こんにちは!東京のかこです。
ゴールデンウィーク真っ最中。といっても明後日からまた日常が戻る人も多いことと思います。
みなさんはどんな連休を過ごしましたか?
こうやって大型連休に、家族で出かけたり、家でのんびり過ごせるのって、平和だからなのです。
『ぐりとぐら』の絵本の作者、中川李枝子さんは『本と子どもが教えてくれたこと』(平凡社 2025 初出『のこす言葉 中川李枝子』平凡社 2019)の中で、こんなことを書いていらっしゃいます。
多くの方がご存知の国語の教科者に出てくる「くじらぐも」のお話。校庭で一年二組の子どもたちが体操をしていると、空に白い大きなくじら雲が現れ、それに乗って空を旅する話なのですが、中川李枝子さんはこれを「私にとっては平和教材」として書かれたのだそうです。
戦争の背の「せ」の字も出てこない穏やかで平和な日に起こったファンタジー物語ですが、中川李枝子さんが子ども時代の空は戦闘機が飛んできて焼夷弾を落とす空だったのです。
空を見上げて雲に乗って旅をするという発想自体が、平和でなければ思いつかないこと。
たとえば、いつドローン攻撃があるかもわけらないウクライナの子どもにとって、あるはガザやイランの子どもたちにとって、空はいつ敵機が飛んでくるかもしれない警戒すべきところで、見上げるのはそれを避けるため・・・悠長に「くじらぐも」の想像なんてしていられないわけです。
そう思うと、戦後80年の間、日本は他国に対して武力行使をせずに平和を維持できたことは、今の国際情勢を思うと奇跡的なことであると思います。
昨年は日本の敗戦からちょうど80年の節目で、子どもの本の世界でもたくさんの「戦争と平和」を考える良書が出ました。そこには日本だけでなく、ヨーロッパでも戦争に突き進む時代に言論を制限された人々、出自にかかわる差別があったこと、つまりは人種差別や女性差別など、多くの人々が不当に扱われ、また口を塞がざるを得ない状況へ追い込まれていったことなどが描かれていました。
また日本を題材にした作品では、沖縄の地上戦に巻き込まれた中学生や女学生の記録からは、学びの機会が奪われていやが応にも戦力として扱われ、敗戦の色が濃くなるとそこに捨て置かれたことや、広島、長崎の原爆による苦しみに輪をかけて行われた差別のことなども描かれていました。
こうした無辜の市民の多大な犠牲があって、日本は敗戦の1年後に「日本国憲法」を制定、公布。そこには「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」の三本柱が高らかに掲げられ、人々を勇気づけたのでした。
今年2月に奇襲攻撃的に行われた衆院議員選挙で自由民主党はかつてない大勝をし、それにより選挙公約や争点にはあげていなかった「憲法改正」が首相の悲願として公言されるようになりました。
改憲派は、制定から80年が経ち、古くなった、時代に合わせて更新しなければと主張します。あるいはGHQ、占領軍に押しつけられたものだからという主張もあります。
しかし一方的に押しつけられたわけではなく、第9条に平和の文言を加えたのも、GHQ草案にはなかった第25条の生存権を追加したのも、日本人なのです。(参考文献『平和憲法を作った男――鈴木義男』筑摩書房 2023)
改憲派の人たちは、現行憲法を古いと言いつつ、一方で1890年制定の教育勅語を復活させようとするなど、とても矛盾しています。その背景に見えるのは、権力者が庶民を支配しようとする構図です。声をあげるものを押さえ込もうとする構図なのです。
(自民党の改憲案と、現行憲法を読み比べるサイトもあります)
高市首相は、執念で改憲発議を行い、国民投票へ持ち込もうとするでしょう。
子どもに本を手渡している私たちは、どう判断しますか?子どもたちから、孫から問われたらどう答えますか?
今から考えておく必要がありそうです。
そこで今回はこの1冊をお勧めします。
『井上ひさしの子どもにつたえる日本国憲法』井上ひさし/著 いわさきちひろ/絵 講談社 2006
今から20年前に出版されたこの絵本が、ここ2ヶ月続けて重版になったことがニュースでも取り上げられました。重版について出版元の編集者が答えているweb記事があります。
井上ひさしさんは、子ども時代には国民学校の先生に、君たちは兵士になって戦わなければならないから寿命は二十歳前後だろうと言われていたそうです。それが敗戦と共に、長生きして良いといわれて呆然としたというのです。
敗戦の翌年に「日本国憲法」が公布され、そこに「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」の三本柱が掲げられたことを知って、気持ちがシャンとしてと、この本の中で書いています。
この絵本ではいわさきちひろさんのイラストと共に、井上ひさしさんのことばで憲法前文と第9条が子どもにわかることばで記されています。
また第9条の解説文では・・・
「もう二度と戦争はしない、という第九条ができてから、日本国家が国としてよその国の人を殺したり、武器をつくってよその国に売ったりしていません。世界でもこんな国はまれです。胸を張っていい。戦争や、病気で苦しんでいる世界の人々を助けるために、日本ができることは、武器や兵士を外国に送ることではないはず。」(p46)
「人間には、残虐な面があることはたしかですが、言葉をもち、その言葉で気持ちや考え方を交換し合う能力があります。むだな争いはやめて、なかよく生きることもできるはず。ちかごろ、この第九条の中身が古いという人たちがいます。「平和主義」という考え方が古いでしょうか。問題が起こっても、戦争をせず、話し合いを重ねて解決していく。その考え方が古くなったとは、私はけっして思いません。」(p47)
このように記しています。
今、世界各地で武力行使による紛争が起きています。日本の役割は、そこに兵士を派遣することではなく、井上ひさしさんがいう「問題が起こっても、戦争をせず、話し合いを重ねて解決していく」その努力をすることだと思います。
ちひろ美術館では、この絵本を動画で紹介したものや、憲法カードをダウンロードできるように公開しています。
ぜひ、こちらも活用しながら、『井上ひさしの子どもにつたえる日本国憲法』を親子で、孫たちと、あるいは地域の子どもたちと一緒に読んでみてほしい。そして平和な世界を子や孫にどう手渡していくかをともに考えてほしいと思っています。
この4月に高市政権は殺傷能力のある武器輸出を可能とする閣議決定をしました。made in Japanの武器が、世界のどこかの子どもの命を殺めるかもしれない・・・そう想像すると怖くなってきます。
戦後、多くの児童文学者、絵本作家が二度と戦争を起こさないために・・・と子どもの本を通しての国際理解を目指してきたことを、私たち子どもと本を手渡す活動に携わるものが真剣に考えなければと思っています。
ぜひ手に取って読んでみてください![]()
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