決できる。

なんといってもインターネット通販は翌日には手元に届く!というスピード感があってとにかく便利です。しかし、本を選ぶ時間を楽しむという点はどうなのでしょうか?本箱の間を本の匂いを嗅ぎながら行ったり来たり、背表紙を見て本を選んだり、書籍の種類も様々ですよね?そういう時間を子ども達は体験する必要はないのでしょうか?

 

旅行の本から新幹線前歴史、経済、哲学、小説、児童書、雑誌などなど。1冊の本を探しているうちに全く違う本に出会ったり、目的の本の近くにもっと良い本が置いてあったり、自分の知識だけでは出会えないような世界を見つけるきっかけになることがあります本屋さんには書籍だけではなく、店主さんの知識や情報、本を真ん中に出会う人たちの会話や温もりがあります。インターネット通販だけだと視野が狭くなるような気がします。このままだと小さなときから本屋さんで本の匂いを嗅いで大きくなる子ども達がどんどん減少しますねショボーン

*こちらは京都府京田辺市にある老舗の山城書店(絵本専門士の5期:森武紀明さんが経営)

*絵本にポップを付けて面陳されていました。

 

  約200万人都市札幌でも書店減少

 

私は札幌に住んでいるので前にも書きましたが、書店ゼロ!と聞いてもあまり実感が湧きません。

それでも改めて調べてみると、実はここ数年の間に札幌市内のそれも中心部の地域で書店がどんどん閉店していることが分かりました。

 

*大型ショッピングモール内にあった頃のくすみ書房さん

 

そして【くすみ書房】という自称おせっかいオヤジが経営する書店が経営不振で閉店し、札幌市民が悲しい思いをしそれが全国ニュースに取り上げられたことを思い出しました。

 

1946年に札幌の琴似という地域の商店街に開店したくすみ書房。地元の学校の教科書も扱う地域に根付いた町の本屋さんでした。しかし1999年頃から売り上げが激減したそうです。

その頃からコンビニで雑誌や漫画が取り扱われ、ナショナルチェーンの大規模書店,Amazonや楽天などのネットショッピング、ブックオフなどの中古本屋など新しい流通形態が現れたというのが主な原因だったようです。危機感を覚えた久住社長は中小書店の在り方を模索し、傑作だが売れていない本にスポットを当て、「なぜだ?売れない文庫フェア」とか、中学生向けの本に特化した棚を設置し「中学生はこれを読め!」などの企画が話題となり、2004年には、メディアにも大きく取り上げられました。

当時には珍しいお勧めの本を定期的に届ける「くすみ書房 友の会【すくすく】」といった会員制のサービスもありました。(このくすくす】という会員制度は、入会金1万円を支払うと久住邦晴社長自身が選んだ書籍を年間4冊(7000円相当)が送られてくるもので、これも当時ニュースで全国に拡散されました。しかし地域の応援や店主の努力も空しく2015年6月に閉店されました。

「本屋のない町で子育てをさせたくない」

「書店の役割は本を売ることだけではない」

久住さんの思いを忘れたくありませんね。

 

 

  書店がある町で子育てを

 

印刷出版は、長らく先人の知恵と未来へつなぐ技術として重要な役割を果たしてきました。

書籍のデジタル化に賛否両論がありますが、私は今回新聞のひとつの記事から、改めて本が紙であることの意味、そして書店がある町で子育てをする意味についてもっと考えを深めたいと思いました。

書店ゼロの自治体は毎年拡大しています。

手に届くところに本がある暮らし、読みたい本、買いたい本を自分の手で触れて選べる本屋さんをなんとか大人の私たちが残していけないでしょうか?

 

 

  今日の一冊

先日男性職員が多い会社の社員研修でこの絵本を読ませて頂きました。読み終わった後に様々な感想が出ました。 

一人の社員の方が、「この絵本の表紙には主人公のどろぼうの未来の姿が描かれているんですね。」とおっしゃいました。その柔らかな感性に大人の心にも絵本から伝わるものがある!と実感しました。

 

『どろぼうがないた』杉山ひろゆき作・ふくだじゅんこ/冨山房インターナショナル2007年

 

*町から少し離れた丘の上に一人で住んでいたどろぼう。

寂しさも悲しさも知らない。泣いたことも一度もなかった。ある日ひょんなことから花の芽を持ち帰ってしまった。芽の成長と共にどろぼうの生活が変わります。そして戦争が起こり大切に育てた花を失います。命あるものに寄り添う喜び、大切なものを失う悲しみを知ります。ペパーミントグリーンと薄黄色が基調の表紙、変化していくどろぼうの表情。戦争と白い花の対比。生きることの意義と喜びを考えてみたくなる絵本です。

 

 

  絵本専門店30周年

 

4月2日は札幌手稲区にある絵本専門店「ちいさなえほんや ひだまり」30周年記念日でした。地元札幌市内からはもとより、全国の絵本仲間が祝福し店内はお花で溢れましたチューリップ

 

*30周年のお祝いに絵本作家のきくちちきさんから額が贈られてきたそうです。

 

30年間ご自分で毎月手作りの機関紙を作ったり(現在403号、)店内で展示を企画する度に各新聞社にプレスリリースを送ったり、講演会のお声がかかれば全道どこへでも走り回ったり・・・絵本は必ず実演販売!をモットーにお店に来る子どもや大人にも読み聞かせをしてくれました。

日々生き残るための色々な努力をされてきました。もう店主の青田正徳さんの右腕は絵本を持てなくなり、読み聞かせができなくなり講演活動をやめました。

*ひだまりには時々特別にきくちちきさんの習作が飾られる。

成した絵本と見比べると100倍楽しめます。

 

私達に何度も存続の危機を乗り越える姿を見せてくれた青田さんは「今日までよく続けられたよ。お客さんに感謝しかありません。ひだまりは僕一人のものではない。お店に来てくれるみんなの共有財産だと思っているんだよ。一日でも永くお店を開くことで絵本に出会う子ども達が増える。これがぼくの喜びなんだ。」と話してくれました。

そして私は「あなたの1冊がひだまりの明日を支える」これをスローガンにこの町の本屋さんを応援していきたいと思いますセキセイインコ黄